記事化率約7割はどう生まれるか|共同通信PRワイヤーの配信の仕組み

記事化率約7割はどう生まれるか 共同通信PRワイヤーの配信の仕組み(資料を読む女性のイメージ)

自社と似た取り組みを発表した他社が業界誌に載り、自社のリリースは載らなかった。そんなとき、内容の差なのか別の何かが違うのかを説明できないまま、次の配信を迎えることになります。記事になるかどうかを決めているのは、リリースの中身だけではありません。この記事では記事化率という数字の中身を紐解き、自社の配信のどこを直せば記事化に近づくのかを整理します。

「転載」と「記事化」は、同じ掲載ではない

同じような取り組みを発表したのに、他社は業界誌に載って自社は載らなかった。そんな場面に心当たりのある広報担当者の方も、少なくないのではないでしょうか。

原因を確認するときにまず開くのは掲載レポートですが、他社と自社の件数を並べても、差がどこで生まれたのかは見えてきません。掲載レポートに並ぶ件数は、「転載」と「記事化」という性質の違う2つを合算した数字だからです。

転載は提携メディアに自動で掲載される

1つは転載で、配信したプレスリリースが提携先のニュースサイトにそのまま掲載されることを指します。基本的に編集は入らないため、意図したとおりの文面が複数のサイトへ同時に広がります。

例えば共同通信PRワイヤーの場合、提携メディアは70サイトあり、そのうち51サイトは配信したすべてのリリースが転載の対象です。その約半数は報道機関が運営するニュースサイトで、47NEWSや朝日新聞デジタル&M、毎日新聞のほか、共同通信加盟社である地方紙のサイトが並びます。

配信のたびに読者との接点が確実に積み上がる点は、転載の強みです。

記事化は記者の編集を経て記事になる

もう1つが記事化で、記者がプレスリリースをもとに記事を書き、自分の媒体に掲載することを指します。記者が読み、扱う価値があると判断して初めて起きるため、企業が書いた文章そのままではなく、記者の考えを踏まえた編集が入るのです。

読者にとっての重みが変わるのはここで、第三者の編集判断を通っているため、企業の発信をそのまま読むより信頼されやすくなります。広告と違い、載せるかどうかを決めるのは企業ではありません。

では記者は何を見て記事化を決めているのか。ニュース性や社会性はもちろん見られますが、最も重く問われるのは、自分たちの読者にとって意味のある情報かどうかです。どれだけ立派な発表でも、その媒体の読者に関係がなければ記事にはなりません。

図解:掲載レポートに並ぶ件数には、提携メディアに自動で掲載される「転載」と、記者が読み、扱う価値があると判断して書く「記事化」の性質の違う2つが混ざっている。転載は中身に関わらず載るため件数は安定し、記事化は配信のたびに結果が動く。

他社との差は記事化で生まれる

同じ配信サービスを使っているのであれば、仕組みで掲載される転載の件数が、他社と自社で大きく変わることはありません。一方、記事化は記者の判断で決まるため、配信のたびに結果が変わります。他社は載って自社は載らなかったという差も、この記事化によって生まれています。

転載に意味がないわけではなく、転載を含む掲載数を広報の指標に置くこと自体は、問題ありません。ただ、転載数と記事化数を合算したままだと、差がどこで生まれたのかが分かりません。

記事化率という数字は、この2つを分けたうえで測られています。

記事化率約7割は、何を測った数字か

呼び方も数え方も、サービスごとに違う

配信サービスが公表している実績値は呼び方から揃っておらず、記事化率という言い方があれば、記事掲載数や掲載メディア数という言い方もあります。率で語るサービスと件数で語るサービスがあるため、単位そのものが異なります。

数え方の条件を決めているのも、各社それぞれです。何を1件と数えるか、どこまでの期間を追うか、提携先への転載を含めるかどうかといった条件が変われば、同じ配信結果からでも違う数字が出てきます。

公表されている数字だけを並べても比較にはならず、見るべきなのは、その数字がどう測られたのかです。

PRワイヤーの測り方

共同通信PRワイヤーで配信されたプレスリリースは、業界No.1の約7割が記事化されています。

調査方法は、2021年12月に配信された532本のプレスリリースを2022年2月28日まで追跡したものです。対象は紙媒体とWebメディアで、提携メディアへの転載は数に入れていません。

転載は契約によって全件が掲載されるので、記者が選んだかどうかを測る材料になりません。そのため除外しています。

追跡期間が約3か月あるのは、月に一度発行される媒体なら掲載が次の号になるためです。追いかけた期間の実績であって、個々の配信で7割の掲載を保証する数字ではありません。

測り方は分かりましたが、なぜ約7割という水準に届くのか。その水準を支えているものは2つ。1つは配信網の性能、もう1つはリリースと届け先の相性で、それぞれ動かせる主体が違います。

配信網の性能は、媒体数では決まらない

配信網の性能を分けているのは、配信先メディアや提携メディアの数だけではありません。宛先が生きているかどうかと、記者のもとに1日どれだけの本数が届くか。記事になるかどうかには、この2つも関わってきます。

宛先が生きていなければ、そもそも読まれない

メディアリストがどれだけ大きくても、担当者が異動していたり媒体が休刊していたりすれば、そこに送った分は最初から読まれません。

PRワイヤーの場合、配信先に登録できるのはリリースの受信を申し込んだメディアだけです。報道機関としてきちんと運営されているか、フリーのジャーナリストやライターであれば寄稿している媒体はどこかまで確認したうえで登録しています。そのうえで、年に1回、連絡先などの情報を更新しています。

宛先の鮮度が問われるのは配信サービスだけでなく、自社で作るメディアリストでも同じです。

記者が見られる量を超えたら、内容以前に選ばれない

もう1つは、そのサービスから記者のもとに1日いくつのリリースが届くかです。届く本数が多すぎれば記者はすべてに目を通せず、目を通されなければリリースの質がどうであれ選ばれません。

そのためPRワイヤーでは、配信する側にも審査を設けています。会員登録の時点で企業の社会的な信用や取材対応の体制をメディアの視点で確認し、登録企業数を闇雲に増やすことはしていません。1日に流れる情報量が保たれることで、メディアが一つひとつ確認しやすい状態が生まれます。

性能は、使う配信網の設計で決まる

共同通信PRワイヤーは、国内外へニュースを配信する共同通信のグループ企業です。運営母体が報道機関であるため、発信元の信頼性や情報の正確さを、メディアと同じ基準で見たうえで配信しています。

宛先が生きているかどうかも、記者のもとに届く1日の本数も、発信する企業の側では動かせず、どちらも使う配信サービスの設計で決まります。この記事で性能と呼んでいるのはこの部分で、性能は作るものではなく選ぶものです。

記事化を分けるのは、リリースと届け先の相性

配信網の性能は選ぶものだというのが前章の結論ですが、同じ配信サービスを使っていても、記事になる会社とならない会社があります。差が生まれるのは、配信したリリースがどこに届いたかです。

配信先を増やしても、記事化は比例して増えない

送る先を増やせば記事化も増えるはずだという考え方は自然ですが、届く先は送り手の希望だけでは決まりません。共同通信PRワイヤーの国内配信先は2,350媒体・約3,800カ所ありますが、1回の配信が届くのは平均1,500カ所です。

この数字は配信の仕組みから出てきます。配信先のメディアは受け取りたい分野をあらかじめ登録しており、配信する側はリリースの内容に合うカテゴリを159種類から選びます。両者が重なったメディアに届くため、平均1,500カ所という結果になるのです。

つまり届け先は、送り手が一方的に決められるものではありません。裏を返せば、カテゴリを選ぶ作業は、その情報を求めている記者を指名する作業にあたります。

図解:配信先は約2,350媒体・約3,800カ所。送り手がリリースの内容に合うカテゴリを159種類から選ぶことと、受け手のメディアが受け取りたい分野をあらかじめ登録していることが重なった先に届き、1回の配信あたり平均1,500カ所になる。

カテゴリは、その情報を待っているメディアで選ぶ

では、配信カテゴリはどう選べばよいのでしょうか。間違えやすいのは、リリースの題材と同じ名前のカテゴリを選んでしまうことです。カテゴリの名前から想像する中身と、実際に登録しているメディアがずれていることがあるためです。

メディア向けのイベントを告知するとき、「メディア産業」は届け先になりません。そこに登録しているのは、メディア業界のニュースや動向を知りたいメディアだからです。選ぶのは「イベント・セミナー・展示会」になります。

食品メーカーが書籍を出す場合も同じです。「出版・書籍・コミック」に登録しているのは、出版業界の動向に関心のあるメディアです。ここで選ぶのは、所属業種の「食品」と、企業活動として見た「経営・IR情報」になります。書籍のテーマが時事を反映したものなら、「社会・時事」も候補に入ります。

大鵬薬品様は医薬品だけでなく環境関連のリリースも配信し、環境の専門メディアに取り上げられました。その記事を見た別の環境関連メディアからも取材を受けたことが、導入事例で紹介されています。

相性は運ではありません。そのリリースを必要としている記者がどこにいるかを見て、届け先を選べたかどうかで決まります。

自社の配信を点検する3つの問い

記事化率を決めているのは、配信網の性能と、リリースと届け先の相性でした。では、自社の配信はどうなっているのか、手元の掲載レポートを見ながら3つの問いを確認してみましょう。

問い① 掲載レポートを、転載と記事化に分けて数え直す

転載されたページは複数のサイトで文面がほぼ同じで、見出しもリリースのタイトルが残ります。一方、記事化されたものは見出しも本文も媒体ごとに別々です。分けて数えると、掲載100件のうち記者が書いたのは3件、といった実像が出てきます。

そもそも掲載を捕捉できていなければ、分けて数えることもできません。共同通信PRワイヤーでは、国内の主要なニュースサイトを対象にしたクリッピングを配信料金内で使えるため、掲載結果と広告換算をまとめて確認できます。掲載を探すところに時間を取られなくなるため、転載と記事化を見分ける作業のほうに手をかけられます。

問い② 記事化された媒体のジャンルは、届けたい相手と一致しているか

ずれているなら、カテゴリを選んだ時点で相手を取り違えています。記事化がゼロだったのなら、届いた先に自社のリリースを必要とする記者がいなかった可能性を疑うことになります。どちらの場合も、まずはカテゴリを選び直しましょう。

問い③ 記者から問い合わせは来たか

来ているのであれば届け先の選び方は合っていたことになり、それでも記事にならなかったのなら、直すべきはプレスリリースの質です。

問い合わせが来ていないのであれば、届いた先に読み手がいなかった疑いが残ります。

これは精密な測定ではなく、次に何を直すかを決めるための切り分けですが、どこで止まっているかが分かれば、手を入れる場所は1つに絞れます。

相性は、一度の配信では決まらない

前章の3つの問いで直す場所が絞れたとしても、次の1本ですぐに結果が変わるとは限りません。相性は一度の配信で決まるものではなく、記者との接触を重ねるなかで育っていくからです。

記者にとっては、続けて届く会社ほど見慣れた相手になる

初めて名前を見た会社のリリースと、以前から動きを追っている会社のリリースが、同じように読まれるとは限りません。相性とは、そのリリース単体が届け先と噛み合っているかだけでなく、その会社の情報が継続して届いているかの蓄積でもあります。

転載も配信のたびに繰り返し起きるため、提携先のニュースサイトに自社の名前が並ぶ回数が増えれば、記者がそれを目にする機会も積み上がっていきます。

ここで思い出したいのが、他社は載って自社は載らなかったという最初の疑問です。差を生んでいるのは特別なつながりや広報予算の大きさではなく、情報が届き続けていたかどうかであることが少なくありません。

ネタがないときにも、届ける手立てはある

とはいえ、発表できる新しい情報が毎月あるとは限らず、ニュース性がなければ配信できないと考えて接点が途切れてしまうこともあります。

PRワイヤーには、新規性のないニュースレターにも配信の制限がありません。自社の動向やトレンドに関する情報であれば、発表事案がない月でも記者に届けられます。

届け方にも幅があるのが特徴です。配信したリリースは、一般の方が見るオープンサイトとは別に、配信先のメディアだけが閲覧できるプレスサイトにも掲載されます。メディア向けの原稿と一般公開用の原稿は入力フォームが分かれているため、記者に向けた書き方に寄せられます。一般には公開せず、メディアにだけ配信することも可能です。

図解:同じリリースでもメディア向けと一般向けで原稿を書き分けられる。オープンサイトは誰でも読めて検索から見つけてもらう面、プレスサイトは配信先メディアの記者だけが閲覧し、添付資料や問い合わせフォームも置ける。一般に公開せずメディアにだけ配信することもできる。

相性は、合う先を選ぶことと、届け続けることの両方で作られます。

配信網は選び、相性は自社で作る

記事化率は、配信網の性能と、リリースと届け先の相性の掛け算で決まり、どちらか片方だけでは記事になりません。

性能のほうは、使う配信サービスを決めた時点でほぼ固まります。共同通信PRワイヤーの記事化率が、提携メディアへの転載を除いてなお約7割にのぼるのはそのためです。報道機関として運営されているかを確かめた配信先へ、内容に合わせて平均1,500カ所を選んで届けています。

一方の相性は、広報の担当領域です。届け先を選ぶのも、発表事案のない時期に接点を絶やさないようにするのも、自社で動かせます。

まず開くべきなのは、掲載件数の合計ではありません。そのうち何件が記者の手で書かれたものかを数えるところから、記事化を増やす作業は始まります。

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共同通信PRワイヤーは、国内2,350媒体・約3,800カ所の配信先へプレスリリースを届けるサービスです。配信カテゴリを選んで届け先を絞れるほか、国内の主要なニュースサイトを対象にしたクリッピングを配信料金内で使えます。

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