「メディアが母体の配信サービス」である共同通信PRワイヤーを駆使して広報を活発化させる戦略について、戦略広報室の柏木暢子さんと藤村祐子さんにお話をうかがいました。
大学淘汰時代に社会的認知度アップに貢献
カテゴリ選択で伝わる情報に
-契約開始までの広報体制は?
柏木 本学には14年ほど前までパブリシティー活動を担う広報機能はなく、2007年に学長事務室の中のひとつの係として設置されたのが大学広報の始まりです。そのころから大学業界では2018年をめどに18歳人口が減少して、大学進学率は上昇する「2018年問題」が叫ばれています。文部科学省の学校基本調査によると、現在までに2007年に比べて18歳人口は13万人減少し、進学率は7.2%上昇しています。私立大学の数は平成の間で239校も増えている一方で、大学の入学希望者は入学定員数を下回り、認知や特色がない大学は受験生に敬遠され、受験生を集められる大学と二極化してしまう大学淘汰時代です。「選ばれる大学」になるため、社会的認知の低さを課題と捉えて、受験のための広報とは別に大学広報という組織を設けられたのです。
-どんな活動から始められたのでしょうか?
柏木 初めは本学の教育活動を知ってもらうために記者クラブや県内のメディアを訪問してリリースを配布していました。それでもなんとかつながりはできてきましたが、広報は時間もマンパワーもかかります。しかもメディアの形態もスマホの普及と共に急速に変化し、市場に情報を届ける流通も複雑になっていました。何かいい方法はないかと調べていてご縁があったのが、共同通信PRワイヤーです。
-選ぶ過程で決め手は?
柏木 大学ですのでやはり信頼性が重要です。それに、共同通信PRワイヤーは入稿の締め切りがなく、即日配信することが可能ですし、オープンサイトとプレスサイトが分かれて投稿できることで、プレス向けの情報は付加価値としてプレスサイトに書くことができることにも優位性を感じました。
-ご自身で国内158カテゴリから上限10カテゴリまで選択いただけるのは、共同通信PRワイヤーの最大の特長のひとつですね。
柏木 はい。メディアリストが、カテゴリ分類されている点は大きな魅力です。大学の取り組みには教育以外の切り口も多いので多くの業界の方に知っていただきたいです。例えば、学生が食品の商品開発をした記事であれば、食品や流通、農業の業界…と様々につながっていますので、そういうカテゴリ選択ができることで、よりメディア露出に広がりができます。そのように切り口を考えて選ぶことでで、より認知も広がります。以前、食品ロスを防ぐSDGs目標達成に向けて学生たちと学食の企画運営をするチームが、レトルトカレーを開発した時も、新聞、雑誌、WEBメディアと、それぞれ異なるジャンルで日本経済新聞にとり上げていただきました。
-リリース配信は、新たなメディアとの接点も生まれるきっかけにも?
柏木 これまで存じ上げなかった業界紙の方々とも接点を多く持てました。他の発信方法ではなかなかありません。
付加価値があればあるほど強まるリリースの影響力
SDGsやアクティブ・ラーニングにも脚光
-2013年の初年度は年20回、2014年からは年30回契約で使っていただいています。
柏木 年間90本ぐらい出すプレスリリースの中からその都度選んでいますが、もう少し出せればと考えています。
-プレスリリースだけで流す情報とPRワイヤーで配信する情報と、選ぶ基準は?
柏木 多様な業界とのつながりや切り口で展開できる情報や、社会的価値が高い情報をPRワイヤーでお送りするようにしています。プレスリリースとして発信する情報は、公共性や社会性、新規性、意外性、話題性、映像性、ストーリー性、共感性、客観性などですね。そういった付加価値がたくさんあればあるほど情報に対する影響力は高いと思います。
-大きな反響があったリリースは?
柏木 本学は地球温暖化対策等の環境保全に貢献するため、日本初の「自然エネルギー100%大学」をめざしています。この「自然エネルギー100%大学」は、大学所有のメガソーラー発電所の発電量とキャンパスのエネルギー使用量を同量にするというものですが、日本国内の大学で初の試みとして挑戦しています。本学は、この取り組みで蓄積したノウハウを、多くの大学や事業者に拡げて、地域分散型エネルギー社会の構築を皆でめざしていこうとしています。これに関するリリースはこれまでに30本以上出していますが、PRワイヤーでの発信の影響は大きかったと思います。
-どういったメディアに注目されましたか?
柏木 2017年に本学がこのような環境目標をめざすことについて記者発表会をしましたが、そこから波及して約2ケ月は、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌と110件を超える掲載がありました。さらにその後も、ビジョン達成に向けて活動を展開し続けていますので、継続して発信を続けていくことで、今なお毎月コンスタントに取材をいただけています。
-大学の特色としてメディアに受け取ってもらえるようになったことで、いろんな広報が可能になった、という好循環が起きていると?
柏木 そこは間違いないと思います。
掲載事例は就活での自己PRツールにも
質の高い情報提供で未来を担う若者を応援する力に
-最近のケースではどうですか?
藤村 本学付属高校の学生が千葉ロッテの球場で販売するお弁当のプレスリリースは共同通信社が運営するビジネスサイト「b.(ビードット)」で記事にしていただきました。その記事を起点に他のサイトにもたくさん転載されましたし、「スマートニュース」にも掲載され影響力がすごかったですね。また、お弁当のプレスリリースの前には、コロナ禍ですべての学生が充実した学生生活を送り、活気ある大学を取り戻せることを願って全学生に学食の無料券を配布したことをプレスリリースしましたが、その情報も「b.(ビードット)」に掲載いただき、その後、スマートニュースでキュレーションいただきました。お弁当の話題と学食の話題が1週間に2回もとりあげていただいたのでうれしかったですね。
柏木 ほかにも、本学では学生が能動的に学習を行う「アクティブ・ラーニング」が、教育で活発に行われていますが、学生による商品開発のほかにも、地域活性化やスポーツビジネスなども、新聞や雑誌、WEBサイト等でとり上げていただいています。例えば、学内の一角で学生たちが食堂のオーナーになって経営する「学生ベンチャー食堂」や本学自慢のオシャレな食堂「The University DINING」はテレビ局から取材をしていただきました。
-千葉ロッテなど、地域との連携が目立ちます。
藤村 産学連携も全学で盛んにおこなわれています。本学は現在、創立93年目で、100周年に向けての将来構想のビジョンでは「日本で一番、地域、市民に役立つ大学になる」ことも掲げています。持続可能な社会づくりのためにも、地域課題を解決し、地域で存在感を示していくことで社会から必要とされる大学になることを目指しています。
-地元からの反応はいいですか?
藤村 はい、よいお声をいただいています。本学は他にも大学近隣の商店街有志の方と協力してあんどん祭りを開催し、学生と市川市民の手作り行灯が、近隣をライトアップするなどしています。また、キャンパスでも「子どもたちがつくる、子どもたちの街」をコンセプトに、地域の小学生児童や幼児に向けたビジネス教育の一環として、2003年から「キッズビジネスタウン®いちかわ」を開催しています。ここでは子どもたちが、キャンパスに出現した仮想都市の市民となり、労働や消費などの体験を通して“まちの機能や仕組み”を理解します。キャンパスに子どもたちの銀行や職安、お花屋さんなどで賑やかになりますが、ご参加いただく子どもの保護者の皆さんからも大変喜ばれています。
-通常も近隣住民の方との接点はありますか?
藤村 今はコロナ禍で学内に入れませんが、学内にある食堂「The University DINING」にも一般の方に気軽にいらしていただいていました。大学のキャンパスは敷居が高いイメージがあると思うのですが、本学は防災拠点、避難場所にもなっていますので、普段から気軽に来られる場所として認知していただけていることは突然の備えにもなると思います。
-就職などで産業界の千葉商科大学に対する認知が高まることにはつながっていますか?
藤村 認知にはつながっていると思っています。また、学生は自身が就活する時に、学生時に自分たちの携わった活動がメディアに載ったという掲載事例を自己PRとして活用しているようです。受験生の保護者の方が、本学の報道を知ってお子さんに教えることもあるかもしれません。
-広報の今後の課題は?
柏木 教育機関として、引き続き、質の高い情報を社会に提供していきたいですね。本学の学生だけでなく、未来を担う若い人たちを応援する力になればいいなと思っています。特にSDGsゴール達成に向けた活動の発信は社会全体に事例としても役立つと思いますし、そのことで個人の意識や行動変容に繋がると大変うれしいなと思います。
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