メディア(記者)の視点
記者の手元には、毎日全国から膨大な数のプレスリリースが届いています。メール、FAX、郵便・・。さらに、記者クラブ、記者発表会など、プレスリリース以外にもウォッチしている情報源は多いです。さらに、新聞やテレビなどメディアには、紙面(スペース)、枠(タイム)に制限があり、載せるニュースの数には限界があります。 このようなことから、「生活者に伝える必要がある」「生活者にとって有益な情報だ」と判断されたものだけが生き残ることになります。つまり、プレスリリースは、メディア(記者)の視点で取捨選択されているのです。 では、メディア(記者)の視点とは、どのようなものでしょうか?
「見出しが立つ」テーマを
プレスリリースを受け取ったとき、「明日の紙面の見出しになる!」、あるいは「オンエア時のタイトルに使えそう」と発想がわくものは、「見出しが立つ」という言い方をして歓迎されます。テレビの場合には、映像も重視されます。「 “絵” になるかどうか」。映像取材が可能かどうかをイメージできる写真や情報が必要です。
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ニュース性 メディア(記者)が探しているのは「ニュース」です。プレスリリースをパッと見たときに、そこに新しい要素や珍しい要素がなければ即ボツになってしまいます。 「ニュース」は、「未発表もの」でなければ取り上げられません。もし、すでに発表したことがあるものなら、新しい事実を示す必要があります。また、独創性や独自性を伝える場合には、エビデンス(根拠)が求められます。
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社会性 メディア(記者)が重視するのは、発表された商品やサービスが、社会や暮らし、ビジネスに、どのような影響・変化をもたらすか、という社会性です。新聞記事やテレビのニュースとして報道された際に、「その情報が読者や視聴者にとっていかに有益か?」とが、報道価値(ニュースバリュー)があるかどうかを判断するポイントになります。
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トレンド性 旬のネタであるかどうか、時流にあっているかどうか、というトレンド性も重要です。 季節感やタイミング。例えば、経済部なら季節の商品、社会部なら季節のイベントなどは、取材対象になる可能性があります。時流ということで言えば、例えばエコブームに乗った商品、被災地支援関連の商品など、その時々の社会のトレンドや関心事に合ったものは、取り上げられやすくなります。
締め切りに間に合う「タイミング」に
メディアの人たちは、常に「締め切り時間」を念頭に置いて動いています。プレスリリースも、彼らの動きを理解したうえで、最適なタイミングで届ける必要があります。 通常の商品やサービスの場合は、商品の発売日や、サービスの開始日、イベントの実施日の、1ヶ月前をメドに送ります。あまり早すぎると忘れられてしまいますし、遅いと取材対象を決める会議などに間合いません。 重要度の高い緊急のニュースの場合には、締め切り時間を考慮する必要があります。新聞の朝刊は深夜1時半〜2時が最終の締め切りです。夕刊は午後1時半〜2時。産業紙、業界紙は夕方締め切りが一般的です。プレスリリースも、締め切り時間に間に合うように逆算して届け必要があります。締め切り時間が近づくと普段から忙しい記者はさらに多忙になっていきますので、取材するための時間的な余裕を考えておくことも大切です。 雑誌の場合には、特集テーマを決める企画会議の時期も重要です。週刊誌の場合は発売日の2〜3週間前、月刊誌は約1ヶ月前になります。 テレビ局のスケジュールは、番組の内容と放送時間によって大きく異なります。
利用されやすい「形」で
プレスリリースは、基本的には郵送、ファックス、電子メールで届けますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。また、送り先によって、好まれるやり方、嫌われるやり方があります。
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郵送 送り先の記者の個人名が分かっている場合は効果的です。写真の現物も添付できます。ただし、新聞社のように速報性を重視するメディアの場合には、敬遠される傾向もあります。 記者の手元には毎日大量の郵便物が届くため、個人宛に送ったとしても、埋没してしまう可能性はあります。部署宛に送った場合は、さらに読まれない可能性が高くなります。 発送に手間と費用がかかる点も、郵送のデメリットです。
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ファックス 即時性があるため、緊急記者会見を開く場合などはファックスが一般的です。芸能関係やイベント告知などでは、多くのメディアがファックスでの受け取りを希望します。送る側も、通信コストだけで済むので非常に手軽です。 しかし、手軽な分、郵送以上に莫大な量が届きます。送る枚数や頻度などに気をつける必要があります。また、他のファックスに紛れて埋没する可能性も高くなります。
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メール 活用が増えています。画像を添付しやすい、ネット上の参考資料にリンクを貼れる、受け取った記者がパソコン上で仕分けしやすい、コピー&ペーストで原稿を書きやすい、といったメリットがあります。 ただし、どの程度の頻度でメールをチェックしているかは人によってそれぞれなので、チェックが遅れる可能性もあります。また、基本的に個人のメールアドレスはなかなか教えてもらえるものではありません。 部署の共有メールアドレスに送る場合もあります。しかし、この場合であっても、送る許可を得ていないと、拒否されたり迷惑メールフォルダに仕分けされたりしてしまいます。
【コラム】共同通信PRワイヤーでは創業以来、必ず年に2回、全ての配信先に対して受信確認のためのメンテナンスを行なっています。プレスリリース配信サービスを開始した2001年当時、メールでの受診は約3割でしたが、2018年現在では、9割以上のメディアがメールを希望されています。
その情報を「求めている」メディアに
プレスリリースとして送ろうとしている情報は、どのメディアに取り上げて欲しいのか ── 逆に言えば、その情報はどのメディアが興味を持つのか ── 配信先=掲載先をきちんと見極めて、届ける必要があります。間違ったところに届けても、掲載されないどころか、迷惑になってしまいます。 新聞なら、商品やサービスの情報を扱う「経済面」のほか、企業関連でも社会性のある情報を載せる「社会面」、生活に身近な商品を取り上げることの多い「生活面」などによって、必要とされる情報が違います。また、同じ新聞でも、朝日、毎日、読売などの「全国紙」、日本経済新聞など「経済紙」、各地域の情報に強い「地方紙」など、それぞれ特徴があります。テレビの情報番組にも、それぞれ違いがあります。雑誌の場合には、さらに個別の特徴を明確に表現しています。 今起きていることをリアルタイムに伝える「ストレートニュース」の場合、新商品や新サービスがテーマであれば、経済部に届けます。テレビやラジオではニュース番組や経済番組の制作チームに、インターネットニュースならその記事を書いている編集部に届けます。一方「企画・特集記事」の場合には、新聞では生活面で扱われたり、テレビ・ラジオでは生活情報番組で紹介されたりします。インターネットでは「まとめサイト」や「キュレーションサイト」などで取り上げられることもあります。 このような特徴をよく研究し、踏まえながら、内容によってプレスリリースの届け先を決める必要があります。
【コラム】共同通信PRワイヤーでは、プレスリリースの送り手と受け手の “マッチングの場” を「カテゴリー」と呼び、現在159種類のカテゴリーを用意しています。受け手であるメディアは「このカテゴリーのプレスリリースが欲しい」ということで該当するカテゴリーを選んでいます。そこで、送り手である企業側が「このカテゴリーのメディアに届けたい」と指定してプレスリリースを送れば、両者の希望は叶えられます。