
いつも共同通信PRワイヤーをご利用いただき、誠にありがとうございます。私たちは高い「記事化率」を誇る弊社のネットワークを使って、お客さまの価値や魅力を国内、海外に広く発信するお手伝いをさせていただいています。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
筆者は一般社団法人共同通信社の記者として長く勤務してまいりました。九州の支社局からスタートし、本社では主に政治報道に携わりました。米国の首都ワシントン支局にも2年間勤務しました。報道現場での経験を踏まえ、「取材する側」がプレスリリースをどうみているか、をお話しさせていただければと思います。少しでも皆さまの日々のお仕事のお役にたつことができれば幸甚です。
何がNEW?

取材記者がプレスリリースや記者会見で何に一番注目しているか、といえば「新しさ」です。英語のNEWS(ニュース)の語源はラテン語の「NOVUS」(新しい)に由来するそうです。「新聞」は文字どおり「新しく聞いた」話が詰まっていなければなりません。
従って、プレスリリースを読んだり、記者会見を聞いたりして、まずは新しいことを探します。「新しさ」にはいろいろあります。史上初、日本初、今年初、新発見・・など「最初に」という意味だけでなく、古いものを再利用したり、古い街並みを復活させたりといった珍しさ、「他にはない」といった意味での新しさもあります。
現場記者がプレスリリースや記者会見の内容をキャップ(現場統括)やデスク(取材指揮・原稿チェック)に報告すると、しばしば「何がニュースだ?」と聞かれます。言い換えると「何が新しい話なのか?」です。その時返答に口ごもってしまっては記者失格です。すばやく新規性を見極め、速報できなければなりません。そのためには日頃から新聞を読み、テレビの報道番組を見て、ニュース感覚を磨いておく必要があります。
逆に言うと、プレスリリースに「新しさ」が的確にまとめられていると、取材する記者の食い付きは早いでしょう。
ワンフレーズの魔力

私が携わっていた政治報道では、政治家の発言からニュース性=新しさを見つけ出す能力が問われます。昨年末の高市早苗首相の台湾有事に関する国会答弁もそうです。
政治家の発信力、発信の手法にはいろいろあります。「言語明瞭 意味不明瞭」と揶揄された竹下登元首相。言葉ははっきりしているが、意味がつかみにくい。昭和の時代は周囲をけむに巻くような政治家が永田町を牛耳っていましたが、今の時代は発信力こそが命。トランプ米大統領がその代表格でしょう。高市首相もX(旧ツイッター)で盛んに発信しています。
私たちが現場で取材していた当時、発信力と言えば、小泉純一郎元首相が抜きんでていたのではないでしょうか。良きにつけ悪しきにつけ、小泉氏の「ワンフレーズ・ポリティックス」は国民から注目されました。
「自民党をぶっ壊す」「改革なくして成長なし」「聖域なき構造改革」「郵政民営化は改革の本丸」「官から民へ」「抵抗勢力」。首相在任5年の間に次々と繰り出されました。短い言葉を繰り返すことで、改革の中身はよく分からないまま、改革の意欲だけが有権者に刷り込まれていきました。ワンフレーズ・ポリティックスに多くの国民が引き込まれ、小泉内閣は高い支持率を維持しましたが、同時に危うさも感じていました。
ただ、広報の世界では小泉元首相が駆使したワンフレーズの魔力を最大限生かすべきでしょう。プレスリリースにお客さまの会社や自治体の価値を象徴するワンフレーズを盛り込むとその訴求力は格段に上がるのは間違いないでしょう。
14歳に向けて
私たちが新人記者教育を受けたとき「中学2年生に分かるように記事を書け」と教えられました。中学2年生と言えば多くが14歳です。子供向けではなく、一方で大人にしか分からない(あるいは大人でも分からない)難解な言葉遣いでもなく、いかに分かりやすく書くかが問われます。
中学生にも分かるような表現は記者に任せてください。プレスリリースでは専門的な領域に踏み込んでも、正確に説明いただくと記事化しやすいと思います。
本年もどうぞよろしくお願い致します。
この記事の筆者

井原康宏氏(いはら・やすひろ)83年(昭58年)横国大教育卒、社団法人共同通信社入社。18年編集局長、22年専務理事、24年株式会社共同通信社代表取締役専務。福井県出身。
