プレスリリースは、新商品の発売や新サービス、新規事業の開始、あるいは経営・人事などの情報を、ニュース素材としてメディアの担当者が利用しやすいようにまとめた、企業としての公式文書です。誤解が生じないよう正しい書き方や配信する際に気をつけたい注意点について解説します。
目次
プレスリリースを書くときに気を付けたい注意点
プレスリリースを書くときの注意点は以下の5つです。
それぞれ解説していきます。
広告表現は避ける
プレスリリースは広告とは異なるため、広告的な表現や余分な形容詞は避けましょう。例えば、「優れた」「素晴らしい」「画期的」などの形容詞は使わないようにします。画期的かどうか判断するのは記者であることをわきまえておきましょう。
また、商品やサービスの購入を促すような広告的な表現も適切ではないので注意が必要です。
広告との違いについて、以下の記事で詳しく説明しています。ぜひご覧ください。
「プレスリリースとは?配信の効果、メディア掲載のポイントを解説」の記事を見る
「日本初」などの最上級表現は根拠に基づき記載する
プレスリリースでは根拠のない「日本初」「ランク1位」「人気No.1」などの表記は誇張表現とされてしまうため、根拠なく使うのはやめましょう。使うのであれば客観的な根拠や裏付けとなるデータが必要になります。その場合、第三者機関で調査したデータであればより信憑性が高まります。軽率に使わないよう注意しましょう。
根拠がないまま記載してしまうと、「景品表示法」の「優良誤認表示」に該当する可能性があります。
優良誤認表示とは、商品・サービスの品質や規格について、実際よりも著しく優れたものであると誤解させたり、競合他社よりも著しく優れたものであると誤解させるような表示のことです。
インパクトのあるプレスリリースにするために使いたくなるかもしれませんが、根拠のない表現や誇張表現を使ってしまうと、法律に抵触してしまうだけでなく、企業の社会的信頼を損なってしまう可能性もあります。
なお、医療・医薬品や化粧品などについては原則として「最高」「最大」「最も」などの最上級表現は使えません。医薬品などの適正な価格や品質が保たれなくなってしまう場合があるからです。根拠なく使った場合は「医療法」および「薬機法」に抵触する可能性があります。データや根拠を明確に提示できる場合のみ使用し、事実に基づいた表記にしていきましょう。
情報解禁日前に配信しないようにする
情報解禁日時とは、新商品の発売や新サービス、新規事業の開始、あるいは経営・人事などの企業情報を、公に発表する日のことです。プレスリリースは多くの場合、情報解禁日時以降に配信します。
もし間違って解禁前に配信してしまったら、社内的にも社会的にも混乱が生じてしまいます。情報解禁日時について、広報担当者はしっかり認識しておきましょう。
関係の深いメディアには解禁前にプレスリリースの情報を提供することもあります。また、記者発表を行う場合には事前に案内状を送ります。このような場合には、メディアのフライングを防止するためにも、しっかり根回しをするとともに、プレスリリースや案内状には解禁の日時を目立つように明記しておく必要があります。
記者クラブでは、情報解禁日時のことを「黒板協定」と呼んでいます。幹事社とよく調整しておきましょう。
商品名、価格、発表日など重要な情報に間違いはないか確認する
プレスリリースは企業や団体の公式文章として、正確さが求められます。特に商品名、価格、発表日など重要な情報に間違いはないか必ず確認を行いましょう。
よくある間違いとしては、以下のものが挙げられます。
- イベント開催場所の住所
- イベント開催日時
- 商品やサービスの価格
- キャンペーンに起用した著名人の漢字
- 添付画像(製品パッケージが似ている他製品を添付してしまうなど)
万が一間違ってしまった場合は、すぐに訂正の配信をしましょう。
インターネット・メディアが普及した今日では、発表から報道までの時間が短くなっていますので、対応にはスピードが求められます。報道後にはSNS等で拡散される可能性もあります。情報に漏れや誤りがないか慎重に確認してから発表しましょう。
社内用語や業界用語は極力使わない
プレスリリースは、商品の開発部門や技術部門の作成した社内資料をもとに書かれることがあります。社内資料には、専門用語や業界用語が当たり前のように使われています。
専門用語や業界用語が多用されたプレスリリースは、特に一般向けの新聞などでは避けられてしまいます。誰にでもわかるような平易な表現を使うようにしましょう。一般紙の記者は「中学生でも理解できるような記事を書く」ことを心がけています。どうしても使う必要がある場合には、注釈をつけるなどの工夫をしましょう。
記事内容のコントロールはできないことを理解する
編集権はメディア側にあるため、プレスリリースの発信元である企業が、記事の内容に口を挟むことはできません。記者は客観的な立場からプレスリリースの情報を記事にします。情報の切り取られ方は記者によるため、意図しない形で報道されることもあります。
プレスリリースを作成する際は誤解や誤認が生じないよう、伝えたいことを分かりやすく記載しましょう。
プレスリリースを配信するときに気を付けたい注意点
次に、配信時の注意点を3つ解説していきます。
■プレスリリースを配信するときの注意点
それぞれ解説していきます。
送付先は親和性の高いメディアを選ぶ
プレスリリースはテーマや素材によって、送付すべきメディアが異なるため、対象を絞って送りましょう。プレスリリースの発表内容とアプローチしたいメディアや部署が取り扱うテーマを確認し、親和性の高いメディアに送ることが重要です。
送付先をリストアップする際は、実際に媒体の記事や特集を見て判断していきます。メディアに記事として取り上げてもらうには、自社の情報に興味を持ちそうなメディアを選んでいきましょう。
送付先の探し方について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
メディアが求める送付方法で送る
プレスリリースは送付先メディアによって、送付方法や形式が異なります。
最近ではほとんどのメディアがメールでの配信を希望していますが、新聞・雑誌・TVではFAXや郵送、メールとの併用を希望する場合もあります。メディアによって様々なので、それぞれのメディアに確認してから希望する送付方法に沿った形式で送るようにしましょう。メディアの立場に立ち、適切なもので送付すると親切です。
目に留めてもらいやすいタイミングで送付する
プレスリリースは目に留めてもらいやすい曜日や時間帯に送ることも重要です。
過去に当社が行った調査を集計したところ、プレスリリースを送るならプレスリリースは平日のビジネスアワーに送るのが望ましいということが分かりました。時間帯としては、10時台〜11時台、14時台〜15時台が狙い目です。
多くのメディアが暦通りに稼働していることと、月曜日は祝日になる場合が多かったり休日明けでメディアが忙しかったりすることを考慮し、火曜日から金曜日のビジネスアワーに配信するのが良いでしょう。プレスリリースを見てもらうためには、相手が忙しいと予想される曜日や時間帯は避けて送ることが重要です。
プレスリリースを送るタイミングに関して詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
「プレスリリースの配信タイミングはいつ?最適な曜日と時間を決めて効果的に配信しよう」の記事を見る
プレスリリースを配信する基準
プレスリリースを配信するかどうかを判断する基準はニュースバリュー(報道価値)があるかどうかです。
ニュースバリューとは、報道に値すると認められる、ニュースの重要性・価値のこと。例えば、画期的な商品・サービスなどの新規性や、ギャップや驚きのある意外性、世の中のトレンドなどの時事性など、報道する価値のある情報のことです。
具体的には以下のものが挙げられます。
- 新サービスや新商品の発表
- キャンペーンや新CM の発表
- イベント開催前後の報告
- 商品やサービスの売れ行きが好調というお知らせ
- 会社の経営計画や決算、社名変更等の発表
- 他社との業務提携、新会社設立
- 人事の発表
上記に挙げたように、記者がプレスリリースを見たときに興味を持つようなニュースバリューのあるテーマを決めていきましょう。
プレスリリースは、メディアに対して企業の新しい情報を発表する公式文書です。そのため、ニュースとして取り上げられても良いように資料として法令違反がないか、不快にさせる表現はないかなどの確認をした上で発表しましょう。
「プレスリリースのネタについて詳しく知りたい」という方は、以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
「プレスリリースのネタ10選!ネタ探しの方法や取り上げられやすいポイント」の記事を見る
執筆時の注意点を守りメディアに取り上げれるプレスリリースを目指そう
プレスリリースは正しい表現で誤解が生じないように記載することが重要です。
広告表現は避け、「日本初」などの最上級表現は根拠に基づき記載するなどの注意点に気をつける必要があります。根拠のない表現を使ってしまうと法律に抵触してしまうだけでなく、企業の社会的信頼を損なってしまう可能性もあります。
本記事で紹介した注意点を参考に記者の目に留まるようなプレスリリースを配信し、自社の情報を世の中に広めていきましょう。
「プレスリリースの書き方を見直したい」という方は、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご活用ください。