
「焼肉の名門 天壇」などを運営する晃商(京都市)は今夏、最高気温40℃以上が予想される日に、ファーストドリンク1杯を無料にするサービスを始めた。判定に使うのは当日の実測値ではなく、前日17時時点の気象庁の予想最高気温だ。京都地方気象台は22日夕方、23日の京都市の予想最高気温を40℃と発表。判定に使う前日の予報が基準に届いたため、京都市内の店舗(祇園本店/西院店/桂五条店/山科店/北山店/竹田店)できょう23日、サービスが実施される。
判定はあくまで前日の予報で、当日に40℃へ達しても前日予報が40℃未満なら対象にならず、逆に前日予報さえ40℃なら当日の実測が届かなくても実施される。無料になるのは条件を満たした日に限られ、期間は今年最初の対象日から9月ごろまでを予定している。
「酷暑日」は、最高気温35℃以上の「猛暑日」を上回る暑さを表す言葉として、日本気象協会が2022年に命名した。気象庁も今年4月17日、最高気温40℃以上の日を表す予報用語として採用している。7月21日には全国3地点で40℃以上を観測。岐阜県多治見市では40.3℃に達し、予報用語への採用後、初めて40℃以上を観測した。
ただ、40℃は基準としてはめったに満たされない数字でもある。日本気象協会は今年の酷暑日を全国で延べ6〜10地点と予想する。過去最多だった昨年の延べ30地点から大きく減り、直近10年の平均(約8地点)並みの水準だ。
京都市に限れば、観測史上の最高気温は39.8℃(1994年・2018年)で、40℃に達したことは一度もない。気象庁が23日5時に発表した予報でも京都の最高気温は40℃で、実際に到達すれば市として観測史上初の酷暑日となる。
百貨店で、35℃を基準に約20種類
気温をサービス実施の条件にする動きは、百貨店にも広がっている。
天満屋岡山本店(岡山市)は7月15日から8月31日まで、前日17時に発表される岡山市の予想最高気温が35℃以上の日に、「猛暑日サービス」を実施している。飲食店での割引やスキンケア用品の無料体験など、約20種類を用意した。40℃以上が予想される場合には、追加サービスも検討するという。
晃商が発動機会の限られる40℃を基準に、分かりやすい「ドリンク無料」を打ち出したのに対し、天満屋は35℃を基準に、館内の複数店舗を巻き込んでいる。同じ気温連動型でも、基準となる温度やサービスの組み立て方は異なる。
山の宿は「30℃を超えたら半額」
逆向きの使い方もある。志賀高原・発哺温泉の宿「ひがしだて」(長野県山ノ内町、標高約1,600m)は今夏、宿泊中に気温が30℃以上に達した場合、宿泊料金を半額にするキャンペーンを実施している。
判定は玄関先に設置した観測ロガーの実測値で、26℃以上の日は夕食時のドリンクを無料にする。昨夏99日間の観測で30℃以上が一日もなかったことが、この条件の根拠になっている。
広報TIPS — 気温連動型の企画では、実施の判定基準をあらかじめ明示しておくことが重要です。晃商と天満屋はいずれも、「前日17時時点の予想最高気温」を基準にしています。当日の実測値を待たずに実施を確定できるため、店舗の準備やSNSでの告知を前日中に進められます。「何度以上か」だけでなく、「どの地域の、何時に発表された、どの予報を使うか」まで決めておく。気象条件を販促に取り入れる際は、この運用ルール自体が告知内容の一部になります。
