プレスリリースや社内報の作成など、PR業務において写真を掲載する際は「クレジット表記(コピーライト)」を行い、著作権や肖像権の保護を行う必要があります。
本記事では広報担当者が知っておきたい画像や写真の「クレジット表記」について、詳しく解説していきます。
目次
写真の「クレジット」とは
プレスリリースなどの作成時、掲載写真にクレジットやコピーライトを入れて使用することが多々あります。
「クレジット」「コピーライト」の意味を説明していきます。
「クレジット」「コピーライト」とは
「クレジット」とは、写真の著作権を示す署名のようなものです。
「クレジット」が著作権者の名前、「コピーライト」が著作権の訳語となり、どちらも意味は同じです。
下章「著作権」とは、でも詳しく説明しますが、写真には必ず著作権者が存在します。著作者の権利を守るために、クレジット(コピーライト)があります。
写真には、何も表記が無くても著作権が存在します。そのためクレジット表記は本来であれば不要です。
しかしクレジットを記載しておくことで、写真の無断使用や無断転載の防止を促すことになります。今はSNSで手軽に情報を共有できる時代です。著作権侵害の注意喚起として、クレジットを記載しておくことをおすすめします。
広報が知っておきたい「著作権」「肖像権」とは
「著作権」「肖像権」は、例えばプレスリリース作成時の画像使用の際に深く関わってきます。
著作権や肖像権についてそれぞれ詳しく説明していきます。
「著作権」とは
著作権とは、著作物の作者が有する権利です。著作物とは、美術や文学、文芸、建築、写真、地図、音楽、アニメなど著作物などが該当します。著作権を保護する法律「著作権法」によりルールが定められています。
PR活動では、プレスリリースや自社SNSで写真を掲載する場合に、この著作権が関わってきます。具体的には、画像使用の際に著作者への使用承諾が必要となります。無断使用は法的措置の対象となり、場合によっては罰せられます。
著作権について、以下の記事内でも説明しています。ご参照ください。
「広報担当が知っておきたいアンブッシュマーケティングとは?基礎知識から学ぶ」の記事を見る
プレスリリースでの引用に関するルールについては、以下の記事がお役立ていただけます。著作権との関係も解説していますので、ぜひご参照ください。
「プレスリリースはどこまで引用OK?広報とメディアが知りたい引用と著作権のルール」の記事を見る
「肖像権」とは
肖像権とは、人が承諾なしに写真を撮られたり、また不用意に世間に写真を公表や利用されないための権利で、人権に帰属します。
肖像権には「パブリシティ権」と「プライバシー権」があります。経済的価値を持つ著名人や有名人の人権保護という観点では、パブリシティ権が、一般人であっても写真の無断公表という点ではプライバシー権が関わってきます。
広報ではプレスリリースなどの画像使用の際に、この肖像権を侵害しないよう留意しなければなりません。
肖像権について、以下の記事もお役立ていただけます。ご参照ください。
「プレスリリースに画像は必須?記事化を目指すならしっかり画像を用意しよう」の記事を見る
パブリック・ドメイン
「パブリック・ドメイン(public domain)」とは、言わば著作権の権利の時効のことです。実は著作権は永久に権利があるものではなく、日本では「著作者の没後70年に著作権が消滅する」というルールがあります。パブリック・ドメインに該当すると、著作者の許可を得ずとも作品の使用や複製などができるようになります。
著作権・肖像権の侵害になるケースを確認
意図せずとも著作権や肖像権を侵害してしまうと、企業への社会的信用の失墜だけではなく、損害賠償請求の恐れもあります。企業におけるダメージは計り知れません。
著作権や肖像権の侵害になってしまうケースを事前に確認し、自社で引き起こさないよう注意しておきましょう。
■著作権の侵害になるケース
「プロのカメラマンに撮影してもらった写真を、許可を得ず一部加工してプレスリリースに使用した」
カメラマンが撮影した写真の著作権はカメラマンにあります。この場合、カメラマンから二次加工の許可を得ていれば問題ありませんが、許可を得ていなければ、勝手に加工することはできません。
■肖像権の侵害になるケース
「インターネットで自社の商品イメージにあう子供の写真を見つけ、許可を得ずプレスリリースに掲載した」
一般人の子供でも肖像権があり、許可を得る必要があります。被写体が所属している事務所があれば事務所に、なければ保護者に許可を得ましょう。
プレスリリースの写真・画像利用の際の判断ポイント
プレスリリースに写真や画像を掲載する際、著作権の観点から使用すべきかどうか判断に迷った場合、以下の3つの基準を元に考えることができます。それぞれ説明していきます。
著作権者の利用可能範囲を確認
プレスリリースや自社SNS、社内報など全ての創作物において、著作権者がどのような利用範囲で使用を許可しているかを確認しましょう。
著作権者は、写真や画像に入っているクレジットやコピーライトから判断することができます。クレジット等が確認できない場合は、写真が掲載されている媒体の責任者に連絡を行いましょう。SNSであれば発信者に、ホームページであれば作成者に確認をとります。
商用利用が可能かどうか
イメージ写真を使用する際に、最初から著作権がない「フリー素材」を使用することもあるかと思います。フリー素材は基本的に利用料が無料で、著作権や肖像権を気にせず自由に使用することが可能です。
ただし注意事項として「商用利用の許諾があるか」の確認をするようにしましょう。
多くのフリー素材サイトは、営利目的の場合利用料金が必要になる他、著作権者の許諾が求められることもあります。
広報やPR活動は、営利目的に該当するため、フリー素材使用の際は利用規約を確認し、営利目的の制限や使用範囲を確認するようにしましょう。
被写体の許諾の有無
写真・動画に人物が映っている場合は、肖像権が関わってきます。
一般人や自社社員の写真であっても、撮影許可および掲載許可を確認するようにしましょう。子供の場合は、保護者に許可を得ます。
もし許可を得ることが難しい場合は、被写体の顔が認識できないよう、ぼかしやモザイクなどの加工をする配慮が必要です。
また、パブリシティ権が関わってくる芸能人の写真は、許可は当然ながら使用期間にも注意が必要です。
期限を過ぎて使用する際は別途料金がかかる場合もあるため、事前に必ず確認するようにしましょう。
プレスリリースでの写真・画像のクレジット表記方法
特にプレスリリースに挿入する画像は、メディアで記事にしてもらうことも多く、引用されやすいものです。
そのためあらかじめ画像にクレジット表記を行っておくと、意図しない加工や不正を防ぐことができ安心です。
クレジットの一般的な表記方法と掲載位置を詳しく説明していきます。
クレジットで入れる表記
著作権保護のための国際的な条約「万国著作権条約」で定められているクレジットに必要な要素は、以下の通りです。
- ©︎(Copyright)
- 公開した年
- 個人名、または企業名
例えば以下のようになります。
©︎ 2024 Kyodo News PR Wire Inc.
©︎ 2024 Kyodo News PR Wire. All Rights Reserved
Copyright 2024 共同通信PRワイヤー
©︎は、パソコンや機器によっては登録がない場合もあるため「(c)」や「(C)」でも使用可能です。
個人名または企業名は、英語、漢字、平仮名など表記に指定はありません。カタカナも問題ありません。
また著作の所在であるという意味の©︎や All Rights Reservedなどの言葉は省いても良いとされています。それぞれ覚えておきましょう。
クレジットを入れる位置
クレジットを入れる位置にルールはありません。一般的には画像の被写体に被らないよう、写真の下部や上部に入れたり、写真の枠の外に記載する例がよく見られます。
一例として、当社「新着のプレスリリース」より、クレジット記載のあるプレスリリースを列挙します。クレジット表記の参考にご覧ください。
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ウォーターマーク・透かし
クレジットの他に画像にサインマークを入れる方法として「ウォーターマーク」や「透かし」と言われる技法があります。
どちらも写真自体に透かし文字を配置する方法で、文字があっても写真を透過しているため、被写体や背景も影響なく見ることができます。
photoshopやIllustratorなどのソフトウェアにはこの透かし機能が設置されているので、作成も簡単です。写真の無断使用を防ぐためにも活用してみましょう。
写真や画像にクレジットを記載しない際の注意点
「クレジット」「コピーライト」とは、の章で説明のように、日本においては必ずクレジットを記載しなければならないという規程はなく、明記がなくても著作権は保護されます。
一方で写真や画像にクレジット表記がない場合、フリー素材のように「著作権を放棄している」と勘違いをされてしまう可能性があります。
画像が無断使用される最悪のケースとして、中傷記事や詐欺ビジネスへの使用が挙げられます。この場合、会社だけでなく個人としても精神的に受けるダメージは計り知れません。
クレジット表記は、写真や画像の著作権の有無を知らせることができる他に、画像の無断使用防止につながります。安心材料として、クレジット表記をぜひ有効活用しましょう。
プレスリリースの画像はDLに問題ない写真を選択しよう
広報担当者としては、プレスリリースなどの作成時に、写真や画像の著作権・肖像権に留意が必要です。知らずに権利を侵害してしまわないよう、掲載の際には十分に気を付けるようにしましょう。
またプレスリリースに掲載の画像は、記事化の際に引用して使われることがほとんどです。ダウンロードされても問題が無い画像を使用し、意図しない使用を防ぐためにも、できればクレジット表記を行うようにしましょう。
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