
とうもろこしの旬は夏だ。農畜産業振興機構は、令和4年の東京市場実績を基に、スイートコーン(とうもろこし)を「代表的な夏の旬野菜」とし、入荷は6〜8月に集中して7月にピークを迎えると説明している。本稿では2025年の市場データと2024年産の生産統計から、出回る量、平均価格、産地の移り変わりをたどる。
この夏、とうもろこしを味わい尽くす「もろ活」という言葉が、SNSや飲食店の発信、テレビで使われた。命名者や発祥は確認されていない。
東京市場の入荷は6〜8月に集中、7月がピーク
東京都中央卸売市場の2025年実績は、6月約3,536t・305円/kg、7月約4,562t・253円/kg、8月約2,687t・272円/kg、9月約474t・324円/kg。年間は約11,941t、平均289円/kgだった。

7月は入荷量が年間で最も多く、平均価格も最も安い。多く出回る時期ほど買いやすいという、旬の実利が数字に表れている。10〜5月は入荷量が桁違いに小さいため、端境期の価格だけを主シーズンと比べることはできない。
収穫量日本一は北海道、夏前半の店頭は関東近県産
農林水産省の2024年産統計では、全国の作付面積は20,900ha、収穫量は211,900t、出荷量は175,100t。北海道は収穫量80,300tで全国の37.9%、出荷量77,400tで44.2%を占める。収穫量は千葉16,900t、茨城15,900t、群馬13,300tが続く。
一方、機構が令和4年の東京市場実績を基にまとめた産地の流れでは、5月に九州産が始まり、6月から茨城、山梨、愛知、千葉などが加わる。北海道産が中心になるのは8月以降だ。9月上旬のいま、東京の店頭に並ぶのは主に北海道産で、旬は終盤に入っている。
収穫量5位の長野は7,730t。ただし東京都中央卸売市場の2025年の取扱量で見ると、長野産は年間の約1%にとどまる。JA長野県によると、出荷先は中京や関西の市場が中心だ。
品種は実名で選ばれる
機構はイエロー系に「味来」「ゴールドラッシュ」、シルバー系に「ピュアホワイト」を挙げ、黄色粒と白粒が3対1で混ざるものをバイカラー系とする。「ドルチェドリーム」も含め、品種は実名で見分けたい。ゴールドラッシュとドルチェドリームは、各メーカーが商標表示付きで使う名称だ。サナテックシードの品種一覧には、イエロー系で中早生の「ピクニックコーン」も並ぶ。長野県農業協同組合中央会が2016年に公開した記事は、諏訪郡原村を標高1,000メートルの八ヶ岳山麓と紹介し、当時のとうもろこしの品種にピクニックコーンを挙げている。機構はピュアホワイトを、糖度が高く生でも食べられる品種として紹介する一方、収穫後は鮮度が落ちやすいとも説明している。
2026年の作柄
機構の8月需給見通しは、北海道産の出荷開始を8月8〜10日ごろ、群馬産のピークを7月20日過ぎから8月10日ごろまでと予想した。北海道は「味来」「恵味」、群馬は「ゴールドラッシュ」「恵味」が中心とみられた。
JAおおいたは8月24日、豊肥地区では梅雨明けが早く生育期の雨が少なかったため、例年よりやや小ぶりだが甘みは十分で、高温により収穫適期が短いと伝えた。JA長野県は7月15日、松本ハイランドでは凍霜害の影響もなく、高温により生育が進み、7月2日から荷受けが始まったと報告した。いずれも地域の作柄情報で、全国の価格動向を示す集計ではない。
出典:農林水産省「令和6年産野菜生産出荷統計・スイートコーン」/東京都中央卸売市場「市場統計情報」(2025年年報および明細データを集計)/農畜産業振興機構「野菜情報『スイートコーン』」(2023年7月)、「2026年8月の野菜需給見通し」/JAおおいた「豊肥地区のお知らせ」(2026年8月24日)/JA長野県「トピックス」(2026年7月15日)/サナテックシード「スイートコーン品種紹介」/長野県農業協同組合中央会「長野県のおいしい食べ方」(八ヶ岳生とうもろこし)(2016年8月30日)

