プレスリリースの最も重要な目的はメディアに取り上げられ、記事化されることですが、最近ではSNSやブログでも話題になったり取り上げられたりするようになってきました。広報担当者としては、ネットで拡散されることは嬉しいことです。では、プレスリリースはどこまで引用して良いのでしょうか。広報担当者が知っておきたい引用と著作権のルールについて詳しく解説します。
目次
引用とは?転載との違い
引用とは、他者の文章や事例などを自分の文章の中に追加して載せることです。引用は、自分の書いた文章をあくまで補足するためのものです。誰かの著作物をそのまま複製して使うのは著作権侵害にあたりますが、引用の場合は基本的に著作権侵害には該当しません。ただし、「無断引用不可」の表示がある場合は引用できません。必ず著作権所有者に確認して使用する必要があります。
引用する際は引用元の表現を変えてはいけません。変更すると不正引用とみなされます。引用する場合は引用した部分がわかるように記載する必要があります。
転載との違い
転載とは、引用と同じように他者の文章や事例などを自分の文章の中に追加して載せることです。
引用との大きな違いは、「引用される」側の文章の割合が「引用する」側の文章より多い点です。違いをまとめると、以下のようになります。
【引用と転載の違い】
引用 | 転載 | |
割合 | 「引用する」側の文章の割合が多い | 「引用される」側の文章の割合が多い |
著作権の確認 | 基本的には不要 | 必要 |
転載は著作物のコピーになってしまい、複製権(※)を侵害する可能性があります。転載するときは必ず著作権者の許可が必要です。
※複製権…著作財産権(著作権)の一つで、著作物を無断で複製する権利のこと。
プレスリリースの引用は著作権違反になる?
著作権とは知的財産権の一つで、著作物を守るための権利です。全ての著作物は著作権法によって守られています。著作物とは、文芸、芸術、美術または音楽の範囲に属するものなどがあり、小説や絵画、アニメや映画などが該当します。
引用の場合、条件を満たしていれば、著作権所有者に許可をとらず無断で行っても著作権侵害にはなりません。
問題のない引用かどうかを判断するポイント
引用されても問題ないかどうかを判断するポイントは、以下の通りです。
■問題のない引用かどうかを判断するポイント
それぞれ詳しく解説していきます。
引用文より本文の文章量の方が多いか
ブログやSNSなど「引用する」側の文章が、「引用される」文章(プレスリリース)より多い場合は引用になります。
逆の場合は転載になるので、著作権者であるプレスリリースの発信元の許可が必要になります。ただし、ニュースサイトやポータルサイトなどには、プレスリリース配信会社が提携して転載しているケースもあります。
本文と引用文の区別がつくか
引用する側は、引用文であることが読者にもはっきり分かるように区別する必要があります。鍵括弧を使用したり、罫線で囲むなどの方法があります。
出典元が記載されているか
出典元とは、引用した文章の情報元のことです。出典元は以下のように記載します。
- 書籍の場合…著者名、書籍名、出版社、出版年、ページ数
- Webページの場合…著者名、ページタイトル、サイト名、URL
- プレスリリースの場合…企業・団体名、発信日、タイトル、URL
引用文は出典元とセットで記載する必要があります。
引用や転載の許可連絡を受けた時の対応方法
引用や転載の許可連絡を受けた場合はどのように対応すれば良いのでしょうか。
プレスリリースの送付先であれば、引用や転載は基本的にOKです。プレスリリースを送っていない相手の場合は引用の範囲であれば問題ないことを伝えましょう。転載を許可するかどうかは相手によりますが、許可した場合でも、転載許可を受けたことを明記してもらうように依頼しましょう。
プレスリリースが引用されるメリット
プレスリリースが引用されることでどのようなメリットがあるのでしょうか。以下にメリットをまとめました。
■プレスリリースが引用されるメリット
それぞれ詳しく解説していきます。
会社名を知ってもらうきっかけになる
プレスリリースが引用されることで、多くの人に自社のことを知ってもらえるきっかけになります。今まで目に触れることのなかった人たちにも自社のことを知ってもらい、情報を届けることで、認知度の向上につながります。
プレスリリース原文も見てもらえる可能性がある
引用された場合、元になったプレスリリースのURLが記載されます。引用先からのアクセスが増え、プレスリリース原文も見てもらえる可能性が高まります。さらに、プレスリリース以外の商品情報や企業情報にも興味・関心を持ってもらえるきっかけにもなります。
引用されやすいプレスリリースの内容
プレスリリースを引用されることで様々なメリットがありますが、引用されやすいのはどのような内容なのでしょうか。引用されやすいのは以下のようなものです。
- 消費者アンケートや市場調査の結果
- 市場規模やランキング、シェア率などの数字
- 社長や商品開発担当者、広報部担当者などのコメント
引用されやすいプレスリリースを目指す場合は意識すると良いでしょう。
引用されやすいプレスリリースを書いて記事化を目指そう
引用と転載に関する知識は、著作権侵害を未然に防ぐ上で重要です。プレスリリースが引用されることで企業・団体名を知ってもらうきっかけになったり、原文も見てもらえる可能性があります。市場調査やランキングなどのプレスリリースを作成するのも良いでしょう。
以下のページでは、プレスリリースの書き方のポイントを解説しています。詳しく知りたい方は以下の記事をぜひ参考にしてみてください。