韓国焼酎大手のハイト眞露を母体に、日本国内でもマッコリやチャミスルなど次々と韓国酒ブームを生み出してきた眞露。2012年から利用する共同通信PRワイヤーでも、ミュージシャンや俳優を起用したCMや世界的企業とのコラボ商品などユニークなマーケティング企画を発表し続けている。近年ますます高まる韓流ブームの時流を捉えた巧みな情報発信について、マーケティング部宣伝販促チームの課長代理・深澤佳伸様と同チームの安榮友美様にうかがいました。
想定外の反響も秘めたプレスリリース配信
国内の話題が韓国でのバズにも発展
―マーケティング部門としてプレスリリースを手掛けていらっしゃいますが、広報の位置づけは?
深澤 マーケティング部門の中がマーケティングチームと宣伝販促チームに分かれており、対流通向けのマーケティングチームに対して、私たち宣伝販促チームは、テレビCMやプロモーション関連およびPRのほか、商品開発の領域の業務も手掛けています。
―プレスリリースの重要性は、2012年の契約スタート時よりもかなりアップしているとお考えですか?
深澤 そうですね。例えば、商品やCM以外の発表でも、何か波風が立つような情報も発信してもいいのかなと思っています。専門紙以外のところで弾ける可能性があり、どんな拾われ方をされるかと可能性を求めて発信することもあります。
―SNSなどでも、プレスリリースが活きる土壌が育ってきたということでしょうか?
深澤 はい。5年ほど前は、業界紙の方が見る程度でしたが、今は興味がある情報であればSNSに誰かが投稿してくださいます。影響力ある情報だと広がっていく。ここ数年で、そこがまったく変わったと感じるところです。
―現在、プレスリリースは何名で作成していますか
深澤 3名です。通常のプレスリリースであれば社内で執筆します。他の大きなプロモーションと連動した場合には外部の方にお願いする場合もございます。全てのスタートアップがプレスリリースになりますので、内容についてはもちろん、標題や掲出画像にもこだわり、リリースのタイミングについても意識しています。作年の「韓国ドラマあるある」のプロモーションを実施した時もプレスリリースのタイミングからSNS、動画公開まで緻密な設計で展開しました。
―そのウェブ動画は大きな反響があったそうですね。
深澤 その動画のプレスリリースを日本で配信して動画を公開した時に、いくつかの韓国メディアも記事に取り上げ、韓国国内でもすごくバズりました。それを見て、韓国本社でも「何事が起きた?」という感じになりました。日本であるいはアジアで、チャミスルがどのような人気、反響があるのかは韓国本社にとっても気になる事ですからね。
―韓国のネットユーザーが気付いたということですね?
深澤 「何か面白いことやっているね」となったようです。切り口もしっかりしているし、日本で有名な俳優の佐久間由衣さんや小関裕太さんに出演いただいて、真面目に作ったことが良かったのかなと思っています。YouTubeでもハングルのコメントが増えて、何が起きたのかなと思いました。訳してみると、とても好意的な意見が多かったです。
ワイヤーサービス最大の魅力は情報の広がり
反響後のメディアリレーションが今後の課題に
―韓国ドラマをモチーフとしたウェブCMという企画は、どなたが原案を?
深澤 広告代理店、制作会社やプランナーさんと組み、話し合って行き着いたのが、あの企画でした。尺が長いウェブ動画でしたからテレビ媒体では流さず、最初からSNSを使う戦略でした。自社のSNS媒体での発信のタイミングを緻密に設計して展開した事、俳優さんたちからのSNS発信によりそのファンの方々が各所へこの情報を広げていただけた事が非常に大きな広がりを見せたと思います。映像の内容についても、俗に言う「韓国沼(韓国にはまっている状態)」の方たちに支持をいただけたのが一番大きかったと思います。
―韓国ドラマをモチーフに起用したきっかけは?
深澤 韓国ドラマとチャミスルの関係で言えば、もともと2年前からチャミスルがはやり出したのは、コロナ禍での自粛期間中に、日本の皆さんがNetflixで「愛の不時着」や「梨泰院(イテウォン)クラス」などの韓国コンテンツを見てヒットした時に、劇中に出てくる緑の瓶に興味を持たれたこととつながっています。「おちょこで飲む、あのスタイルをまねしたい」っていうことが、飲むきっかけのひとつだったと考えます。弊社にも「おちょこがほしい」、「どこに売っているのか」という問い合わせが山のように来ました。
―ほかに手応えが大きかったプレスリリースはありますか?
深澤 JINROとアメリカのサンキストブランドとのコラボ商品の発表は、とても反響が良かったです。サンキストさんはジュースでは有名ですが、世界で初めてお酒とコラボしたケースだったので媒体の記事掲載数も多かったです。ほかには、JINROのプロモーションでミュージシャンの岡崎体育さんとコラボしてミュージックビデオを作ってCMを流した時も話題になりました。
―プレスリリース配信サービスのメリットはどういうところに感じますか?
深澤 情報の広がりです。他社であれば情報の送り先がリスト化されていて、個別にメールを送ることもできますが、私たちはPR活動の歴史が浅く、まだ自社リストの構築をしている段階です。でも、共同通信PRワイヤーには信頼性がありますし、プレスリリースを配信した時に転載される媒体が一定数あります。手の届かないところにも配信していただけるので、プレスリリース配信システムに頼っています。しかし、これからは発信に追随して発信後の反響測定や、記者の方にアプローチもしてオリジナル記事を載せてもらえるようにするなど、後追いのPR活動も大切だと考えています。そのきっかけづくりとして今後も活用するつもりです。
―流れたその先を耕して、次につなげることが大切ということですね。
深澤 ええ。それがあって初めて、いろいろなところで縁ができるのだと思います。
緻密なSNS戦略をプレスリリース配信と併用
韓国酒を日々の暮らしになじむ存在に
―プレスリリースを配信した時は、同時にSNSでも投稿しているのですか?
深澤 プレスリリースそのものは流しません。TwitterとInstagramには、付随する情報を載せます。新商品が出た際は「キャンペーンはじまるよー」といった感じです。SNSごとにコミュニケーションの仕方が違うので、InstagramとTwitterの表現は変えていますし、運用を開始したばかりの自社TikTokでのコミュニケーションも違います。「チャミスルと紅茶を混ぜると美味しいよ」という動画が、私どもも気付かないところで話題になったことがあって「TikTok売れ」の恩恵にあずかったことがあるんですが、気付いた時にはブームは広がりきっていました。
―プレスリリースはメディア向けですか?
深澤 割り切っているわけではありませんが、メディアの方向けに流しています。一方で、BtoCでは、SNS関連のツールが情報発信の役割を果たしていると感じています。
―プレスリリース作成では、どういうことに気を付けていますか?
深澤 記者の方に取り上げられやすい内容、キーワードを書くことです。サンキストさんとの協業時も、「サンキストとコラボして缶酎ハイが出たよ」ということよりも、眞露を引っ込めて、「世界で初めて、サンキストブランドのアルコールが出たよ」という切り口にするなど、頭を使いました。
―K-POPやドラマブームは盤石になってきたと思われます、ブームはまだまだ続くと思われますか?
安榮 ええ。私はSNSの運営を担当していますが、もう少し続くと思います。
深澤 若い世代が、韓国の文化にポジティブな印象を持ってK-POPやファッション・コスメを牽引してくれています。若い人たちは日本のドラマであろうと韓国のドラマであろうと、何が違うのっていう感覚です。だからこそ、チャミスルを日常の中に置いてもらうことにも近づいているのだと思います。そうした人気も一過性に終わらせたくないので、宣伝、PRでこれからもいろいろな方に商品の魅力をお伝えしていきたいと思っています。
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