「第5のマスメディア」と言われるインターネットメディア。Webメディアは企業にとっても重要な情報発信・収集を担う媒体です。
インターネットメディアの種類や特徴を、マスメディアと比較しながら解説していきます。
目次
インターネットメディア(Webメディア)とは
インターネットメディアとは、インターネットを介して情報発信や情報交換をしているサイト全般のことです。
「メディア」とは「媒体」、つまり情報を伝える手段や方法です。インターネット上で見られる全ての情報がインターネットメディアとなります。
インターネットは1990年頃から世界的に広く使われ始め、1995年、マイクロソフト社の「Windows95」により世界的に普及し、現在に至るまで、多様なインターネットメディアが次々と誕生してきました。2000年代に入ると、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が登場。このSNSの普及により、インターネットメディアはより生活に密着した身近なアイテムになりました。
言葉の使われ方としてはインターネットメディアの他「Webメディア」や「ネットメディア」などと呼ばれています。覚えておきましょう。
インターネットメディアの種類と特徴
インターネットメディアの種類や特徴を知り、Webメディアの基礎知識を深めましょう。
インターネットメディアの種類
インターネットメディアには「読売新聞オンライン」などニュースサイト、「Yahoo! JAPAN」を始めとするポータルサイト、「YouTube」などの動画サービスなどがあります。
それぞれ特徴にあわせて、下記のように分類されています。詳しく解説していきます。
- 1次メディア……ニュースサイト
- 2次メディア……ポータルサイト、キュレーションサイト、まとめサイト
- オウンドメディア……コーポレートサイト(自社ホームページなど)
- ソーシャルメディア……SNS、ブログ、YouTubeなどの動画サービス
1次メディア(ニュースサイト)
「1次メディア」は、自らが取材・執筆したニュースや記事などを発信するメディアで、いわゆる「1次情報」を中心に取り扱っているサイトです。
1次メディアには「読売新聞オンライン」「日経電子版」「共同通信47NEWS」「ねとらぼ」「BUSINESS INSIDER」などがあります。
2次メディア(ポータルサイト、キュレーションサイト、まとめサイト)
「2次メディア」は、1次メディアの情報や記事を独自にまとめて配信しているメディアです。1次メディアやソーシャルメディアの情報源を基にオリジナル編集し、幅広いジャンルの情報を提供しています。
2次メディアの例としては「Yahoo! JAPAN」「SmartNews」「RETRIP(リトリップ)」などがあります。
オウンドメディア(コーポレートサイト、自社ホームページなど)
「オウンドメディア」は、公式ホームページなど、自社が所有する情報発信メディアのことです。自社SNSの公式アカウントもオウンドメディアに含まれます。
オウンドメディアについては、下記の記事にて詳しく説明しています。あわせてご確認ください。
「オウンドメディアとは?広報担当が知っておきたいWebメディアの種類や掲載効果も解説!」の記事を見る
ソーシャルメディア(SNS、ブログ、YouTubeなどの動画サービス)
「ソーシャルメディア」とは、個人や組織などのユーザーが情報を発信・共有・拡散し、情報交流することで形成されるインターネット上のメディアです。ソーシャルメディアには、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、ブログ、投稿サイト、情報共有サイトなどさまざまなものがあります。
SNSは、ユーザー同士が交流できるWebサイト上のコミュニケーションツールです。ネット上のコミュニティを築くアイテムとして、2000年以降大きな発展を遂げてきました。元々は会員同士の交流が中心でしたが、現在では、拡散性が高いものや、コンテンツ発信を重視するものなど多様なSNSが登場し、使われ方も会員同士の交流の枠を超えて広がり続けています。利用者数も大幅に増え、SNSはソーシャルメディアの主流となり、「ソーシャルメディア=SNS」とも言われるようになってきました。
SNSには「Twitter(X)」「Instagram」「Facebook」「YouTube」「TikTok」「LINE」などがあります。個人が情報を発信し、共有や拡散ができる点が他のメディアにはない魅力です。
インターネットメディアの特徴
インターネットメディアの主な特徴は、次の5つです。
- 24時間、国境を問わず情報が得られる
- 情報が挙げられ次第タイムリーに知ることができる
- 得られる情報量に制限がない
- SNSはコミュニケーションツールに
- SNSは使い方を間違えると「炎上」に
インターネットメディアと良く比較される媒体にマスメディア(新聞・テレビ・雑誌・ラジオ)がありますが、マスメディアと比べると、情報を欲しい時に欲しいだけいつでも得ることができる点が、インターネットメディアの最大の特徴かつメリットです。さらにインターネットメディアは、世界の情報をタイムラグなく知ることもできます。
またソーシャルメディアにおいては、コミュニケーションを図るためのツールとして今やなくてはならないものになりました。
SNSの詳細については下章で詳しく解説していきますが、「情報入手はインターネットメディア、コミュニケーションツールはSNS」と使い分けている人が多いようです。
一方でデメリットもあります。SNSは情報の共有・拡散スピードが速く、一つ使い方を間違えると「炎上」と言われる批判が殺到する状態になり、企業SNSにおいては謝罪に追い込まれる事態に陥るリスクもあります。
簡単に発信できる便利さはありますが、言葉の使い方やマナーには注意が必要です。
主なSNSの種類と特徴
インターネットメディア成長を押し上げてきた要素の一つに、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の台頭があります。SNSの種類と特徴について詳しく説明していきます。
主要SNSの種類
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は、コミュニケーションツールの代表格です。
2004年にFacebookが登場して以来、さまざまなサイトが次々と誕生しています。主なSNSの種類を挙げていきます。
SNSの先駆けツール。世界最大規模のSNSで、実名登録制の特徴がある。アクティブユーザー数では2022年1月時点で約29億人と、SNSの中でも最大数を誇る。 | |
Twitter(X) | 140字までの短文と、画像が投稿できるSNS。「いいね!」「リツイート」など独自のサービスが好評。2022年にCEOが交代し、サービス名が「X」になるなど今後もさまざまな変化が予想される。 |
写真・動画などの視覚コンテンツに特化した投稿サイト。企業ではTwitterなど他のSNSとあわせて使われることが多い。 | |
LINE | 個人間でのメッセージのやりとりをするアプリ。「スタンプ機能」の登場で一躍人気に。日本でのシェア率が一番高い。 |
YouTube | 動画配信サービスのパイオニアサイト。YouTubeの収益で生活をしている人は「ユーチューバー」と呼ばれ、職業の一つに。 |
TikTok | 動画配信サービスのサイト。YouTubeとの違いは動画の長さが15〜60秒と短いこと。また収益化が難しいことも挙げられる。 |
Threads(スレッズ) | 2023年リリースの最新SNS。最大500文字まで投稿できる文字メインのSNSで、写真・動画の投稿も可能。Twitter(X)の対抗としてMeta社が開発。 |
企業における主要SNSの特徴
主要SNSの中から、特に企業アカウントの取得が多い「Facebook」「Twitter(X)」「Instagram」の覚えておきたい特徴を解説していきます。
■Facebook
「Facebook」は、最も最初に登場したSNSです。今では当然の「いいね!」や「シェア」機能はFacebookから始まりました。
Facebookの最大の特徴は、実名登録制という点です。実名のため、全く知らない人と突然つながることはなく、匿名性の高いSNSに比べ炎上がしにくいというメリットがあります。
また無料で作成や運用が可能なため、ホームページ代わりにFacebookを使用している企業も多くあります。
■Twitter(X)
「Twitter(X)」は、140字までの短文を気軽に投稿できるSNSです。不特定多数とのコミュニケーションツールとして、主に10〜30代の男女に利用されています。
Twitter独自の特徴として、「RT・リツイート」と言われるシェア機能が挙げられます。リツイートは拡散性が高く、瞬く間に情報が届けられます。
企業でよくある例に、フォロー&リツイートキャンペーンがあります。新商品や新サービスの告知に有益な効果があります。
■Instagram
「Instagram」は、写真や動画がメインのSNSです。文字の投稿もできますが、文字だけの投稿は不可となっています。
メインユーザーは10〜30代の女性で、企業にとっては興味喚起から購入までのアクションに強いという特徴があります。
InstagramはTwitterと同様、「#(ハッシュタグ)」の検索性が高いSNSです。言葉にハッシュタグを付け、キーワード化すると、投稿を見るユーザーの母数を増やし、反応を上げる効果が期待できます。
さらにハッシュタグを付けることにより、どんな内容の発信をしているのかを簡単に伝えることができ、ハッシュタグを付ける言葉のセンスも発信ポイントとなってきます。
インターネットメディアとマスメディアの違い
インターネットメディアと関りが深い媒体にマスメディアがあります。マスメディアとWebメディアとの違いについて説明していきます。
「4大マスメディア」とは
マスメディアには、特に社会に影響を及ぼすものとして「4大マスメディア」と呼ばれる媒体があります。
4大マスメディアは「新聞」「テレビ」「雑誌」「ラジオ」です。省略して「4大メディア」「4マス」と呼ばれることもあります。
インターネットメディアは4大メディアに含まれていませんが、その影響力の大きさから「第5のマスメディア」と言われています。
インターネットメディアがマスメディアを超える時代に
Webメディアが「第5のマスメディア」と呼ばれる理由は多々ありますが、その一つに、広告媒体費の統計があります。
業界大手電通によると、「2022年のインターネット広告媒体費は3兆円を超え、マスコミ4媒体の広告費の総計を上回る」という発表がありました。
インターネットメディアは、4大メディアを超える存在になりつつあります。
参考:「2022年 日本の広告費」 – 電通ウェブサイト
4大マスメディアの種類と特徴
「新聞」「テレビ」「雑誌」「ラジオ」という4大マスメディアの特徴とメリットを覚えておきましょう。
新聞は、4大マスメディアの中でも最も信頼性の高い媒体として認識されています。テレビやWebメディアの速報性には及びませんが、老若男女問わず支持されています。また家に届けてくれる配達制度も新聞ならではの強みです。
テレビは、世間への絶大な影響力を持っています。インパクトの大きな映像と音声で、人々の記憶に残る、強い影響を持つ情報を速報性高く提供しています。
雑誌はターゲット分類が明確に設定されている媒体です。Webメディアと同じように、狙った層への高リーチを望むことができます。
4マスの中で最も歴史が古いメディアが、ラジオです。ラジオは音声だけで情報を伝え、速報性が高い特徴がありますが、訴求力は低い傾向にあります。
このネット時代の変化に対応すべく、近年では全ての4大メディアが、インターネットを使用したサービスを取り入れています。インターネットメディアに押されつつある中で、生き残りをかけ時代と共に変化を続けています。
インターネットメディアとマスメディアの最大の違い
インターネットメディアと4大マスメディアの最も大きな違いは、不特定多数に対し、個人が情報を発信できる点です。
マスメディアは一方的に情報を発信するのみですが、特にSNSでは、個人間で情報の発信ややり取りが可能です。「いいね!」など記事の反応が可視化され、発信者とユーザーのコミュニケーションも身近になりました。
また情報の信頼度という点においても、4大マスメディアとインターネットメディアは違います。
ネットメディアにはフェイクニュースも溢れています。情報の信頼性や社会的な信頼性は圧倒的に4大マスメディア側に軍配が上がります。
マスメディアの役割と課題とは
「コミュニケーション学の父」と言われるアメリカの学者、ウィルバー・シュラムは、マスメディアには3つの機能があると提言しています。
1つ目は警告と抑止力を発揮する「見張りの機能」です。マスメディアの報道は、特に政治や社会問題において、さまざまな抑止力につながっているとも考えられます。
2つ目は世論の形成を担う「討論の機能」です。新聞の評論やテレビのコメンテーターの意見に、改めて問題を考えさせられることもあります。社会問題の再提議を掲げることにもなるでしょう。
3つ目は社会的規範や知識、価値観などを次世代へ繋ぐ「教師の機能」です。マスメディアの報道が火付け役となり、流行がおこる現象は、一種の価値観の形成をしているとも考えられます。
各機能は、それぞれの役割を担っています。日頃からアンテナを高くし、マスメディアの動きをチェックしておくと、日々の企業活動に活かせるでしょう。
マスメディアが与える役割や影響について、下記の記事もお役立ていただけます。あわせてご確認ください。
「マスメディアとは?種類や役割について解説」の記事を読む
「クロスメディア」とは
インターネットメディアは、クロスメディア展開に必須のアイテムです。クロスメディアについて一例を用いて解説していきます。
「クロスメディア展開」とは
クロスメディアとは、さまざまな媒体を用いて商品やサービスの告知をする、マーケティング戦略の一つです。
例えば「続きはWebで検索」「詳細は下記をクリック」といった告知を目にすることがありますが、実はこれがクロスメディア展開です。
テレビCMや折り込みチラシ、新聞、雑誌、またSNSなどを入り口に興味喚起をし、ホームページへ誘導、商品・サービスの詳細はホームページで見てもらうという方法になります。
「クロスメディア」と「メディアミックス」の違いは
「クロスメディア」に似たマーケティング戦略に「メディアミックス」もあります。
「メディアミックス」とは、さまざまなメディアを用いて不特定多数の人々に告知をする方法ですが、クロスメディアとの違いは目的です。
メディアミックスは、ターゲットに対し情報を告知することを目的としていますが、クロスメディアはターゲットを動かすことを目的としています。
そのためクロスメディアは、アクションまでの動線誘導が必要となってきます。
クロスメディア展開の一例を紹介
クロスメディア展開の一例を見てみましょう。
「第一屋製パン株式会社」では、キャンペーンを展開し、商品の販売促進を行っています。
クロスメディアとしては、Twitter(X)での告知をメインに、商品告知の入り口としてプレスリリース、店頭商品のパッケージで宣伝を行い、キャンペーンホームページへの誘導をしています。
キャンペーンのプレスリリースは下記にてご覧いただけます。ご参照ください。
インターネットメディアを選ぶ際のポイント
クロスメディア展開など、複数のインターネットメディアを利用して企業から発信をしようとする際、気を付けなければならないポイントがあります。
特に気を付けたい「ターゲットの理解」と「媒体研究」について解説します。
ターゲットの理解を深める
Webマーケティング分野では、ターゲットではなく「ペルソナ」の設定を行います。
ペルソナとは、より詳しいターゲット設定のことです。例えばターゲットでは、「年齢・性別・既婚未婚」といった程度の設定ですが、ペルソナは「家族構成・居住地・学歴・職業・年収・性格・趣味嗜好・休日の過ごし方」といった内容まで深掘りして設定を行います。
ペルソナ設定を行うことにより、よりユーザー視点に立ったサービスの提供が可能になります。また認識のずれや課題にぶつかった際の立ち返りにも役立ちます。
媒体研究をする
各メディアの特徴を理解することも大切です。これを「媒体研究」と言います。
メディアのターゲットにあう情報を提供することで、情報のミスマッチを防ぐことができます。
例えばシニア層をターゲットにした商品の場合、Twitter(X)やInstagramでの告知よりは新聞での情報提供が適当です。商品の使い方などは、動画コンテンツでの告知の方が伝わりやすいでしょう。
Twitter(X)とInstagramにおいても、女性ユーザー数が多いInstagramの方が、女性向け商品の告知には適しています。Facebookは30代〜40代の利用者層が多いというデータもあります。
自社の商品やサービスがマッチするターゲットは、どの媒体が得意としているのか、媒体研究をすることによって、無駄なく適正な告知が可能となります。
Twitter(X)、Instagram、Facebookのターゲット層について、下記の記事にて詳しく解説しています。ぜひご参照ください。
「SNS広告とは?広報で活用するメリットや選び方を解説 」の記事を見る
インターネットメディアを利用し自社のマーケティング活動に活かそう
自社ホームページや、自社のTwitter(X)、Instagramなど、インターネットメディアは企業にとっても必須ツールとなりつつあります。
コストをかけず簡単に始められるインターネットメディアは、活用しない選択肢はありません。
リスクに十分気を付けながら、クロスメディア展開などを行い、自社商品やサービスの告知を行いましょう。
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