
内閣府は8月10日、「景気ウォッチャー調査」の2026年7月調査の結果を公表した。3か月前と比べた景気の現状に対する判断を指数にした現状判断DI(季節調整値)は、前月差1.7ポイント上昇の45.7となり、3か月連続の上昇となった。2〜3か月先を見る先行き判断DIは、0.1ポイント上昇の45.8。調査は毎月25日から月末にかけて行い、7月は2,050人のうち1,811人が回答した(回答率88.3%)。

3つの分野はいずれも上昇した。家計の動きをみる家計動向関連は1.9ポイント上昇の45.4で、なかでも飲食関連が5.7ポイント上昇の47.5と伸びが大きい。企業動向関連は1.0ポイント上昇の46.6、雇用関連は2.2ポイント上昇の46.1だった。ただし、どれも50には届いていない。
今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方は、「景気は、中東情勢によるマインド面の下押しを中心に影響が残るものの、持ち直しの兆しがみられる。先行きについては、中東情勢による不透明感が残ることに加え、令和8年熊本地震の影響に対する懸念もみられる」とまとめられている。
タクシー運転手と衣料品店の経営者 DIと一緒に「理由」の文章も公表される
この調査が毎月聞いているのは、景気が良くなったか悪くなったかの5段階だけではない。そう判断した理由を、文章でも書いてもらう。寄せられたもののうち主だったもの、特徴的と考えられるものが、地域・業種・職種と5段階の判断を添えて、1件ずつ公表される。7月調査では、現状の判断について1,189件が載った。ここから、猛暑に触れたものを引く。
南関東のタクシー運転手は、景気を「やや良くなっている」と判断した。理由の欄にはこうある。「朝から気温が上がり30度を超え、タクシーの利用が多くなっている。バス停まで歩くのはつらいという話を耳にしている。自宅から目的地まで涼しいタクシーの利用が増えている」
東海の衣料品専門店の経営者は「悪くなっている」を選んだ。「物価高に猛暑が追い打ちを掛けたようで、終日、商店街に人の気配がない」。片方は暑さを利用が増えた理由に挙げ、もう片方は物価高に暑さが重なったと書いている。
2000年1月に500人で始まった DIは50が分かれ目
この調査は2000年1月に始まった。当初は北海道など5地域の500人が対象で、2001年8月調査から現在の2,050人になっている。家計の動きや企業の動き、雇用の動きを敏感につかめる職種の人を選んで聞き、全国を12の地域に分けて集計する。DIは、5段階の回答に「良くなっている」の1から「悪くなっている」の0まで0.25刻みの点数を与え、それぞれの回答の構成比を掛けて足したもの。全員が「変わらない」と答えれば50になる。
企業を対象にした景況感の調査では、帝国データバンクが同じ7月分の景気動向調査を8月5日に公表している。あちらは全国の企業に毎月同じ設問で聞くもので、街角で働く人に聞くこの調査とは対象が違う。
広報TIPS — 調査結果を数字だけで発表すると、記事にする側は、その数字がどういう状況から出てきたのかを説明する言葉を、自分で探すことになります。この調査は、DIの集計とは別に、回答の文章を1件ずつ、地域と業種を添えて公表しています。全部ではなく、主だったものと特徴的なものを選んで載せる形です。自社の調査でも、自由回答から何本か選んで原文のまま載せておくと、そこを引用してもらえます。選ぶ手間はかかりますが、自由記入欄を設問に入れておかないと、選ぶ材料そのものが残りません。
出典:内閣府「景気ウォッチャー調査 令和8年7月調査」(2026年8月10日公表)/同「調査結果(抜粋)」/同「調査結果(全体版)」(調査の対象・期間、DIの算出方法はこのPDFによる)/同「景気判断理由集(現状)」(引用した文章の出所。地域・業種の表記も資料のまま)

