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広報・PRとは何か?【必ず知っておきたい広報・PRの基礎知識 第1回】

広報・PRとは何か?

広報・PRというとどんなイメージを思い浮かべるでしょうか?
一般的には、「PR=宣伝」というイメージが強いのですが、本来の意味はちょっと違います。
PRは「Public(一般の人々) Relations(関係性)」の略で、
「人々とどういった関係を築くか」という「企業と人の関係性」を指しているのです。
【必ず知っておきたい広報・PRの基礎知識】
▶第1回:広報・PRとは何か?
 第2回:メディアとは何か?
 第3回:広報・PR活動の始め方

PRとは、Public Relations のこと

PRの本当の意味は?

広報・PRというとどんなイメージを思い浮かべるでしょうか?
真っ先に「自己PR」という言葉を思い浮かべる方もいるかもしれません。
一般的には、「PR=宣伝」というイメージが強いのですが、本来の意味はちょっと違います。
PRは「Public(一般の人々) Relations(関係性)」の略 ── つまり「人々とどういった関係を築くか」という「企業と人の関係性」を指しているのです。

企業・団体等の組織が、自分たちに関わる人々や組織との間に良好な関係を築き、その関係を維持しようとするとき、大切なことは、双方向のコミュニケーションを行っていくことです。
伝えたい情報を伝え(発信)、人々からの情報を受け取る(受信)。
それは一方的に消費者に情報を伝える「宣伝」とは異なります。

「想像していた内容と違う」と思った方がいるかもしれません。
それも当然で、戦後日本にPR(ピーアール)という言葉が入ってきたときから、企業の間では「宣伝」とほぼ同じ意味で使われることが多かったのです。
そのため、大きな誤解を生むことになり、本質とはかけ離れたPR活動を行う企業が現れたり、あまり効果的とは言えないプレスリリースが多く配信されたりすることになったのです。
まずは、本来の意味を正しく理解しましょう。
それによって、より効果的な広報・PR活動を展開することができるようになります。

良好な関係を築き維持し発展させていく活動が広報・PR

PRとは「Public(一般の人々) Relations(関係性)」── では、「一般の人々」とは具体的には一体誰のことを指すのでしょうか。
少し専門的な用語になりますが、「ステークホルダー」と言います。
それは、「企業や団体と何らかの利害関係を持つ人々」のことです。

一般的に、広報・PRの主たる対象は「メディア」と思われていますが、ステークホルダーはメディアだけではありません。
消費者や生活者、取引先の企業、株主、関係する自治体や公官庁、消費者団体、NGO・NPOなど多岐にわたります。
それらすべてが広報・PR活動の対象になるのです。
対象となるステークホルダーの状況を充分に理解した上で、情報の受発信を行うことで、相互の理解を促進し、良好な関係を構築し維持し発展させていくことが、広報・PRの中心的な活動になります。
企業団体を取り巻くステークホルダーを示した図。株主、取引先、従業員のみならず、メディアや消費者、アナリストなど、広報活動で良好な関係性を築くべき相手は多岐に渡る。

広報・PRにおける情報発信とは?

広告・宣伝の情報発信と同じ?

「情報発信」ということでは、広報・PR活動も広告・宣伝活動も同じように思われるかもしれません。
しかし、広告・宣伝活動は主に商品やサービスの知名度を上げ、消費者の購買意欲を高め、販売に結びつけるという「販売促進」が目的ですが、広報・PRの場合は、関係性の構築・維持・発展が目的ですから、発信する内容やタイミングはおのずと異なります。

企業活動を正確かつ適切なタイミングで公開し発信すること

広告・宣伝の場合は、新商品や新サービスが市場に投入されるタイミングで実施される場合がほとんどです。
一方、広報・PRは、さまざまな企業活動の節目節目で、情報を発信する必要があります。
例えば、創立〇〇周年、経営者の交代、人事異動、事業提携、M&A、新規事業、社会貢献、地域貢献・・・。
あるいは、あまり起こってほしくないことではありますが、不祥事や事故などが起こることもあり得ます。
そういった企業の活動を「正確」に「適切なタイミング」で公開し発信していくことが、ステークホルダーとの良好な関係を築いていく上での基本的な広報・PR活動になります。

目指すべきところは、ステークホルダーに対して、あなたの会社の「組織・商品・サービス・人々」のことを知ってもらい、理解してもらい、好印象を持ってもらうことで、長期的に良好な関係を築いていくための土台を作ることです。

販促時ではない PR 事例としては、ルバンシュの「水のいらないシャンプー」の被災地支援があげられるでしょう。
ルバンシュは天然材料を使った化粧品の製造・販売を手がける石川県の企業です。
2011 年 3 月に東日本大震災が起きた際、「水のいらないシャンプー」がドラックストアなどの店頭からなくなる事態が発生し、品薄状態が続きました。
需要期が限られていることから、製品化している化粧品メーカーが少なかったためです。
被災地の方々が困っていることを知ったルバンシュは、急ピッチで商品開発、5 月には開発した新商品を、被災地の避難所や公共施設から求められた場合に無償での提供を行うことを告知しました。
プレスリリースを通じてメディアにも情報を伝えたところ、新聞を中心に多数取り上げられ、その結果、多くの自治体に受け入れられ、被災地支援の一助となりました。
このように、販促目的以外でも、震災支援活動など社会的な意義のある活動や、自治体や消費者といったステークホルダーとの関係構築のために、PR 活動が行われることもあります。

パブリシティ活動とは?

広告とパブリシティの違い

広報・PRにおける重要な活動の一つである「パブリシティ活動」について考察してみましょう。
パブリシティとは、「企業がメディア(記者)に対して、報道化(記事化)してもらうことを意図して、企業活動の情報を提供する活動」のことです。

「広告」との違いを考えてみるとわかりやすいでしょう。
広告の場合は、企業がメディアの「広告枠」を購入して伝えたい情報を掲載します。
広告枠とは、新聞・雑誌などの紙面(Space)や、テレビ・ラジオなどの時間(Time)。
基本的には、広告出稿に関する一定のルールをクリアしていれば、あとは広告費用を支払うことで、広告枠に情報を掲載することができます。
何を掲載するかについて、基本的には、企業の判断で決定することができます。

それに対して、パブリシティでは、企業が情報を提供しても、記事化されるかどうかは、メディアの判断で決まります。
企業側は情報を提供するだけ。
記事化されるにしても、掲載のタイミングや内容についての「編集権」はメディアにあります。

パブリシティ活動のメリットは?

広告は、基本的には、お金を支払えば、(ルールに沿って)「言いたいこと」を自由に表現し伝えることができます。
一方、パブリシティでは、企業の思い通りにはできません。
企業がどんなに媒体特性や読者・視聴者の特性を考え、それに沿う形で情報提供しても、記事化されないこともありますし、たとえ記事化されても、「言いたいこと」が十分伝わらないこともあり得ます。

しかし、パブリシティには、広告にはない、大きなメリットがあります。
それは、報道化・記事化されることで「社会的信頼性を獲得することができる」という点です。
社会的に権威が認められ、かつ公平と考えられているメディアに、「第三者の視点」で好意的に取り上げられたり評価されたりすることは、企業の社会的信頼性獲得に多大な影響力があります。
それは、広告だけでは不可能なことです。

注意点もあります。
企業不祥事や製品回収などの危機管理対応が不十分と判断され、それが報道化・記事化されてしまうと、社会的信頼の失墜に繋がってしまいます。(危機管理については、稿を改めて考察します)

パブリシティ活動においては、このような特性を十分に認識したうえで、活動する必要があります。
また、広告との特性の違いを理解したうえで、適切に使い分ける必要があります。

プレスリリースが最重要ツール

このように、パブリシティ活動は、広報・PR活動の中でも重要な位置を占めています。
そして、パブリシティにおける最も基本的かつ重要なツールが、「プレスリリース」です。
プレスリリースは、パブリシティというメディアへの情報提供活動における最重要ツールなのです。

プレスリリースについての詳細は、「プレスリリース講座」のページをご覧ください。

《広告とパブリシティの比較》

広告 パブリシティ
概要 メディアから広告枠を購入し、情報を制作して掲載する。 メディアでの報道化(記事化)を期待して、情報を提供する。
編集権 企業(広告主) メディア(記者)
費用 必要 不要(商品提供や取材対応の場合がある)
メリット
  • 希望のタイミングでの掲載が可能
  • 「言いたいことがそのまま伝えられる
  • 費用を算出しやすい(予算計画が立てやすい)
  • 第三者であるメディアが伝えるため、社会的な信頼性を獲得できる
  • 広告では実現できないほど社会的インパクトを与えることも(ポジティブ・ネガティブ両方)
デメリット
  • 一般的に広報・PRに比べてコストが高い
  • 広告だけで社会的信頼を獲得するのは難しい
  • 制作者の表現力によって効果が変わる
  • 掲載内容、掲載タイミング、掲載量・時間等が流動的
  • 掲載内容を事前に把握することが難しい
  • 広報・PR担当者の経験値やセンスが必要
  • 広告と異なり、コストに見合う成果が獲得できるとは限らない

【参考資料】『広報・パブリックリレーションズ入門』(宣伝会議)、『広報・PR概論』(公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会、『戦略広報』(電通パブリックリレーションズ)

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