「ごみ捨て火災」、被害は100億円超え!

~充電式電池は正しく捨てましょう~

 モバイルバッテリーなどリチウムイオンバッテリー(以下「LIB」という。)使用製品の普及に伴い、近年、不燃ごみやプラスチックごみとして捨てられたLIBにより、ごみ収集車やごみ処理施設での火災事故が多発し、多額の修繕費用が必要となったり、ごみ処理の受け入れが滞ったりと市民生活に支障をきたす事態が生じています。独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE(ナイト))がインターネット等から収集した情報では、ごみに混入したLIBの発火などによる被害額は、2018年度から2021年度の4年間でおよそ111億円(※1)にも達します。

 

 LIB使用製品は、押しつぶしたり破断したりすると発火し、火災につながるおそれがあります。LIB使用製品の誤った捨て方で事故が起きることを理解するとともに、正しく捨てることで「ごみ捨て火災」を防ぎましょう。

 

(※1)NITE調べ。

 

 LIBが破砕されて発火(再現実験)

 

 

 事故発生状況

ごみ処理過程(ごみ収集車やごみ処理施設)における発火などの発生状況を示します。

 

ごみ処理過程における年度ごとの発火等発生件数

 図1にNITEがインターネットでの報道や書籍の情報を元に収集した、ごみ処理過程における年度ごとの発火等発生件数及び被害額を示します(原因物がLIB以外による件数及び被害額を含みます。)。発生件数、被害額ともに増加傾向がみられます。

 

図1  ごみ処理過程における年度ごとの発火等発生件数と被害額

 

 

 また、表1に環境省の報告書(※2)(※3)に基づく、ごみ処理過程におけるLIB等の充電式電池が原因と疑われる火災等(※4)の発生件数を示します。図1と同様に件数の増加を示していますが、図1と比べて全体の件数が非常に多く、NITEが収集した件数及び被害額は氷山の一角に過ぎないと考えられます。

 

表1 ごみ処理過程におけるLIB等の充電式電池が原因と疑われる火災等発生件数

  2019年度

2020年度

火災等発生件数 9,732 12,765

 

(※2) 環境省「令和2年度リチウムイオン電池等処理困難物適正処理対策検討業務結果(業務報告書等抜粋)」

(※3)  環境省「令和3年度小型家電リサイクル法施行支援及びリチウムイオン電池等処理困難物適正処理対策検討業務報告書」

(※4) 火花の発生、発煙も含まれます。

 

 

原因となった主な製品

 環境省の令和2年度報告書(※2)では、2019年度の粗大ごみ処理施設及びマテリアルリサイクル施設(不燃ごみ処理施設、容器包装プラスチック処理施設等)における火災のうち、少なくとも4割はLIBが原因とされています。

 また、環境省の令和3年度報告書(※3)で報告された、充電式電池に起因した火災等の原因となった製品を図2に示します。原因物として、154の市区町村がモバイルバッテリーを挙げたほか、加熱式たばこ、コードレス掃除機などが挙げられています。

 

 図2:充式電池に起因した火災等の原因物(複数回答)

(充電式電池に起因した火災が発生している市区町村 n=255)

 

 

正しく捨てて火災を防ぐ

製品にLIBが使用されているか確認する

 充電して使用する製品は、外観上プラスチック製品に見えてもLIBなどの充電式電池が使用されています。製品本体の表示や取扱説明書を確認し、LIBが使用されているか確認してください。「リチウムイオン」の他に、「リチウムポリマー」「Li-ion」「Li-Po」などと記載されている製品にもLIBが使用されています。記載がない場合などは販売店、メーカーに確認してください。

 

表示例(電池パック本体表示)

 

 

自治体の指示に従って正しく捨てる

 ごみ処理過程では、ごみを圧縮したり、破砕したりするなど、強い外力を加える工程が含まれることがあります。誤った捨て方によりLIBがこれらの工程で強い外力を受けて損傷すると火災につながるおそれがあるため、他のゴミと区別する必要があります。LIB が使用されている製品は、分別方法など含め、お住まいの自治体の指示に従って、正しく捨ててください。

 

日光市及び日光市消防本部の協力を得て、LIB使用製品の誤った捨て方についての注意喚起動画を作成しました。

 

 

 

一般社団法人JBRCの回収対象電池は協力店・協力自治体に持ち込む

 一般社団法人JBRCでは、資源有効利用促進法 に基づき、所属会員企業が製造または販売したLIBを含む小型充電式電池を回収しています。回収対象となる小型充電式電池は電池の表面にリサイクルマークの表示があります。不要になった回収対象の小型充電式電池は、家電量販店やホームセンター等の協力店または協力自治体にお持ちください。会員企業、協力店・協力自治体は、JBRC のウェブサイトで確認できます。

 

https://www.jbrc.com/general/recycle_kensaku/

 

なお、一般社団法人JBRCによる回収の対象となる電池は以下の条件を満たす必要があります。

・一般社団法人JBRCの会員企業製であること (会員企業外品やメーカー不明品は回収対象外)

・電池種類(ニカド電池、ニッケル水素電池、LIBのいずれか)が明確であること

・破損、水濡れや膨張等の異常のある電池や、外装なしのラミネートタイプの電池ではないこと

 

リサイクルマーク表示例

 

 

メーカーや販売店による回収サービスを利用する

 製品によっては、メーカーや販売店等が不要になった製品の回収を受け付けている場合がありますので、取扱説明書やメーカー等のホームページを確認してください。

 

放電してから(電池を使い切ってから)捨てる

 一般に、LIBは満充電状態よりも、放電しきった(使い切った)状態の方が発火等のリスクが低くなります。事故防止のため、出来るだけ電池を使い切ってから捨てるようにしてください。

 

 

事故品・事故事例を確認

 NITEはホームページで製品事故に特化したウェブ検索ツール「SAFE-Lite(セーフ・ライト)」のサービスを行っております。製品の利用者が慣れ親しんだ名称で製品名を入力すると、その名称(製品)に関連する事故の情報が表示されます。

 

https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/safe-lite.html

 

 

 

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 製品安全センターの概要

  NITE 製品安全センターには、消費生活用製品安全法などの法律に基づき、一般消費者が購入する消費生活用製品(家庭用電気製品やガス・石油機器、身の回り品など)を対象に毎年1千件以上の事故情報が寄せられます。製品安全センターでは、こうして収集した事故情報を公平かつ中立な立場で調査・分析して原因究明やリスク評価を行っています。原因究明調査の結果を公表することで、製品事故の再発・未然防止に役立てています。

本プレスリリースは発表元が入力した原稿をそのまま掲載しております。また、プレスリリースへのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。

プレスリリース添付画像

LIB破砕発火

図1年度別発生件数と被害額

図2火災等の原因物

電池パック表示

リサイクルマーク表示例

safe-lite

プレスリリース添付動画

このプレスリリースを配信した企業・団体

  • 名称 独立行政法人製品評価技術基盤機構
  • 所在地 東京都
  • 業種 政府・官公庁
  • URL https://www.nite.go.jp/
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