タイトルを見てプレスリリースに関心を持った記者が、最初に読むのがリード文です。では、リード文はどのように書くと良いのでしょうか。この記事では、記事化につながるリード文の書き方や例文を紹介します。
目次
リード文とは
リード文とは、文書全体の概要を簡潔に説明した文章のことです。
タイトル直後の冒頭に配置されるため、「冒頭文」「導入文」とも言われています。
リード文はタイトルの次に読まれる文章で「もっとこの内容を知りたい」「文章を読み進めたい」と読者に思わせる、興味を喚起させる重要な役割があります。そのためルールを守り端的に書くことが不可欠です。
プレスリリースにおけるリード文とは
リード文とは、プレスリリースの冒頭第一段落のことです。記者が興味を持つかどうかは、タイトルとリード文で決まると言っても過言ではありません。本文まで読む気になるかどうか、大きな判断材料になる部分です。
タイトル同様、結論から書いていく必要があり、結・起承転の結に相当します。
タイトルとリード文がプレスリリースの基本です。記事にできるかどうか、取材をするかどうかの判断がすぐに下せるように、タイトルと同じく結論から書いていきます。何を伝えたいのか明確にし、記者の目を引く切り口にしていきましょう。
プレスリリースのリード文の文字数目安
プレスリリースのリード文の目安は200〜300字程度と言われています。
しかし、これはあくまで目安です。必ずしも文字数にこだわる必要はありません。必要な情報を過不足なく記載し、短時間に誤解なく内容を理解できる文字数に仕上げましょう。
プレスリリースのリード文の書き方
プレスリリースのリード文の書き方は以下の通りです。
■プレスリリースのリード文の書き方
プレスリリースのリード文の書き方を、例文を使ってそれぞれ詳しく解説していきます。
1. 5W1Hに整理して書く
リード文は5W1Hで書きます。5W1Hの要素をきちんと準備してから作文すると、早いうえにシンプルな文章になりやすくなります。まずは5W1Hの要素を漏れなく書きだしてみましょう。
- Who…誰が(企業、人物)
- What…何を(対象物、対象内容)
- When…いつ(時期、期間)
- Where…どこで(実施場所)
- Why…なぜ(理由、目的)
- How…どのように(方法、手段)
例文を使って考えてみましょう。
【例文】
一般社団法人XYZ協会(所在地:□□県□□市/理事長:□□□□)は、エンタテイメント施設などソフト面での魅力に欠けるとの理由で近年来街者の減少が顕著な△△町商店街の活性化の一環として、ストリートダンスの第一人者である□□□さんをゲストに招き、地元△△町青年会のメンバーとのコラボレーション・ダンスイベント「▲▲▲▲」を、〇月〇日(〇)〇時から、△△町の□□ホールで開催します。
例文を5W1Hに整理すると、以下になります。
- Who…一般社団法人XYZ協会(所在地:□□県□□市/理事長:□□□□)
- What…地元△△町青年会のメンバーとのコラボレーション・ダンスイベント「▲▲▲▲」
- When…〇月〇日(〇)〇時から、
- Where…△△町の□□ホール
- Why…エンタテイメント施設などソフト面での魅力に欠けるとの理由で近年来街者の減少が顕著な△△町商店街の活性化の一環
- How…ストリートダンスの第一人者である□□□さんをゲストに招き
プレスリリースは、発信元である企業名や団体名から書き始めます。これが「Who」に相当します。企業名・団体名に続いて、括弧で本社所在地と代表者の名前を記載します。
伝えたい内容を5W1Hに整理して書くことで、必要な情報が把握できます。誰が読んでも素早く理解できる、わかりやすいリード文を目指しましょう。
新聞や雑誌のリード文を参考にしてみましょう。記事本文の要約が、5W1Hで簡潔に整理されています。
2. ニュース性を明確に表現する
記者が求めているのは「ニュース」です。「新しい要素や珍しい要素」がなければ、記事にしようとは思いません。
プレスリリースの中に、世の中の人々に伝えたい新しさ、珍しさがあり、その裏付けが書かれていれば、記事として使えると判断されます。リード文でそこまで伝えられれば、本文まで読んでもらえる可能性が高まります。
ニュース性が明確に表現されたリード文にしていきましょう。
例
- 〇〇賞受賞
- 〇〇業界で初めて、日本初
- 新たに、新発売
最上位表現と言われるような、「日本初」「世界初」「No.1」などを使う際は根拠が必要です。
リード文にこれらの表現を入れた際は、本文に調査結果、自社調査か他社調査かなど根拠を記載しましょう。
3. 本文を簡潔に要約する
リード文だけで本文の内容が理解できるように、簡潔に要約して書くことが重要です。リード文で要約された内容を、具体的に詳しく説明したものが、プレスリリース本文になります。リード文と本文の対応関係を考慮しながら、まとめていきましょう。
繰り返しますが、本文まで読まれるかどうかはリード文で判断されます。記者が内容を瞬時に理解できるように、事実を過不足なく簡潔に記載しましょう。
記事化に繋がるリード文を書くポイント
プレスリリースにおけるリード文の書き方のポイントを解説していきます。書き方のポイントは下記の3点です。
声に出して読んでみる
リード文を書き終えたら、声に出して読んでみましょう。
音読をすることで、内容は適切か、分かりにくい箇所はないかといった、パソコン上では見落としていた点が見えてくることがあります。
できればプリントアウトし、紙ベースに落としてから音読するとさらに見落としを減らすことができます。
形容詞や専門用語を使わない
「とても」「すごい」「キレイ」などの形容詞の使用は避けましょう。これらは主観的で、プレスリリースの内容を伝える言葉としては適しません。プレスリリースは事実のみを記載し、端的に伝えましょう。
また専門用語も極力避けてください。
初見では分からない、調べなければ分からない言葉があった時点で記者は読み進めることを躊躇します。専門用語については注釈を付けたり、誰が見ても分かりやすい言葉で、簡潔に伝えましょう。
新聞や雑誌を参考にする
新聞や雑誌のリード文を読むことも参考になります。
新聞や雑誌等のリード文は、文字数が少なく制限されています。制限のある中で内容を端的に伝え、且つ読者の興味喚起を引き出すプロのテクニックが凝縮されています。
時間があれば参考にしたいリード文を一言一句そのまま書き写してみましょう。文章の流れやコツが身につくため、おすすめです。
例文で見るプレスリリースのリード文5選
ここでは、プレスリリースのテーマ別に使えるリード文の例を5つ紹介します。
書く予定のあるプレスリリースのテーマがあれば、コピー&ペーストして使ってみましょう。
新商品・新製品(ビジネス向け)
【例文】
20XX年〇月〇日
株式会社ABC
Web会議専用の新たなコミュニケーション・ツール「■■■■」を〇月〇日発売
テレワーク時代のコミュニケーション課題を背景に独自の制御技術を開発。
Web会議ツールでは初めて△△△△△のできる機能を搭載
株式会社ABC(本社:東京都港区/社長:共同太郎)は、20XX年○月○日から、Web会議ツールでは初めて(*1)となる△△△△のできる機能を搭載したコミュニケーション・ツール「■■■■」を、全国の家電量販店で発売します。
イベント・セミナー・展示会(イベント)
【例文】
20XX年〇月〇日
一般社団法人XYZ協会
ストリートダンス・イベント「▲▲▲▲」で商店街活性化
〇月〇日(〇)〇時から△△町□□ホールで開催(入場無料)
△△町青年会とストリートダンサー□□□さんとのコラボレーション・ダンスイベント開催
一般社団法人XYZ協会(所在地:□□県□□市/理事長:□□□□)は、△△町商店街の活性化の一環として、ストリートダンスの第一人者である□□□さんをゲストに招き、地元△△町青年会のメンバーとのコラボレーション・ダンスイベント「▲▲▲▲」を、〇月〇日(〇)〇時から、△△町の□□ホールで開催します。
海外展開・国際交流(受賞)
【例文】
20XX年〇月〇日
株式会社ABC
第●回 フェミナリーズ世界ワインコンクール20XX「リキュール」部門で、
パイン酒「マージャーのため息」がゴールド受賞
存在感を放つ石垣島産「ピーチパイン」の魅惑の香りが高評価
株式会社ABC酒造(本社:沖縄県那覇市/社長:共同太郎)は、世界中の女性ワイン専門家が選ぶユニークな国際コンクール「フェミナリーズ20XX」のリキュール部門に「パイン酒『マージャーのため息』」を出品し、○月◯日に審査会の結果が発表され、ゴールドを受賞しました。
提携・M&A・新会社・IPO(提携)
【例文】
20XX年〇月〇日
株式会社ABC
株式会社ABC、・・・・・・・を目指し、株式会社XYZとの業務提携を締結
□□□□領域における豊富な知見とデータ解析技術の両面から△△△戦略構想の構築を強化
株式会社ABC(本社:東京都港区/社長:共同太郎)は、□□□コンサルティング会社として、企業の価値創造を支援する戦略パートナーとなるべく、クライアントからのビッグデータの分析・活用による経営戦略・マーケティング戦略立案に対応するため、株式会社XYZ(本社:東京都港区/代表取締役 CEO:○○○○)は、○月○日に業務提携契約を締結いたします。
キャンペーン・プレゼント(TVCM:動画公開)
【例文】
20XX年〇月〇日
株式会社ABC
△△△△ブランドの新キャンペーンTVCM「▲▲▲▲」篇 20〇〇年〇月〇日(〇)から全国放映開始
タレント□□□□さんがXXXXXに扮しCM初出演
株式会社ABC(本社:東京都港区/社長:共同太郎)は、△△△△ブランド新キャンペーンの一環として、タレントの□□□□さんを起用したTVCM「▲▲▲▲」篇を、20XX年〇月〇日(〇)から全国で放映します。□□□□さんは今回が初めてのTVCM出演となります。
リード文を工夫してプレスリリースの完成度を高めよう
リード文は、記者が本文まで読み進めるか、大きな判断材料になる部分です。
リード文だけでプレスリリース全体の内容が理解できるように書く必要があります。必要な情報をできるだけ簡潔にまとめて、本文の内容を分かりやすく記載しましょう。
プレスリリースの書き方について詳しく知りたい方は以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
「プレスリリースの書き方10のポイント!基本の5構成と記者に取り上げられるコツ」の記事を見る
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