報道倫理の解説
「報道倫理」とは、報道に携わる組織やジャーナリストが、自ら遵守すべきものとして定めた倫理規範。報道の自由、言論の自由を含む表現の自由は、民主主義の基本原則の一つであり、近代憲法の中では共通の権利として保障されている。しかし、自由が保障されているから何をやっても良いというわけではなく、報道には道徳的制約が課せられている。ただし、自由の原則から、表現や報道の規制はできるだけ法律ではなく、報道に携わるものが自主的に決めた倫理基準によって行われるべきだと考えられている。報道倫理のガイドラインは、さまざまな国のメディアによって定められている。
内容としては、「正確性」「公平性」「客観性」「人権の尊重」「社会的影響力の自覚」などの要素が含まれている。
日本においては、1946年に「新聞倫理綱領」が制定され、その2年後に編集権声明が出された。放送業界では、NHKが1959年に「国内番組基準」を定め、1970年に日本民間放送連盟が「日本民間放送連盟放送基準」を策定。出版業界では1957年に「出版倫理綱領」が、1963年には「雑誌編集倫理綱領」が定められるなど、メディアが倫理規範を策定してきた。
報道機関やその組織に属する記者等が、盗用、虚報、あるいはインサイダー取引などを行い、社会的信頼を損なうことを「マスコミ不祥事」という。これらも、報道倫理の範疇とされている。