EY調査、BEPS2.0対応を含めた法規制の不確実性が企業の税務・財務部門の変革を促進
~人材の採用・確保やテクノロジー対応へのプレッシャーも影響~
・95%(日本企業:100%)がデータおよびテクノロジースキルの向上が必要であると回答
・95%(日本企業:100%)が今後2年間で、より戦略的な施策に予算をシフトすることを計画しており、
84%(日本企業:76%)が税務・財務部門の適切な業務モデルを目指して対応
・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、70%(日本企業:85%)が今後2年間で、税務・財務部門に対する変革が行われると予測
EYの税務・財務業務に関する最新の調査「会社と事業に貢献できる税務・財務部門への転換を目指して」によると、世界中の企業は、いままでの経営方法を混乱させる数々の根強い課題に対して、将来に向け税務・財務部門を強化するための変革を行っています。
本調査は、日本を含む世界40カ国以上、1,650名の税務・財務担当責任者を対象に実施され、その結果、ほとんどの企業(グローバル:84%、日本企業:76%)が今後2年間に税務・財務部門の変革を計画していることが明らかになりました。これは、人材、法規制、テクノロジーに関する重要な課題に取り組む必要性に迫られ、多くの場合、予算の制約も伴っております。
本調査では、税務・財務部門責任者が計画しているいくつかのアプローチについて検討しています。回答者の大部分(グローバル:81%、日本企業:93%)が、今後24カ月以内に特定の税務・財務業務をコソーシングする「可能性の方が高い」と回答しており、この数字は売上高が300億米ドル以上の組織では96%に上りました。
調査結果では、COVID-19の大流行が変化のきっかけになったことも示されており、調査対象者の70%(日本企業:85%)が、過去2年間の経験によって、自社の部門を変革する必要性に迫られていると回答しています。調査対象のほぼすべての責任者(グローバル:95%、日本企業:100%)が、戦略的な優先事項に集中できるよう、予算を再配分していると回答しています。
人材の採用・確保、BEPS2.0対応を含めた法規制対応、テクノロジー対応へのプレッシャー - 変化を促す圧力:
人材の問題は、変革の流れを促す大きな要因であり、税務部門に対し2つの異なる、そして関連した課題をもたらしています。まず、COVID-19の大流行に対する「場所に縛られない働き方」という対応は、現在多くの業界で定着しており、事業を展開する地域に関するものを含め、企業には新たな検討課題が発生しています。回答者の55%(日本企業:45%)は、従業員がより地理的に分散しているため、今後数年間で追加の税務・報告義務に直面し、税務コンプライアンスにおいては予想外の複雑さが加わると述べています。
企業が直面する2つ目の問題は、適切なスキルを持つ税務専門家を見つけることです。調査対象となった回答者の 95%(日本企業:100%)が、税務部門におけるスキルギャップを指摘し、税務・財務の専門家が急速な変化について行くためには、今後 2 年間にデータ、プロセス、テクノロジーに関するスキルを更新する必要があると考えています。
こうしたプレッシャーは、新しいグローバルミニマム課税ルールの策定など、グローバルな税制改革の速さと量によってさらに強まっています。回答者のほぼ 3 分の 1 (グローバル:32%、日本企業:15%) が、迫り来る規制や法律の改正を特定し、評価・対応する能力の不確実性が、成功への最大の障害であると述べています。また、多くの企業がコストの増加を懸念しています。
59%(日本企業:94%)の回答者は、新しいデジタル申告の義務に対応するために支出が増加すると答え、83%(日本企業:78%)は、新しい規則を確実に遵守するために、今後5年間で少なくとも500万米ドル、平均1,110万米ドル(日本企業:820万米ドル)を費やすと予想しています。
また、パンデミックにより、COVID-19のロックダウン中に従業員が書類にアクセスすることができなくなった場合に、多くの企業は最新のデータや技術ツールがないことに気づきました。多くの大企業(グローバル:50%、日本企業:80%)は、データとテクノロジーに関する持続可能な計画の欠如が、税務部門の目的とビジョンを実現する上で最大の障害であると述べています。
企業は明らかに、より少ないコストでより多くの成果を上げることを迫られており、87%(日本企業:27%)の企業が今後2年間に、税務・財務部門のコスト削減を計画しています。それにも関わらず、ほとんどの企業は投資を計画しており、70%(日本企業:89%)が今後3年間に、税務テクノロジーへ200万米ドル以上を投資する予定があると回答しています。日系企業が27%と低いのは、日系企業は欧米企業と比べて今まで税務・財務管理にコストをかけてこなかった、しかしながら今後やらなければならないことを考えた場合、標準化・自動化そしてコソーシングも活用し対応コストも見据えながらの持続可能な税務・財務部の組成・運営が必要と認識されているのが原因かと推察します。
最後に、企業が環境・社会・ガバナンス(ESG)の目標に取り組む上で、より大きな役割を果たすべく、税務部門の必要性はますます高まっています。回答者の半数近く(グローバル:46%、日本企業:61%)が、今後2年間に企業が直面する最も重要なESG課題として、環境・気候リスクを挙げており、ほぼ全員(グローバル:94%、日本企業:97%)がESG報告活動をコソーシングしている、またはその検討していると回答しています。
EYのグローバル バイスチェア(タックス)のケイト・バートンのコメント:
「税務責任者は信頼できるアドバイザーとして経営幹部の中で確実に⼤きな役割を担うようになっています。そして税務部⾨の変⾰に着⼿した企業は⼤きな配当を⽣み出しています」と述べており、税務部⾨が組織の価値にいかに貢献できるかを実証しながら順調に成果を挙げています。
EY グローバル タックス・アンド・ファイナンス・オペレート リーダーのデイブ・ヘルマーのコメント:
「COVID-19の大流行により、変革への動きが加速しています。企業は、重要な税務コンプライアンスを遵守しながら、付加価値をもたらすという大きなプレッシャーにさらされています。多くの企業がこれらの課題に直面し、外部プロバイダーとの連携や自社での管理強化などを通じて、税務部門を未来に適合させる方法を模索しています」
EY Japan タックス・アンド・ファイナンス・オペレートリーダーの福澤保徳(ふくざわ やすのり)のコメント:
「ESGの目標への取り組み、そしてCOVID-19パンデミック対応のなかにおいて、多くの日系企業がDXを駆使しながら事業を変革し、より付加価値の高い商品、サービスを提供しようとしています。そのなかに置かれた日系企業の税務・財務部門が今やるべきことについての課題の認識、対応への方向性が本サーベイの結果にも現れております。事業部に対してより貢献できる税務・財務部門であること、複雑化し業務量が増している税務コンプライアンスを含めた税務・財務業務におけるリスク管理、それらを可能にするため標準化・自動化そしてコソーシングも活用し対応コストも見据えながらの持続可能な税務・財務部の組成・運営が必要になってきます」
日本企業は欧米企業と比較して今まで税務・財務管理にコストをかけてこなかった、標準化・自動化およびコソーシングを網羅的に検討できていないかもしれないといった点が本サーベイの結果にも表れています。
最近の傾向から、従業員がESG対応を含めた会社の経営方針を理解しそこに自己の働き甲斐を見いだせば、従業員のエンゲージメントは高まるといえます。税務・財務部門においても、あるべき形を導入、実施したうえで従業員に働き甲斐を説明できる状況でない場合は、必要な人材を採用、確保することは難しくなります。
日本企業がグローバル競争で勝ち抜くには、税務・財務管理においてグローバルでのベストプラクティスも参考に日系企業向けの管理体制を導入、実施していく必要があります。
本サーベイでは日本企業も含めた全体サーベイの結果と日本企業のみのサーベイの結果とを分けて編集していますので、それらの違いについてもご確認ください。
税務・財務管理体制見直しを検討する際の一つの情報としてご活用ください。
EYの税務・財務業務に関する調査についての詳細(日本語)は、 下記リンクからご参照下さい。
※本プレスリリースは、2022年1月11日(現地時間)にEYが発表したプレスリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。
英語版ニュースリリース:
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このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 EY Japan株式会社
- 所在地 東京都
- 業種 企業向けサービス
- URL https://www.eyjapan.jp/index.html
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