あなたの広報文、AIで書いたってバレてますよ——生成AI文章の地雷表現カタログ【前編】

プレスリリースに残った「**」、「につきまして」の連発、「重要です」の空っぽさ、定番の比喩表現—あなたが書いた広報文、実は「使い倒している人」には見抜かれているかもしれません。前編は装飾・語彙レベルの『地雷表現』4選を、Before/After付きで解説。

生成AIで広報文を書く人が増えたが、「AIを使って書いた」と言わないケースも多い。一方で、使い倒している人が見ると一瞬でバレる「地雷表現」が存在する。元々は普通の日本語だったのに、生成AIが乱発するせいで「AI臭さの証左」になってしまった表現を、実践者目線でカタログ化する保存版コラムです。

その「**太字**」、実はバレてます——生成AI文章の地雷表現カタログ

**生成AI活用の広報業務におきまして、文章作成は非常に重要です**。まず業務効率化の観点から、次に品質向上の観点から、最後に成果創出の観点から、多くの広報担当者が活用を進めています。これにより、限られたリソースの中でも高品質なアウトプットを生み出すことが可能となりました。総じて、生成AIは現代の広報担当者にとって、業務遂行の羅針盤と言えるでしょう。本記事では、生成AIで文章を書く際に『使い倒している人だけが見抜ける』地雷表現について、PR実務の現場で頻発するパターンを徹底解説します。

いかがでしたか?
ここまで読んで「あ、AIっぽい」と感じたなら、あなたのAI感度はすでに、AIを使い倒している達人の域です。実はこの導入の約280字に、地雷を13個埋め込みました。何個見抜けたかは、後編の答え合わせで。

【徹底解説】生成AI文章における8つの地雷表現につきまして(前編:4選)

ChatGPTを始めとする生成AIが量産した「つい書いてしまう」言い回しを、広報実務の視点から8つに絞り込みました。前編では、語彙レベル・装飾レベルの4選を扱います。各項目に、AIがそのまま吐き出した「Before」と、人間の手で直した「After」を並べました。読み比べてみてください。

1. その「太字」、消し忘れてませんか? 最大の生成AIサイン

ChatGPTやGeminiに何かを聞いたとき、回答の中に「太字で強調された文字」が出てくるのを見たことがあるはずです。あれは「マークダウン記法」という、AIが文字装飾するときの下地のルールに従って表現されています。文字の前後を ** という記号で囲むと「太字にしてね」という意味になる——AIの世界の裏側で動いている共通ルールです。

ところが、この「**」が曲者です。ChatGPTのチャット画面では基本的に太字としてレンダリング(変換)されますが、まれにレンダリングされず、「**本当は太字にしたかった文章**」のような形でそのまま出てしまうことがあります。それを丸ごとコピーしてWordやメール、プレスリリース原稿に貼り付けると、当然「**」の文字が残ってしまう。これが、生成AI残骸の最大サインです。

下のスクリーンショットを見てください。ChatGPTに広報業務の相談をしたときの実際の回答ですが、よく見ると面白いことが起きています。

図1: ChatGPTの回答スクリーンショット。同じ回答内で、上部の段落は太字としてレンダリングされているのに、最後の段落『つまり、選ぶべきは「AIに書かせる広報」ではなく、「AIで準備を厚くする広報」です』だけ、「**」の記号がそのまま表示されている

つまり、ChatGPT自身ですら時々失敗しちゃっている現象です。広報担当者なら「あの読みにくい星マーク、何だろう」と思った経験が、一度はあるはず。あれの正体が、生成AI最大の地雷です。

【Before(ChatGPTからコピペしたまま)】

弊社はブランディングに力を入れており、**顧客との信頼関係構築**を**最優先**としています。今回のリリースでは、**新規市場開拓**と**既存顧客のロイヤリティ向上**を同時に実現する施策をご紹介します。

【After(「**」を消した版)】

弊社はブランディングに力を入れており、顧客との信頼関係構築を最優先としています。今回のリリースでは、新規市場開拓と既存顧客のロイヤリティ向上を同時に実現する施策をご紹介します。

違いはアスタリスクを消しただけ。それだけで「AIから出てきた」感が一発で消えます。逆に言えば、消し忘れた瞬間に、原稿への信頼は消し飛ぶ。プレスリリース、メール、Slack——AI回答を貼り付けるどんな場面でも、「**」の存在チェックは必須ルーティンにしたい。

では、なぜこんな現象が起きるのか。Geminiに聞いてみたところ、原因は3つあると教えてくれました。

①日本語の「詰まり」——マークダウン記法は英語圏のルールなので、「**」の前後にスペースがないと太字にすべき対象として正く認識されないことがある。②カギカッコとの隣接——**「強調したい言葉」** のように記号と直接くっつくと、システムが混乱して太字化に失敗する。③全角文字の影響——全角の句読点や記号が混ざると、一部のブラウザ・アプリで崩れるバグが報告されている。「AIのミス」というより「表示側のルールとの適合不足」が本当の原因です。

先ほどのスクショ、改めて注目してください。失敗しているのは「『AIに書かせる広報』ではなく、『AIで準備を厚くする広報』」の部分。「**」がカギカッコと直接くっついている、まさに「カギカッコ隣接の罠」の教科書のような例です。日本語の広報文では、強調したい言葉を「」で括る習慣があるため、この罠を踏みやすい構造になっている。日本語の文章こそ、最も「**」残骸が出やすい言語環境です。

対策はシンプルで、原稿のエディタ(WordやGoogleドキュメント)の検索置換機能で「**」を空文字に一括置換するか、Wordに貼り付ける場合はWord側で「Bold(太字)」書式に手動で直す。30秒の作業で、致命的な恥をかかずに済みます。

もう一段の対策として、プロンプト側で先回りする方法もあります。ChatGPTやGeminiに何か聞くとき、最後に「マークダウン記法を使わずプレーンテキストで答えてください」と一文添える。これだけで、「**」残骸の問題が根本から発生しなくなります。プロンプトのテンプレに登録しておくと、毎回の検索置換作業すら不要になります。

2. 「〜につきまして、」が丁寧すぎる

「につきまして」を多用しすぎると、丁寧なつもりが“AIっぽさ”を感じさせてしまう(画像生成:ChatGPT)

元々は普通のビジネス日本語でした。「会議の件につきまして、ご連絡いたします」——上司宛のメールでは違和感がないでしょう。しかし、生成AIがあまりに多用しすぎた結果、「につきまして、」で始まる文章は「過剰な丁寧さ」の印象をまとうようになりました。プレスリリースに3回登場すると、もうAI判定です。

【Before(AIそのまま)】

新サービスのリリースにつきまして、本日ご報告いたします。本サービスにつきましては、長期的なお客様との関係構築を目指したものとなっております。今後の展開につきましては、追ってご案内いたします。

【After(直した版)】

本日、新サービスのリリースをご報告します。長期的な関係構築を目指したサービスです。今後の展開は、追ってご案内します。

「につきまして」を「を」「は」に置き換え、「いたします」を「します」に縮める。
丁寧さは保ちつつ、リズムが軽くなります。プレスリリースは硬く書きがちですが、読み手の負担を考えれば、無駄な装飾は削るべきです。実務で使うなら、「につきまして」は1記事に1回まで、と自分ルールを決めると劇的に減ります。

3. 「〜が重要です」「〜は効果的です」の中身ゼロ表現

“重要です”だけでは、読者の疑問には答えられない(画像生成:ChatGPT)

価値評価語による定型句。「顧客との信頼関係構築が重要です」「継続的な発信が効果的です」——どれも当たり前のことすぎて、中身が空っぽ。AIが安全牌として出す典型パターンで、何かそれらしく言っているようで何も言っていない。読者は「で、結局どうすればいいの?」と読み止まります。

【Before(AIそのまま)】

プレスリリース配信においては、ターゲットメディアの選定が重要です。また、配信タイミングの最適化も効果的です。さらに、リリース後のフォローアップが不可欠です。

【After(直した版)】

プレスリリースは、誰に届けるかを先に決める。経済紙に出したい記事を、ライフスタイル誌に送っても無視される。配信タイミングは、ターゲット媒体の朝の編集会議に合わせて午前8時前に投げる。リリース後は、24時間以内に各媒体の担当記者へ個別連絡。電話1本でピックアップ率は2倍違います。

「重要です」を全部、具体的な動詞と数字に書き換える。

  • 「ターゲット選定が重要」→「誰に届けるかを先に決める」
  • 「タイミング最適化が効果的」→「午前8時前に投げる」
  • 「フォローアップが不可欠」→「24時間以内に電話1本」

抽象度を下げ具体に落とすと、読者は「それならできる」「やってみよう」と動けます。価値評価語は、抽象論で逃げる時の”松葉杖”のようなもの。書き終えたら検索置換で「重要です」「効果的です」「不可欠です」を全部探して、具体例に書き直す。これだけで原稿の格が一段上がります。

4. 比喩の定番「羅針盤」「架け橋」「エンジン」

生成AIが好んで使いがちな“きれいな比喩表現”をイメージ化(画像生成:ChatGPT)

ChatGPTのお気に入り比喩表現、3兄弟。「ブランディングは”羅針盤”」「顧客との”架け橋”」「成長の”エンジン”」——どれもキレイな表現で、つい使いたくなる。しかし具体例を伴わずにポンと出してしまうと、ただ装飾しただけの意味のない語句になってしまう。読者は「で、その羅針盤は何を指してるの?」と置いてけぼりになる。

【Before(AIそのまま)】

当社のPR活動が、お客様との架け橋となり、ブランド成長の羅針盤として機能してきました。これからも、信頼の灯台として、お客様の道しるべでありたいと考えております。

【After(直した版)】

当社のPRでは、創業以来、月1回の顧客取材会を続けてきました。36社のお客様の声を、年間12本のリリースにし、メディア露出の3割を「お客様起点」のストーリーで占める仕組みを作りました。次の3年も、この『取材→発信→反響→再取材』のサイクルを軸にします。

比喩を全部削って、具体的な行動と数字で書き直す。

  • 「架け橋」→「月1回の顧客取材会」
  • 「羅針盤」→「年間12本のリリース」
  • 「灯台」「道しるべ」→「『取材→発信→反響→再取材』のサイクル」

比喩を使うなら、その後に必ず具体例を2〜3行入れるルールにすると、AI臭さはぐっと減ります。逆に「比喩を使わない」と決めるだけでも、原稿の解像度は変わってきます。「羅針盤」と書きそうになったら、その瞬間に「具体的に何を指すものぞ?」と自問する習慣をつけたい。

次回予告

ここまで4つ、装飾と語彙レベルの地雷を見てきました。後編では、文章構造レベルのもっと深い地雷——「箇条書き病」「三段構造」「冒頭・結びのテンプレ」「過剰な謙譲敬語」——を扱います。さらに「あの地雷、実はモデルの『方言』だった」と題して、ChatGPT/Gemini/Claudeの聞き分けガイドも収録予定。そして冒頭で予告した「13個の地雷」、答え合わせも後編で。2026年7月上旬に公開予定です。お楽しみに。

次回予告

COMING SOON

あなたの広報文、AIで書いたってバレてますよ——生成AI文章の地雷表現カタログ【後編】

【公開までの宿題】
冒頭の280字に潜む13個の地雷、何個まで自力で見抜けましたか?
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公開予定: 2026年7月上旬

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