広報の業務には、プレスリリースの作成やメディアとの関係作り、社内広報などさまざまなものがあります。
本記事では広報の仕事内容の他、広報の役割や求められるスキルを詳しく解説します。
目次
広報の意味と役割とは
広報に関わる用語と広報の役割を知って、広報活動の全体像をイメージしましょう。
広報の大まかな仕事内容と広報の役割・目的、また「PR」「宣伝」との言葉の違いを説明していきます。
広報とは
広報の主要な業務は、経営方針や事業活動、新商品・サービスなどの自社情報を、社外に向けて発信することです。具体的には「プレスリリースの作成・配信」や「SNSなどから自社情報の発信」などを行い、自社情報を社会や生活者に知らせていきます。
また自社情報をより広く発信するだけでなく、自社のステークホルダー(利害関係者)との双方向のコミュニケーションを通して良好な関係を構築することも求められます。特にメディア関係者との関係作りは、最重要の任務です。
広報は、自社と社会の相互に利益をもたらす関係性を構築し、維持するという役割を担っているため、関係性のマネジメントとも言われています。
また広報は英語で「Public Relations(パブリックリレーションズ)」、略してPRとも言われます。一般的な理解として「広報=Public Relations=PR」と覚えておくと良いでしょう。
広報の役割
広報の主な役割は、「自社とステークホルダーとの関係作り」です。ステークホルダーの中でも特に報道機関などのメディアへの対応が求められます。
具体的な例を挙げてみましょう。広報は自社情報を社外に発信するため「プレスリリースの配信」を行いますが、情報をより広く社会に知らせるためにはメディアに報道してもらう必要があります。日頃よりメディアと良好な関係を築いておくことで、記事にしてもらう効果を高め、記事として取り上げてもらえるようアピールすることが可能になります。これらの活動を「メディアリレーションズ」と言います。
「メディアリレーションズ」について、以下の記事が参考になります。ぜひご参照ください。
「 メディアリレーションズで大切なこととは?メディアとの関係構築に必要なポイント7選」の記事を見る
広報で取り上げるテーマは、新商品や新サービスだけでなく、事業計画や提携、M&A、人事などの経営レベルのものから危機管理対策や株主対策など、企業活動全般に関わっています。そのため、普段から広告宣伝部門やIR部門など、社内のさまざまな関連部門との連携をし、自社全体を把握しておくことが大切です。
また自社商品やサービスのファンを増やすための「ブランディング活動」や、社員同士のコミュニケーションを促進する「社内広報」などの役割もあります。
詳しくは下章「広報の仕事内容」で説明していきますのであわせてご確認ください。
広報と「PR」「広告」「宣伝」の違い
「PR」とは「パブリックリレーションズ(Public Relations)」の略で、広報活動ではパブリック=公衆との関係づくり。つまり、広報と同じ意味で使われます。
「広告」は、広告主がテレビCMや新聞などの広告枠を購入し、自社が発信したい内容を自らの表現で自由に掲載するもの。「宣伝」は、商品やサービスなどを広告などの手法を使い、広く伝え知らせることです。
「PR(パブリックリレーションズ)」と「広報」は、どちらも企業・組織がステークホルダーとの良好な関係を構築・維持することを目的としています。そのため同じ意味で使用されることが大半です。場面によって使い分けることができるとより良いでしょう。
「パブリックリレーションズ」について、以下の記事にて詳しく説明しています。あわせてご参照ください。
「パブリックリレーションズとは?広報担当者が知っておくべき意味や定義を解説」の記事を見る
広報の仕事内容
広報の仕事は「社外広報」と「社内広報」に分類されます。
企業における社外広報と社内広報の主要な業務について、以下の4点を軸にそれぞれ説明していきます。
社外広報:プレスリリースの作成・配信
広報担当のメイン業務かつ最重要業務となるのが「プレスリリースの作成・配信」です。メディアやステークホルダーに向け、新商品や新サービスなどの情報を発表します。
プレスリリースは企業としての公式文書です。どのような内容にするのか、いつ、誰に、どのような方法で届けるのか。プレスリリースを作成し配信することは、自社の売上やイメージ形成を左右する、とても重要な業務になります。
プレスリリースについては下章「広報の最重要業務「プレスリリースの作成」とは」でも詳しく説明しています。あわせてご確認ください。
社外広報:メディア対応
プレスリリースを見たメディアから取材の依頼がきた際の対応も、広報担当が行います。
必要な資料を揃えて送付したり、広報担当者が直接取材を受けることもあるでしょう。取材対応の際はメディア側の希望に迅速に答えられるよう、事前に準備しておくと安心です。
また日頃からメディアとの良好な関係を構築する「メディアリレーションズ」も、取材先として取り上げてもらうために必要な活動です。
メディアの記者や関係者とコミュニケーションを築き、メディア側が求めている情報やタイミングに合わせた情報提供を行い、自社情報を記事化してもらえるよう働きかけていきましょう。
メディアと良好な関係を築く「メディアリレーションズ」について、以下の記事が参考になります。ぜひご参照ください。
「 メディアリレーションズで大切なこととは?メディアとの関係構築に必要なポイント7選」の記事を見る
社外広報:SNSなどから自社情報の発信
自社ホームページやX(Twitter)、Instagram、Facebookなど、自社メディアからの情報発信も広報の大切な仕事です。
配信したプレスリリースを自社メディアに掲載したり、生活者やステークホルダーに向け自社ニュースや動画を発信するなど、自社サイトやSNSの公式アカウントなどの自社メディアを利用した情報発信も増えてきています。ただしSNS配信の際は、炎上リスクなど懸念事項もあります。ルールを守りながら上手に利用していきましょう。
SNS発信においての注意事項など、以下の記事にて詳しく説明しています。ぜひご参照ください。
「 ソーシャルメディアとは?企業で使うときに知りたい基本的なこと」の記事を見る
社内広報:社内情報の共有
社内広報に分類される業務として、社内報の作成があります。
社内報は自社社員に向けた情報共有ツールで、企業理念やビジョン、ミッションなどの社内浸透を目的として作成されます。また社内報により各部署の取り組みや工夫などを知ることにより、社内コミュニケーションの活性化が期待されます。
社内報の形態は冊子やメールマガジンなど各社によってさまざまで、発行頻度も各社によります。
企業広報の仕事内容を中心にご紹介してきましたが、大学や自治体、官公庁・外郭団体などの場合は、同じ広報でも業務内容が少々違ってきます。以下の記事にまとめてありますので、ぜひご参照ください。
「大学広報に求められるプレスリリースとは?事例と合わせてご紹介」の記事を見る
「自治体広報に求められるプレスリリースとは?事例と合わせてご紹介」の記事を見る
「官公庁、外郭団体の広報でプレスリリース配信サービスを利用するメリットは?事例も合わせてご紹介」の記事を見る
広報の最重要業務「プレスリリースの作成」とは
広報の最重要ミッションとして、プレスリリースの作成業務があります。プレスリリースなしでは、広報業務は務まらないと言っても過言ではありません。プレスリリースの作成方法について詳しく説明していきます。
プレスリリースの目的
プレスリリースとは、新商品の発売や新サービス、新規事業の開始、経営・人事情報などの新情報を、ニュース素材となるようまとめた文書や資料のことです。
プレスリリースの作成目的は、新聞やテレビ、雑誌、ラジオ、Webメディアなどにニュースとして取り上げてもらうことにあります。
客観的な視点を持つメディアから報道されることにより、生活者の信頼や共感を得ることができます。これにより自社商品・サービスなどの訴求や社会的認知の拡大、ブランドイメージの向上など、さまざまな効果が期待できます。
プレスリリースのより詳しい説明は、以下の記事にまとめてあります。ぜひご一読ください。
「 プレスリリースとは?配信の効果、メディア掲載のポイントを解説」の記事を見る
プレスリリースの書き方
プレスリリースには基本の書式があります。基本構成は以下の5つです。上記の図も参考に作成しましょう。
■プレスリリースの基本構成
発信日・発信者
タイトル・見出し
リード文
本文
問い合わせ先
プレスリリースは基本構成を順守した上で、さらに次のポイントを守ると読みやすい形式になります。
- タイトルは30文字前後にまとめる
- 本文やリード文は結論を先に書く
- リード文は「5W1H」で書く
- 画像や図、グラフ、空白などを活用して読みやすいレイアウトになるよう作成する
- 専門用語、広告的な表現、余分な形容詞は極力避ける
- 具体的な数値や根拠を盛り込む
これらのポイントを守り、メディアに記事化してもらえるプレスリリースの作成を心掛けましょう。
プレスリリースの作成方法や書き方について、以下の記事に詳しくまとめてあります。ご参照ください。
「プレスリリースの書き方11のポイント!基本の5構成と記者に取り上げられるコツ」の記事を見る
広報に必要なスキルとは
広報担当に必要とされるスキルは主に以下の3点が挙げられます。それぞれ説明していきます。
プレスリリースの作成スキル
広報担当のメイン業務となるのが「プレスリリースの作成」です。
メディアに記事化してもらえるようなプレスリリースの作成には、「情報をまとめる」「文章を作成する」といったスキルが必要になります。
また社内報の作成や会社案内などのツールを作成する業務、SNSなど自社メディアからの情報発信業務も都度発生します。そのため「文章表現力」や「編集する力」が必要とされます。
コミュニケーションスキル
広報は、メディア関係者や自社の経営者、各部署、ステークホルダーなど社内外問わず多くの人と関わる職種です。そのため高いコミュニケーションスキルが必要とされます。
それぞれの情報をヒアリングし、内容をキャッチアップしつつ適切に情報を発信するという一連の業務を、コミュニケーションをとりながら円滑に進める必要があります。
問題解決・対応するスキル
自社にトラブルが発生した際、対応の窓口を務めることも広報の仕事です。問題解決のため、臨機応変な対応が求められます。
企業の事故や不祥事、製品回収、SNSでの炎上など、どんなトラブルがいつ発生するのかは未知数です。日頃から情報収集に努め、リスクに対処できるよう備えておくことも重要です。
広報はプレスリリースの作成とメディアリレーションズが大切
メディア対応、自社内外での情報収集、プレスリリースの作成と、広報の仕事は多岐に渡りますが、その分やりがいや達成感は十分にある仕事です。
各関係者とコミュニケーションをとりながら、まずは広報の最重要業務「プレスリリース作成」ができるようにしましょう。
広報業務が未経験の方でも、下記の記事を参考にプレスリリースの作成が可能です。メディアに記事化されるプレスリリースの特徴をまとめています。ぜひご一読ください。
【初心者必見】記事になりやすいプレスリリース本文の書き方」の記事を見る