高性能な電子機器に欠かせない高品質・高性能なメモリLSI(大規模集積回路)を製造する富士通セミコンダクターメモリソリューション。大容量・小型化・低消費電力化に対応した新商品も話題を呼んでいます。海外メディアへの情報リーチを目指して、2021年から共同通信PRワイヤーを活用スタート。商談数を増やし、新規顧客を獲得するための国際的な広報戦略について、マーケティング部の梅津道夫様にお話をうかがいました。
裾野拡大に向けた広い発信と緻密な反響分析
海外リリース配信後、認知度アップを実感
-現在の広報体制について教えてください。
梅津 マーケティング部の中に広報担当を置く形で、私がメインで対応しています。
-広報宣伝活動の目的をどう位置付けていらっしゃいますか?
梅津 売り上げの拡大です。そのために商談数を増やすことが最も重要です。新規顧客獲得のために商談機会を得るには、まずお問い合わせを増やさなければなりません。一昨年2020年度と昨年2021年度でお問い合わせ数を比較してみると、2021年度の方が増えていました。
-比較した各年度の一番の違いは何ですか?
梅津 昨年度から共同通信PRワイヤーの海外リリース配信を利用し始めたことです。お問い合わせ数は前年度と比較して50%以上も増えました。また、海外リリース配信前と比べると配信後は、そのリリース掲載ページへのアクセス数が10倍くらいに増えていることが分かりました。自社サイトと外部サイトにある製品紹介ウェブサイトのページビュー数の合計も、2020年度の84,685PVに対して、2021年度は162,109PVと2倍近くに増えています。自社サイトだけでなく外部サイトでもクリックしてもらえば認知度は高まります。認知度を上げる施策を続ければ、お問い合わせは増えるという手応えを感じています。お問い合わせが思うように伸びないのが課題でしたので、解決のため海外向け広告などに着手してきました。
-共同通信PRワイヤーは、その過程でお知りになったのですか?
梅津 お付き合いのある広告代理店に「海外向けにプレスリリースの配信がしたい」とご相談して紹介いただきました。
-導入後、何か変化はありましたか?
梅津 お問い合わせは増えますが、商談にならない自社サービスの売り込みを伴ったお問い合わせも増えましたね。裾野を広げるためにリリース配信をしたことで露出が増えたので、そうした売り込みも増えたのだろうと感じます。しかし、こうした状況も認知度が高まったことのひとつの表れだと考えています。
長期検討を見越した早めの種まきを重視
製品だけでなくソリューション力も発信したい
―2021年に海外リリース配信を始められた時は、どんな感触でしたか?
梅津 共同通信PRワイヤーのご担当者の対応がとても早くて的確というのが第一印象です。とても信頼できました。何かご相談する都度に、ご返信いただくまでのスピードが常に早いです。
―配信先としてアメリカや中国、ドイツなどを選ばれていますが、その基準は?
梅津 基本的に製造業が強い国々です。海外だと、今回配信した3カ国が強く、特に近年は中国に注力すべきと考えています。
-具体的にどんな反響がありましたか?
梅津 配信先の国からお問い合わせが増えています。さらに、欧州向けのニュースサイトに転載されたリリースを見て、ドイツ近隣国からも反響がありました。グローバルに「こういう製品に使いたい」というお問い合わせのほか、最近、弊社がメモリメーカーということを知って、具体的な製品型名を指定して供給の問い合わせも増えたと実感しています。
―商談に進展しそうな、実質的なお問い合わせですね。
梅津 そうですね。明らかに使用することを目的としたお問い合わせが多いです。2010年代初めは、「サンプルが欲しい」、「データシートが欲しい」といった声が多かったのですが、最近は「電気的な動作はどうなのか」など、実質的なお問い合わせが増えました。
―お問い合わせの増加が、売り上げの増加につながったという分析は出ていますか?
梅津 弊社の製品は売上になるまでのスパンが長く、お客様からお問い合わせをいただいて、サンプルをお送りしてから売上となるまでに数年かかることが多いです。初めて弊社のメモリ製品をお客様が検討する場合、事前調査、サンプル要求の後に、お客様で当社製品の評価、実機に搭載しての評価、そして最終製品全体での評価を経て量産品のオーダーに至ります。従って、今のお問い合わせが売り上げとして見えてくるまでにかなり時間がかかります。
-種まきの重要さをすごく感じさせられるお仕事ですね。
梅津 「来年、売り上げを倍増します」と言っても、先ほどお話しした経緯を考慮すると直ぐに売り上げを上げることは難しいです。将来の売り上げのためには、早めに種をまいておかないといけません。
―将来的に配信したいと考えているリリースはありますか?
梅津 自社製品の導入事例を配信したいですね。しかし、パートナー企業にご承諾いただくのはなかなか難しい状況です。一方で、弊社には、メモリ製品だけではなくて、ソリューションを売ることも進めています。パートナー企業の協力をいただいた上で、「今こういう最終製品を作っていて、富士通セミコンダクターメモリソリューションのICや技術がこの製品に使われています」という内容のリリースは配信したいです。
製品リリース作成は、お客様の課題解決を明記
ウエブ上に蓄積される一次情報で信頼度もアップ
―プレスリリースという手法に何を感じますか?
梅津 プレスリリースを配信するとインターネットにずっと掲載されるので、ウエブ検索をすれば、弊社が配信した日から1年後でも実際にご覧いただけます。それは、すごいことだと思っています。
―アーカイブとして残り、それがキーワード検索の結果として拾われていくということですね。
梅津 きちんとニュース価値がある発表をすれば、ずっとウエブ上に残っていくわけですから、本当に欲しい方の目には届くと思っています。
-リリースを書く時に、心掛けていることはありますか?
梅津 お客様の課題を書き込むことです。「こんなことができますよ」と書いても、使いたいお客様には伝わりません。弊社の製品を使うと、こういう課題が解決できますというふうに書くようにしています。工夫すれば検索にも引っ掛かりやすいですし、多くのSNSがある中で、信頼性という点ではプレスリリースが勝ります。BtoBに限って言えば、一次情報であるプレスリリースの信頼性は高いと感じますね。
―共同通信PRワイヤーの国内リリース配信の利用についてはお考えでしょうか?
梅津 検討中です。今は別の配信会社のみ利用させていただいていますが、比較してみないと違いは分かりません。複数のサービスからプレスリリースを配信してみて、どれだけ効果があるのか。これまで目に触れていない方にも届くかもしれないなら、試してみてもいいかなと考えています。
-今後の広報における課題は?
梅津 今以上に認知度を上げること、です。海外リリース配信を使って分かったのは、裾野を広げればお問い合わせは増えるということ。今まで伝えきれていないお客様にどう情報発信すれば、弊社の製品を分かってもらえるか見つけていくことが大切だと考えています。限られた予算の中でいろいろ試してみたいと思っています。