米IABがAI広告の開示基準第2版を公開 「AI」表示が必要な例・不要な例、判断の軸は消費者が誤認するおそれ

米国のデジタル広告業界団体IABは2026年8月18日、広告でAI利用をいつ、どう示すかをまとめた「AI Transparency & Disclosure Framework」の第2版を公開した。判断の軸は消費者を誤認させるおそれがあるかで、プロンプトから生成した画像には開示が必要な一方、色補正やレタッチには必要ない。

IABがAIを使った広告にラベルが必要かを「消費者を誤認させるおそれ」で判断し、必要な例と不要な例を一覧にした開示基準の第2版を示す白地の表紙型カード

米国のデジタル広告業界団体IAB(Interactive Advertising Bureau)は2026年8月18日、AIを使った広告に「AIを使った」といつ、どう示すかの基準「AI Transparency & Disclosure Framework」の第2版を公開した。初版は同年1月。IABは1996年設立で本部はニューヨーク、メディア、ブランド、代理店、技術企業など700社超が加盟する。対象は有料・スポンサード・ブランドが管理する広告やマーケティングコミュニケーションで、米国の広告業界の自主基準として法的拘束力はない。

開示を判断する「消費者を誤認させるおそれ」

開示が必要かどうかは、AIをどれだけ使ったかではなく、消費者が本物か、誰なのか、何を表しているかを誤認するおそれがあるかで決める。従来の編集ツールで同じ作業をしても開示が不要なら、AIで行っても不要だ。IABは、何にでもラベルを付けると受け手がラベルを無視する「ラベル疲れ」を招くと説明する。

画像・動画・音声・人物・文章で開示が必要な場合

画像と動画は、明らかに非写実的なものを除き、プロンプトから生成すれば人が後から加工しても開示が必要になる。色補正やレタッチ、実写の動画で夕日の色を強める編集は必要ない。故人の声で生前に本人が言っていない言葉を語らせる場合は、遺族の許諾があっても必要になる。一方、許諾済みの生きている人の声クローンで台本どおりに語らせる場合は必要ない。実在の人と見間違う完全AI生成の人物や故人のデジタルツイン(実在の人物のAI複製)は必要で、明らかに人間でないマスコットは必要ない。文章・コピーの下書きは原則として開示は不要だが、正確さと裏付けには広告主が責任を負う。

IABが示した、AIを使った広告で開示が必要な場合と不要な場合を画像・動画・音声・人物・文章の種類別に並べた表
IABが示した、AIを使った広告で開示が必要な場合と不要な場合。判断の軸はAIをどれだけ使ったかではなく、消費者を誤認させるおそれがあるか(米国の広告業界団体の自主基準・訳語と要約は汐塾)。出典:IAB「AI Transparency & Disclosure Framework V2」(2026年8月) 作図:汐塾

ラベルの表示方法と広告主の責任

消費者への表示は、スパークル(✨)アイコンか「AI-generated」などの文言ラベルのどちらでもよい。動画では最初のフレームから、AIの人物やアバターが出ている間は表示を続ける。仕組みは2層で、人が開示の要否を判定してラベルを付け、コンテンツの来歴を記録する技術規格C2PAのデータを機械が読んで確かめる。責任は広告主にあり、プラットフォームがラベルを出さなかった場合も広告主の責任になる。

ニューヨーク州・カリフォルニア州の法律とEU AI法

初版後、ニューヨーク州のSynthetic Performer Disclosure Lawは2026年6月9日、カリフォルニア州のAI Transparency ActとEU AI法第50条は8月2日に施行・適用された。カリフォルニア州法は生成AI提供者が対象で、広告主には直接適用されない。IABは、本人が許諾した生きている人の声クローンと、架空の出来事を描かない許諾済みのデジタルツインは開示不要とするが、EU第50条(4)に商業的推奨の例外はない。EU市場ではEUの要件が優先し、他地域でも法規制の方が厳しければ法規制を優先する。

公開前に確認する4項目

IABは60日以内にAI開示の責任者(AI Disclosure Lead)を1人置き、「AIを使ったか」「どのツールか」「開示が必要か」「ラベルがあり、見えるか」の4項目を公開前に確認するよう示す。自社の基準を作るときはIABの一覧と照合し、「AIを使ったか」に加えて「見た人が本物と思い込むか」を確認項目にできる。

出典:IAB「AI Transparency & Disclosure Framework V2」(ガイドラインページ、2026年8月18日)、IAB Updates Industry Framework for Consistent AI Transparency & Disclosure in Advertising(プレスリリース、2026年8月18日)、IAB「AI Transparency & Disclosure Framework V2」(PDF、2026年8月)

広報の視点 — 米国の広告業界団体IABは、広告を公開する前に「AIを使ったか」「どのツールか」「開示が必要か」「ラベルが見えるか」の4項目を確かめるよう示しました。
米国の自主基準なので日本の広告主に義務はありませんが、このように公開前の確認項目に「見た人が本物と思い込むか」を1つ加えることは、自社で今日からできます。
制作会社や代理店への発注書に「AIを使ったか」「どのツールか」の欄を設置すれば、担当者が変わっても同じ4項目で判断ができます。

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汐塾編集部

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