ベクルリー、CHMPが透析実施例を含む重度の腎機能障害を有するCOVID-19患者への治療薬として肯定的な見解

欧州委員会承認の場合、ベクルリーは全ステージの腎疾患に対する 最初で唯一の承認を受けた抗ウイルス薬に

2023年6月5日

ギリアド・サイエンシズ株式会社

ベクルリー(R)(レムデシビル)について、CHMPが透析実施例を含む 重度の腎機能障害を有するCOVID-19患者さんの治療薬として
使用拡大に肯定的な見解を採択

-欧州委員会で承認された場合、ベクルリーは全ステージの腎疾患に対する
最初で唯一の承認を受けた抗ウイルス薬に-

 

ギリアド・サイエンシズ(本社:米カリフォルニア州フォスターシティ、ナスダック:GILD、以下「ギリアド」)は5月26日、欧州医薬品庁(EMA)欧州医薬品委員会(CHMP)がベクルリー(R)(レムデシビル)について、透析実施例を含む重度の腎機能障害を有するCOVID-19患者さんの治療薬として肯定的な見解を採択したことを発表しました。欧州委員会(EC)はCHMPの推奨を検討し、採用された場合、ベクルリーは、全ステージの腎疾患に対して使用可能な最初で唯一の承認を受けた抗ウイルスCOVID-19治療薬となります。

 

欧州では、約7,500万人が慢性腎臓病(CKD)に罹患しています。進行したCKDまたは末期腎不全(ESKD)患者さんは、COVID-19に対し非常に感染リスクの高い集団で、COVID-19の罹患率や死亡率が高く(死亡率は21~25%と高い)、現在、安全で効果的な治療選択肢は限られています。

 

ギリアドの肝炎・呼吸器・新興ウイルス臨床研究部門副社長のアヌ・オシヌシ(Anu Osinusi)は次のように述べています。「COVID-19は、腎疾患を有する患者さんを含め、感染リスクの高い人々の命を脅かし続けています。最も感染しやすい集団のアンメットニーズに応えることは、常にギリアドの最優先事項です。今回のCHMPの見解に勇気づけられ、今後も重篤な疾患リスクがある集団にとって適切な治療選択肢を開発することに注力し続けます」

 

COVID-19入院患者さんにおけるベクルリーのクリニカルベネフィットは、無作為化、比較試験、リアルワールドエビデンスおよびメタ解析で裏付けられていますが、重度の腎機能障害(<30 ml/分)を有する患者さんに対するデータが不十分であったため、以前は使用が制限されていました。今回の重度の腎機能障害を有する人々への使用に対する肯定的な見解は、第I相薬物動態試験(GS-US-540-9015)、および重度の腎機能障害を有するCOVID-19入院患者さんにおけるベクルリーの安全性を評価する第III相REDPINE試験の結果に基づいています。新たな安全性シグナルは、いずれの試験においても認められませんでした。

 

Hannover University School of Medicineの呼吸器病学教授で、肺疾患・感染症部門長のトビアス・ウェルテ医師(Dr. Tobias Welte)は次のように述べています。「CHMPの肯定的な見解は、重度の腎機能障害を有する人々におけるベクルリーの安全性プロファイルの妥当性を立証する一助となります。依然として治療選択肢が限られているこの集団に対してベクルリーの使用が拡大された場合、より多くの人々がCOVID-19の治療にアクセスできるようになります」

 

欧州経済地域(EEA)において、ベクルリーは、酸素補給は必要ないものの、COVID-19が重症化するリスクの高い成人・青年患者さん、および酸素補給(低流量酸素療法、高流量酸素療法、あるいは他の非侵襲的換気)を必要とする成人・青年・小児肺炎患者さん両方のCOVID-19治療に適応がある唯一の抗ウイルス薬です。

 

GS-US-540-6912REDPINE)試験について

ギリアドは、重度の腎機能低下を有するCOVID-19入院患者さんにおけるベクルリーの有効性および安全性を評価する、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較、多施設第III相試験(REDPINE)を行いました。本試験にはCOVID-19に罹患し、かつ腎機能障害が確認された243人の成人入院患者さんが参加し、標準治療に加えて、ベクルリー投与群(n=163)とプラセボ投与群(n=80)に2:1の割合で無作為に割り付けるとともに、ESKDを有するか否か、高流量酸素療法の必要性、および地域(米国対米国以外)により層別化されました。本試験は、実行可能性の問題により時期を早めて終了し、参加者数が予定を下回ったため、有効性評価を行うには不十分と判断されました。本試験において、新たな安全性シグナルは認められず、COVID-19罹患が確認され、急性腎障害(AKI)(n=60)、CKD(eGFR <30 mL/分)(n=44)、あるいは血液透析を必要とするESKD(eGFR <15 mL/分)(n=59)を有する163人の入院患者さんにおいて、最長5日間ベクルリーを投与した結果、ベクルリーの新たな副作用は確認されませんでした。

 

REDPINE試験および非盲検、並行群間比較、単回投与第I相試験(GS-US-540-9015)からは、薬物動態(PK)データが得られました。重度の腎機能低下を有する患者さんにおけるPKデータおよび重度の腎機能低下および代謝レベル上昇に関連する新たな安全性シグナルが認められないことから、透析患者さんを含め、腎機能障害を有する患者さんに対するベクルリーの投与量調節は推奨しません。

 

ギリアドのCOVID-19開発プログラムについて

ベクルリー(レムデシビル)は、ギリアドの10年以上にわたる抗ウイルス研究の成果を基に創薬されたヌクレオチド誘導体です。本剤は、COVID-19による入院患者さんの標準治療として使われる抗ウイルス薬で、進行リスクが高い非入院患者さんの疾患進行を抑制する治療として推奨されています。ベクルリーの安全性プロファイルは確立されており、幅広い集団において最小限の薬物相互作用を有しています。ベクルリーは、さまざまな重症度の患者さんの疾患進行抑制および死亡率低下、および患者さんの早期回復を可能にすることにおいて、重要な役割を果たしています。ベクルリーはSARS-CoV-2ウイルスRNAポリメラーゼを標的とすることにより、細胞内部で直接ウイルス複製を阻害します。in vitro解析において、ベクルリーは、BQ.1.1およびXBBを含む、最新の懸念されるオミクロン株亜種に対する抗ウイルス活性を保持します。

 

ベクルリーは、世界約50カ国で承認されています。現在までにベクルリーおよびジェネリック薬のレムデシビルは、ギリアドのボランタリー・ライセンスを通じて提供された低中所得国における800万人を含め、世界で約1,300万人の患者さんに提供されています。

 

COVID-19患者さんに向けた新しい効果的な経口治療薬選択肢開発に対する大きなニーズが依然として存在します。ギリアドは、COVID-19治療薬として、経口抗ウイルス薬obeldesivirの開発も進めています。obeldesivirは、ウイルス複製に用いる重要な要素であるSARS-CoV2 RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)に直接作用するヌクレオシド阻害剤です。代謝されると、obeldesivirはベクルリー同様、SARS-CoV2ウイルス複製を阻害する働きを示します。

 

米国でのベクルリーの適応症

米国におけるベクルリー(R)(レムデシビル 100 mg 注射剤)の適応症は、次の成人および小児患者さん(生後28日以上、体重3kg以上)に対するCOVID-19治療となります。

 

・入院している

・あるいは、入院しておらず、軽症から中等症のCOVID-19であり、入院や死亡を含むCOVID-19重症化リスクが高い

 

詳細については、www.gilead.comに掲載されている米国の添付文書(完全版)をご覧ください。

 

米国におけるベクルリーに関する重要な安全性情報

禁忌

ベクルリー製剤またはそのいずれかの成分に対して臨床上問題となる過敏症の既往歴のある患者には投与しないでください。

 

警告および使用上の注意

・過敏症(注入に伴う反応とアナフィラキシー反応を含む):ベクルリーの投与中および投与後に、注入に伴う反応やアナフィラキシー反応などの過敏症の発生が報告されています。また、そのほとんどが1時間以内に発現しています。投与中は患者をモニタリングし、臨床的に適切となるよう投与完了から少なくとも1時間は過敏症の徴候や症状がないか観察してください。低血圧、高血圧、頻脈、徐脈、低酸素症、発熱、呼吸困難、喘鳴、血管浮腫、発疹、吐き気、発汗や振戦などの症状が現れることがあります。点滴速度を下げると(点滴時間は最長で120分)、これらの反応を予防できる可能性があります。投与に伴う重度の過敏症が発現した場合、直ちにベクルリーの投与を中止し、適切な治療を開始して下さい(「禁忌」を参照)。

・トランスアミナーゼ上昇リスク:ベクルリーを投与された健常被験者やCOVID-19患者に、トランスアミナーゼの上昇が認められています。COVID-19の臨床所見としてもトランスアミナーゼ上昇が報告されています。全ての患者について、肝機能検査を行ってください(「用法および用量」を参照)。ALTが施設基準値上限(ULN)の10倍を超える場合、ベクルリーの投与中止を検討してください。ALT上昇に伴い肝臓の炎症を示す症状・徴候が認められた場合はベクルリーの投与を中止してください。

・クロロキン・ヒドロキシクロロキンとの併用時の抗ウイルス活性低下リスク:ベクルリーとリン酸クロロキンまたはヒドロキシクロロキン硫酸塩との併用については、細胞培養で拮抗作用が認められ、ベクルリーの抗ウイルス活性が低下する可能性があることから、併用は推奨しません。

 

副作用

・発現率が高かった副作用(全グレードにおいて発現率5%以上)は吐き気でした。

・発現率が高かった検査値異常(全グレードにおいて発現率5%以上)は、ALT上昇とAST上昇でした。

 

薬物相互作用

・ベクルリーと併用薬の薬物相互作用を検討するヒトを対象とした試験は行われていません。

 

用法および用量

・アナフィラキシーなど、重度の過敏症反応の管理が可能な条件下で投与されます。

・投与期間:

O 入院患者の場合、COVID-19の徴候があると診断された場合、早急にベクルリーを投与する必要があります。

O 侵襲的機械換気および/またはECMOを必要としない入院患者の場合、推奨投与期間は5日間です。臨床的改善が認められない場合、投与期間をさらに5日間まで延長でき、投与日数の合計は最高で10日間です。

O 侵襲的機械換気および/または ECMO を必要とする入院患者の場合、推奨投与期間は合計 10 日間です。

O    軽症から軽症から軽症から中等症のCOVID-19と診断され、入院または死亡を含むCOVID-19重症化リスクの高い非入院患者の場合、推奨投与期間は合計で3日間です。COVID-19の徴候があると診断された場合、できるだけ早急に、症状発現から7日以内に外来での使用を開始することを推奨します。

O    投与前および投与中の検査:ベクルリーの投与開始前はeGFR、肝機能検査、プロ トロビン時間の検査を行い、投与期間中も、臨床上必要に応じて行ってください。

O 腎機能障害:eGFRが30 mL/分未満の患者には、ベクルリーの投与は推奨しません。

 

妊婦および授乳婦への投与

・妊婦:妊婦レジストリは確立されています。妊娠中のベクルリーの使用に関するヒトのデータは十分に得られていません。COVID-19は、子癇前症、子癇、早産、前期破水、静脈血栓塞栓性疾患、胎児死亡などの母体や胎児の有害転帰と関連しています。

・授乳婦:ベクルリーが乳汁中へ移行するかは不明です。COVID-19患者の授乳については、乳児へのウイルス曝露を避けるための臨床ガイドラインに従ってください。

 

ギリアド・サイエンシズについて

ギリアド・サイエンシズは、すべての人々にとって、より健康な世界の実現を目指し、30年以上にわたり医療の革新を追求し、飛躍的な進歩を遂げてきたバイオ医薬品企業です。当社はHIV、ウイルス性肝炎、がんなどの生命を脅かす疾患の予防と治療のため、革新的な医薬品の開発に取り組んでいます。カリフォルニア州フォスターシティに本社を置き、世界35カ国以上で事業を行っています。

 

将来予測に関する記述

本プレスリリースは、1995年「米国証券訴訟改革法」(Private Securities Litigation Reform Act of 1995)で定義される「将来予測に関する記述」に該当し、いくつかのリスクや不確定要素などの要因を含む場合があります。これらのリスク等には、ギリアドがベクルリーの供給や流通を効果的に管理する能力、現在見込まれるタイムライン内に臨床試験を開始、進行、完了するギリアドの能力、またはそれらが全く完了できない可能性、ベクルリーとobeldesivirに関するものを含む進行中または追加の臨床試験から得られた結果が好ましくない可能性、ギリアドがベクルリーおよびobeldesivirの現在開発中の適応について、開発中止の戦略的決定を行い、その結果、その適応について、ベクルリーおよびobeldesivirの製品化を全く行わない可能性、透析患者さんを含む、重度の腎機能障害を有するCOVID-19患者さんに対する、腎機能検査の実施あるいは投与量調節の必要がない治療薬として、現在見込まれるタイムライン内にECがベクルリーを承認しないリスクを含む、規制当局への申請および関連する申請に対する承認が適時に行われない不確実性、規制当局から承認された場合でも、その使用に著しい制限が課される可能性、医師がその適応についてベクルリーを処方するメリットを認識しないリスク、および上記のいずれかの根拠となる仮定も含まれます。これらのリスクやその他の不確定要素等については、米国証券取引委員会に提出している、2023年3月31日を期末とするギリアド四半期報告書(フォーム10-Q)で詳細に説明しています。これらのリスク、不確定要素およびその他の要因により、実際の結果が「将来予測に関する記述」で言及されたものと大きく異なる可能性があります。歴史的事実以外の全ての記述は、「将来予測に関する記述」とみなされます。このような「将来予測に関する記述」は将来の業績を保証するものではなく、リスクや不確実性を伴いますので、この記述に過度に依拠しないようご注意下さい。「将来予測に関する記述」は全て、ギリアドが現在入手できる情報に基づいており、ギリアドは「将来予測に関する記述」を更新する義務を負うことはなく、更新する意向もありません。

 

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