抗悪性腫瘍剤「ロンサーフⓇ」 切除不能胃がん患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験で全生存期間を有意に延長

大鵬薬品

大鵬薬品工業株式会社とセルヴィエ社は、既治療の切除不能胃がん患者において「ロンサーフⓇ配合錠T15・T20」とプラセボを比較した第Ⅲ相臨床試験で、主要評価項目である全生存期間を有意に延長する結果が得られたことをお知らせします。

20180509

大鵬薬品工業株式会社

抗悪性腫瘍剤「ロンサーフⓇ」

切除不能胃がん患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験で

全生存期間を有意に延長

大鵬薬品工業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小林将之)とセルヴィエ社(本社:フランス・シュレーヌ、代表取締役社長:オリヴィエ・ローロ)は、既治療の切除不能胃がん患者において「ロンサーフⓇ配合錠T15・T20」* (以下「本剤」) とプラセボを比較した第Ⅲ相臨床試験 (TAGS 試験)で、主要評価項目である全生存期間(Overall Survival:OS)を有意に延長する結果が得られたことをお知らせします。

本試験の結果は今後、学術集会や学術雑誌での公表を予定しています。

大鵬薬品は、今後、切除不能胃がんでの早期申請を目指し準備を進めてまいります。

*ロンサーフⓇ配合錠T15・T20

一般名 : トリフルリジン・チピラシル塩酸塩

開発コード : TAS-102

TAGS 試験について

TAGS 試験(TAS-102 Gastric Study)は、大鵬が主導した無作為割付・二重盲検の国際共同第Ⅲ相臨床試験で、標準治療に不応となった切除不能胃がん患者においてロンサーフとベストサポーティブケア(BSC)、プラセボとBSC を比較したものです。本試験の主要評価項目はOS、副次評価項目は無増悪生存期間(Progression-Free Survival: PFS)、安全性と忍容性、QOL(Quality of Life)等です。本試験は、切除不能胃がんに対して少なくとも2 レジメンの治療歴がある、18 歳以上の507 名を対象に、日本・北米・欧州・ロシア・トルコ等で実施しました。

本試験の詳細は、ClinicalTrials.gov をご覧ください。

https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02500043

切除不能胃がんについて

胃がんは世界で5 番目に多いがんであり、死亡数は肺がん、肝がんに続きがんの中で3 番目に多く、年間約723,000 名が亡くなっていると推定されています[1]。日本における切除不能胃がんの3 次標準治療として、ニボルマブとイリノテカンが推奨されています。

近年、胃がんに対する治療成績の向上が目覚ましく、生存期間が過去10 年間で飛躍的に延長されました。しかし、がんが進行すると多くの合併症を併発するため、強力な化学療法が実施できず、使用できる薬剤が制限される場合があります。切除不能胃がんに対する治療後期での生存期間延長や症状緩和は課題であり、新たな治療薬剤の選択肢を増やすことは重要と考えられています。

ロンサーフについて

本剤は、トリフルリジン(FTD)とチピラシル塩酸塩(TPI)を配合することにより薬剤の効果を維持できるよう設計した経口のヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤で、従来のフルオロピリミジンとは異なる作用機序を有しています。

FTD はDNA の複製時にチミジンの代わりにDNA 鎖に取り込まれ、DNA の機能障害を引き起こして抗腫瘍効果を発揮すると推測されています。TPI はFTD の分解に関与するチミジンホスホリラーゼ(TP)を阻害し、FTD の血中濃度を維持します。

本剤は、日本では「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の適応症で大鵬薬品が販売、米国では「フルオロピリミジン療法、オキサリプラチン療法、イリノテカン療法や抗VEGF 抗体療法、およびRAS 野生型の場合は抗EGFR 抗体療法の治療歴があり、遠隔転移を有する結腸・直腸癌」の適応症で、大鵬薬品の米国子会社である大鵬オンコロジー社が販売しています。

2015 年6 月、大鵬薬品とセルヴィエ社は本剤の共同開発および商業化に関するライセンス契約を締結しました。本契約に基づき、セルヴィエ社は欧州・その他地域(北米・日本/アジアを除く)において、本剤の共同開発と商業化を進めています。日本以外のアジアでは、韓国、台湾において、それぞれ提携先である第一薬品株式会社、台湾東洋薬品工業株式会社が、本剤の商業化に向けて準備を進めています。

本剤は2018 年4 月現在、進行・再発の結腸・直腸がん治療薬として世界48 カ国・地域で承認されています。

セルヴィエ社について

セルヴィエ社は、フランスのシュレーヌに本社を置く研究開発型の非上場製薬会社です。世界148 カ国で積極的に事業を展開し2017 年の売上高が41.52 億ユーロに達するセルヴィエ社は、世界中に21,600 名の従業員を有しています。セルヴィエ社は後発薬を除く売上高の25%を研究開発費に投資しております。セルヴィエ社の成長は、循環器領域、免疫炎症領域、中枢神経領域、がん領域、糖尿病領域の5 領域におけるイノベーションの追求および高品質な後発薬により支えられています。

がん領域で中心的な存在になるのがセルヴィエ社の長期戦略です。現在、胃がん、肺がん、その他固形がん、種々のリンパ腫、白血病などを対象に9 つの化合物を開発中です。患者さんの生活を変えるような薬剤をお届けするために、これらの化合物の開発を世界中の複数のパートナーとともに進めており、細胞毒性や、プロアポトーシス、分子標的、免疫・細胞治療といった、がんの様々な異なる治療法をカバーしています。

セルヴィエ社の詳細は、同社ホームページをご覧ください。

https://servier.com/en/ および https://servier-oncology.com/

[1] Ferlay J, Soerjomataram I, Dikshit R, et al. Int J Cancer. 2015;136:E359-86.

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