企業が直接発信できる時代に、テレビと新聞が担う役割

総務省調査に見る、テレビ・新聞への信頼と広報の現在地

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総務省が公表した「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」では、情報源としての重要度は全年代でテレビが最も高く、メディアとしての信頼度は新聞が最も高い結果となった。情報収集の中心がインターネットへ移る一方で、なぜテレビや新聞への信頼は残るのか。調査結果を、広報の視点で読む。

情報源としてはテレビ、信頼では新聞が上位に

総務省情報通信政策研究所が6月26日、「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」を公表した。

なかでも目を引くのが、メディアに対する「重要度」と「信頼度」の結果だ。

「情報源としての重要度」は、全年代でテレビが80.6%と最も高かった。ただし年代別に見ると、10代から40代ではインターネットが最も高く、テレビが最上位となるのは50代以上だ。

一方、「メディアとしての信頼度」は、全年代で新聞が58.8%と最も高い。年代別に見ると、10代、20代、60代ではテレビが最も高く、それ以外の年代では新聞が最も高かった。

メディア別の重要度と信頼度(総務省「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」を基に汐留PR塾作成)

インターネットの普及以降、新聞の発行部数は減少し、テレビも見逃し配信や動画配信サービス、YouTubeなど多様なコンテンツと視聴時間を奪い合うようになった。

既存メディアの接触機会や影響力が以前より相対的に低下していると言われるなかで、テレビと新聞が「重要度」や「信頼度」でなお高い評価を得ていることは、広報の視点からも示唆的だ。

参考:「令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」の公表(総務省)

ネットは便利だが、見極める負担がある

インターネットは、必要な情報を素早く得られる。

検索すれば答えに近い情報にたどり着き、SNSでは自分の関心に近いテーマが次々に流れてくる。ニュースサイト、企業サイト、個人の投稿、動画、口コミ。情報の入口は、かつてないほど多様になった。

だが、その便利さの裏側で、受け手は常に判断を求められている。

発信元は誰か。根拠はあるか。広告ではないか。古い情報ではないか。切り取られていないか。

インターネット上では、信頼できる情報を自分で見分けなければならない。

情報を得るスピードは上がり量も増えた。一方で、情報の真偽や背景を確認する負担も、受け手の側に移っている。

テレビは「社会を知る共通の入口」になっている

一方、テレビは、自分の関心の外側にある出来事にも触れさせる。

自分から検索しない政治、経済、災害、地域課題、海外情勢も、ニュース番組の中では一定の順番で提示される。

そこには、受動的であることの弱さだけでなく、社会で共有されている情報に触れられる強さもある。

インターネットでは、自分の興味や検索履歴、フォローしている相手によって、接触する情報が偏りやすい。

一方、テレビニュースは、個人の関心とは別に「いま社会で何が起きているのか」を一定の編集判断のもとで届ける。

「受動的に見るメディア」は、古いもののように語られがちだ。

しかし、受動的だからこそ、自分の関心の外にある情報にも触れられる。テレビは今も、「社会を知るための共通の入口」としての役割を持っているのではないか。

新聞は「接触頻度」とは別に、信頼の基準として残る

新聞を毎日読む人は減っている。

紙の新聞に触れる機会そのものも、若い世代を中心に少なくなっている。

それでも新聞が信頼度で高く評価されるのは、取材し、確認し、編集し、記録として残すメディアだという認識があるからではないか。

利用頻度と信頼度は、必ずしも同じではない。

日常的な情報接触の入口はインターネットやテレビに移っていても、情報の確かさを考えるとき、新聞はなお一つの基準として見られている。

「頻繁に読むメディア」と「信頼できると感じるメディア」は、別の役割を担っている。

直接届けられることと、信頼されることは同じではない

企業は今、自社サイトやSNS、メールマガジン、動画などを通じて、自ら情報を届けられる。

発信のハードルは下がり、企業が生活者や顧客に直接語りかける機会は増えた。

しかし、直接届けられることと、信頼されることは同じではない。

第三者である報道機関を通じて情報が届くことには、受け手の判断負担を軽くし、情報の信頼性を補強する役割がある。

テレビや新聞の記事として取り上げられることは、単なる露出ではない。取材、確認、編集というプロセスを経て、社会に向けて情報が届けられるという意味を持つ。

プレスリリースは、そのための一次情報を、正確に、整理して届ける手段でもある。

ネット上で情報があふれる時代だからこそ、企業には、自ら発信する力だけでなく、報道機関が確認し、読み解き、伝えられる形で情報を整える力も求められる。

信頼を支えるのは、発信する側の責任でもある

もちろん、テレビや新聞への信頼は、自動的に守られるものではない。

報道機関には、正確性、公平性、取材源との関係、訂正のあり方など、報道倫理が常に問われる。

信頼されているメディアであるほど、その信頼を裏切らない姿勢が求められる。

同時に、情報を提供する企業側にも責任がある。

誤解を招く表現を避ける。根拠を明確にする。都合のよい情報だけを切り取らない。社会に出す情報として、正確で検証可能な形に整える。

インターネットで誰もが発信できる時代に、テレビや新聞への信頼がなお残っている。

今回の調査結果は、広報にとって、第三者を通じて情報が伝わる意味を改めて考えるきっかけになるのではないか。

この記事の著者:堀内 麻美

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