独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は、“くらしの安全とわが国の産業を支える”ことを使命に、経済産業省所管の独立行政法人として、製品安全、化学物質管理、バイオテクノロジー、適合性認定、国際評価技術の5分野において、各種法令や政策における技術的な評価や審査などを実施し、我が国の産業を支えている。共同通信PRワイヤーの活用と今後の広報への取り組みについて、広報企画室の室長山副敦司様、永瀧綾乃様、鈴木友佳様、小松豊季様にお話をうかがいました。
国民ひとりひとりが最重要ステークホルダー
メディアの力で情報を浸透させたい
―NITEの概要について教えてください。
山副 NITE(ナイト)は経済産業省所管の独立行政法人で、経済産業省が所管する法律や政策の実行を技術的な観点で支援しています。皆さんに身近なところでは、家庭用製品による事故の原因究明を行っております。本調査の一環として、事故の未然防止のために我々が作製した事故の再現動画がテレビのニュース番組などで取り上げられることもありますので、皆様の中にも目にされた機会もあるのではないでしょうか。
―全5分野で取り組まれていることは、他にどんなことが?
山副 その他には、脱炭素社会の実現に向けて注目を集めている大型蓄電池システムの安全性などの評価を行っていたり、市場に出る前の新しい化学物質のリスク評価を経済産業省と一緒に行っていたりする部署もあるなど、皆様のくらしのどこかに関連して、皆様のくらしの安全を守る活動を行っている組織です。我々が提供する情報は、皆様のお役に立つものです。また、政策の実行においては、国民の理解も不可欠です。そこで、我々NITEの広報活動では、国民の皆様すべてに情報を届けたいという思いで情報発信しています。
―共同通信PRワイヤー導入のきっかけは?
山副 私たちは5つの分野(国際評価技術本部、バイオテクノロジー分野、化学物質管理分野、適合性認定分野、製品安全分野)にまたがって事業をやっております。これらのうちの製品安全分野については家庭用品の事故に関する取り組みで、消費者(国民)からの関心も高く、以前から比較的多くのメディアにも取り上げられています。しかし、他の4分野は法律に基づく業務や産業支援など、対企業の取り組みが主で、あまり広報を重要視していませんでした。このため、4分野ではメディアとのリレーションがあまり築けておらず、プレスリリースを発出しても業界紙以外には掲載されないといった課題がありました。また、テレビや新聞上の露出ももちろんですが、ネット検索で表示されたり、SNSで拡散されやすいウェブメディアへの掲載を増やしたりしたいという思いもありました。そんな中で、共同通信PRワイヤーのワイヤーサービスを知りました。
―導入を進めるにあたり、組織内の反応はいかがでしたか?
永瀧 理事長や理事等の役員がこれまで以上に広報を重要視しております。今年4月に新たに制定した中期方針では、我々のステークホルダーのなかで「国民」という存在をすごく大切に考えています。国民の皆様からのフィードバックを受けるために、まずは我々からの情報配信を増やすということで、ニュースリリースの配信を強化しています。他方で、現場担当者からは、「ネタがない」「書き方が分からない」「メディアリーチの仕方が分からない」の3点が課題としてあがりました。「ネタがない」については、内部取材を行い、現場がリリースするまでもないと考えていた案件も積極的に配信するようにしました。
―配信以外でも、共同通信PRワイヤーを活用いただいてるそうですね。
永瀧 はい。「書き方が分からない」という課題については、共同通信PRワイヤーなどが主催する無料のプレスリリース作成セミナーに、現場担当者も参加してもらうことで、少しずつ学んでいます。最後の「メディアリーチの仕方が分からない」については、まさに共同通信PRワイヤーを導入することで、1,500カ所以上のメディア担当者にプレスリリースを配信できています。
ワイヤーサービス導入後、メディア掲載数が爆増
パブリシティは「仕事に対する誇り」も醸成
―導入後、どんなところをメリットに感じられましたか?
山副 以前は、「プレスリリースを書いても媒体に載らない」と不安がありましたが、ワイヤーサービス導入後は、およそ50から60程度のWebサイトに「転載」という形で露出できます。初回は、喜びと驚きしかありませんでした。また、メディアとのリレーションをつないでいただく機会もあり、記事化された情報がYahoo!ニュースを頂点としたニュースサイトにも広がっていくこともありました。そうした点にメリットを感じています。
小松 掲載数が全体的に爆増しましたので、これはいいなと思いました。ワイヤーサービスから配信すると、多い時で約100サイトの露出につながり劇的に増えました。それに、今までは個別のWebクリッピングサービスなどで掲載情報を調べていましたが、共同通信PRワイヤーだと配信から3時間後ぐらいから提携サイトへの転載レポートもフィードバックされるので、NITEの情報が皆様にどのくらい届けられたかが分かり、次回以降の工夫につなげられます。
鈴木 自ら売り込みに行かなくても、取材の数も増えている気がします。特にバラエティー番組が増えています。先日もAKB48さんの番組で取り上げて頂きました。ニュースメディアへの露出が増えたことで、他のメディアからの信頼や関心も獲得できたのではないかと思っています。
―その他、組織内に変化は?
永瀧 メディアへの露出が増えたことで、広報には少し後ろ向きだった現場の意識が変わりました。今では、現場の担当者から「プレスリリースを発表したい」と積極的に提案してもらえるようになってきました。共同通信PRワイヤーで発表すると、いろいろなメディアに配信してもらえるという考えが組織の中で醸成され浸透したというのは良い影響でした。成果を出してアピールしたい時に、ある程度の結果が期待できるので、まさに頼りになる武器を手に入れた感じです。
山副 Yahoo!ニュースに掲載されると、自分の業務が評価されたと思う職員もいて、内部広報として組織内のモチベーション向上にもつながっていますね。
永瀧 自分たちの成果が世の中に出たり文章で残ったりすると、自分の仕事に誇りを持てる。それは家族や友人をはじめとした周りの方々へも「自分はこういう仕事をやっている」と伝えるためのツールにもなると思うんです。そういった部分で「外部広報に取り組むことは内部広報にもつながる」ことを実感しています。
情報ストック型のワイヤーサービスをSNSと連携し
回遊性あるコミュニケーション設計に
―活用しているSNSプラットフォームはありますか?
小松 Twitter、YouTubeとnoteを活用しています。例えばYouTubeなら、YouTube動画をPRワイヤーで配信するプレスリリースの文中に埋め込む。さらにプレスリリース配信後にTwitterにも投稿したり、「今回ご紹介した動画はこちらです」と再度YouTube動画を紹介したりと工夫しています。
―SNSアカウント運営上の工夫は?
小松 Twitterではタイムリーな情報を出すということです。例えば、8月1日の花火の日には花火に関連する注意喚起動画を紹介しました。ただしTwitterはフロー型のツールで、時間が経つとどんどん表示が下がるので過去の情報が見つけづらくなります。それに対してワイヤーサービスはストック型なので、時間が経ってからも過去の情報を見つけやすいです。これらの性質の違うツールを組み合わせて使った時に魅力があると考えています。
―今後、SNSで挑戦してみたいと考えていることは?
山副 LINEとかInstagramに興味は持っています。オウンドメディアを持っていてもGoogle検索では引っ掛かりづらいという事情もあります。若い方が利用されているSNSや、SEO対策がきちんとされているであろう共同通信PRワイヤーからのプレスリリース配信を起点に認知を広めながら、もう少し詳しく知りたい方はYouTubeやnoteへアクセスしていただき、さらに詳しく知りたいといった方にはNITEのホームページへ、という感じにしたいですね。それぞれのコンテンツで相互リンクを貼ってカスタマージャーニーを促すような「PESOモデル」に沿ったコミュニケーション設計を進めていきたいです。
鈴木 従来の紙媒体と異なり、ワイヤーサービスを用いて配信することで、プレスリリース文中に関連動画が埋め込めるほか、SNSで通知することも可能です。さらに、ネット上にアーカイブ化されるので、長期的に情報配信できることも魅力に感じています。プレスリリースを見て「危ないな」とか「NITEってこんな機関なんだ」と思ってくださる方を増やしながら、すでに活用しているnote記事への誘導も実践しています。プレスリリースでは記載できなかった、我々が動画撮影にかける思いなどをnote記事として紹介しています。
―民間企業とのコレボレーション企画も精力的ですね。
鈴木 はい。先日もクックパッド社と協業で「電気オーブンや電子レンジを使って焼き栗を安全に調理する」といった実証実験をプレスリリース配信しました。料理中は、火災や火傷等の重大な事故につながるおそれがあります。私がそうですが、ニュースで事故の映像を見ても、しばらく経ってしまうと注意情報を忘れてしまいます。そのため、クックパッド社と連携しクックパッドユーザー皆様を対象に、まさに料理をするタイミングにピンポイントで、料理中に起こりそうな事故の注意喚起を行うことを目的にしています。また、月間利用者数約5,500万人を誇るクックパッド社の知名度をお借りして、我々の情報が届いていなかった層にまでリーチしたいという思いもあります。
―今後の広報の課題は?
鈴木 リリース後の解析がしっかりできていないところに課題を感じています。発表して終わりではなくて、今まで配信したリリースと比較して今回どうだったかなど、そういう効果測定をしっかりやって、広報もPDCAサイクルを回していきたいです。
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