11年連続「ウッドデザイン賞」受賞~木の可能性を追及。暮らしを変える木の力、木造技術で脱炭素~

住友林業

2025年10月16日

住友林業

 住友林業株式会社(社長:光吉 敏郎 本社:東京都千代田区)は10月10日、当社グループが設計・施工した物件や共同開発した部材等、他社との共同応募案件も含め全6点で「ウッドデザイン賞2025」を受賞しました。第1回「ウッドデザイン賞2015」から11年連続の受賞です。

 ウッドデザイン賞(主催:(一社)日本ウッドデザイン協会)は木の良さや価値をデザインの力で再構築することを目的に、優れた建築・空間や製品、活動や仕組み、研究等を募集・評価し、表彰する顕彰制度です。(一社)日本ウッドデザイン協会(会長:隈 研吾、東京都千代田区、https://www.jwda.or.jp/)は木を活用した社会課題の解決をめざす取り組みを「ウッドデザイン」と定義しています。住友林業グループは昨年に続き今年度も「建築・空間分野」、「技術・建材分野」、「コミュニケーション分野」の各分野で受賞しました。受賞案件は木を活かして質の高いライフ&ワークスタイルを提案しているものが対象となる「ライフスタイルデザイン部門」、森林・林業や地域・社会の持続性を向上させているものが対象となる「ソーシャルデザイン部門」、心身を健やかにしてウェルビーイングの実現が期待される「ハートフルデザイン部門」に及びました。

 

<受賞一覧>

 

 住友林業グループは森林経営から木材建材の製造・流通、戸建住宅・中大規模木造建築の請負や不動産開発、木質バイオマス発電まで「木」を軸とした事業をグローバルに展開しています。2030年までの長期ビジョン「Mission TREEING 2030」では住友林業のバリューチェーン「ウッドサイクル」を回すことで、森林のCO₂吸収量を増やし、木造建築の普及で炭素を長期にわたり固定し、自社のみならず社会全体の脱炭素に貢献することを目指しています。世界の脱炭素シフトへのパートナーとして当社グループ独自の「ウッドソリューション」を提供し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

 

【受賞の概要】

<建築・空間分野>

■みどりのの庭/住友林業株式会社

・「みどりのの庭」は住友林業株が設計・施工した6階建ての社宅。

・平面混構造(中央がRC造、両端が木造)を採用。

・中大規模木造建築の技術とノウハウを活かし、設計・施工の合理化で建設コスト削減・工期短縮を実現。

・「木造混構造中大規模集合住宅」のモデルケースとして普及を目指す。

<特長①>構法・部材による施工の合理化

・構造設計:水平力をRC造に集中させ、木造柱・梁のスリム化とコストを削減。

・合成梁構法:のこぎり状の凹凸をつけた木梁とRC床版(鉄筋コンクリートを用いた床版)の組み合わせで天井高確保・床振動抑制。

・耐火部材:オリジナル木質耐火部材「木ぐるみCT®(2時間耐火)」を初採用、木の質感と耐火性能を両立。

・接合金物:木造の小梁とRC造の大梁や柱の接合部に規格化した金物「混構造用接合金物」を使用し、設計の効率化とコストを削減。

・施工方法:RC造の床スラブを木造部まで延長し木造部分と鉄筋コンクリート造を同時施工。職人不足にも対応。

<特長②>CO₂排出量削減への取り組み

・エンボディドカーボン:

 ・「OneClickLCA」でエンボディドカーボンを見える化。

 ・建物全体で322m³の木材を使用。炭素固定量は267.239トンCO₂ebio(CO2ベース/40年生スギ約878本分)。

・オペレーショナルカーボン:

 ・Nearly ZEH-M取得、省エネ・創エネで75%以上のCO₂削減。

 ・100%再生アルミサッシ、高効率設備、太陽光発電を導入。

 ・緑化システム・壁面緑化で冷房負荷軽減。

<特長③>社員を対象とした「木の効果」検証

・住友林業筑波研究所が木造建物・木質空間が施設利用者の心身の健康等に与える影響・効果を継続的に測定。定性的・定量的に検証し立証する予定。快適な空間づくりと木造建築の価値向上につなげる。

※ 「CT」は「Combined Timber(組み合わさった木質部材)」の略。構造材の柱や梁の周囲に不燃材を貼り付け、その外側にCLTなどの木材を浮かして留め付ける構成。耐火性能を確保しつつ、木の質感を現しで見せることが可能。3時間耐火構造の国土交通大臣認定を取得。

 

■あなたなら何に使いますか?/住友林業ホームテック株式会社 

・敷地内の老朽化した築約100年の蔵(1924年築)をリノベーション。

・耐震・断熱リフォームに加え、子供の頃からの思い出の詰まった蔵を失うのは寂しいとの施主の思いに応え、「空間体験」を重視し、蔵の存在がもたらす新しい価値を提案。

・収蔵機能にとらわれず、多目的な非日常空間として再定義し、読書、映画・音楽鑑賞、バーベキュー、地域交流などに活用できる空間とした。

・簡易キッチン兼収納棚を設置し、シンプルな間取りでデザインは「簡素美」を意識。蔵本来の美しさを活かす。

・蔵の南側開口部は格子の木サッシで庭とつなげ、歴史的な意匠を生かして母屋と庭との調和を図った。

<建物概要>

 建物:蔵 木造(1924年築)

 敷地面積:967.10m2/延床面積:34.78m2(10.52坪)

 天井:梁現し/壁:漆喰/床:土間コンクリート金鏝仕上(かなごてしあげ)

 外壁:焼杉/造作:キッチン兼収納

 

<技術・建材分野>

■丸太打設軟弱地盤対策&カーボンストック工法

/住友林業株式会社・飛島建設株式会社・ミサワホーム株式会社

・丸太打設軟弱地盤対策&カーボンストック工法(LP-SoC工法)は、飛島建設株式会社、住友林業株式会社、ミサワホーム株式会社の3社で共同開発。

・丸太を軟弱地盤に圧入し地盤を補強、丸太と地盤の双方で建築物を支える地盤改良工法。

・木の炭素固定機能に注目した「地中に森をつくる」工法で、地中に炭素を半永久的に貯蔵し脱炭素に貢献。

・気候変動対策と森林資源の循環利用を同時に実現。

・戸建て住宅、集合住宅、事業用建築(事務所、幼稚園、高齢者施設、店舗など)物件の地盤改良工法として展開。

<工法概要>

・丸太は頭部を地下水位より深く打設し、腐朽や蟻害による劣化を防止。

・圧入した丸太頭部を粘土で覆い、頭部から基礎までを充填材(砕石)で締固める。

・丸太の圧入は低振動・低騒音で、建設残土の発生が少ない。

・大型重機を必要とせず狭隘(きょうあい)地での施工が可能。

・周辺地盤の変位も抑制。養生期間不要で即次工程へ移行でき工期短縮。

・間伐材等の木材有効活用につながり、木材需要の創出、林業再生、地域林業の活性化に貢献。

 

■鋸形シアキー※ ¹ を用いた合成梁構法/住友林業株式会社・株式会社日建設計

・住友林業と日建設計はのこぎり状に凹凸をつけた木質梁とRC床版(鉄筋コンクリ―トを用いた床版)を組み合わせた合成梁構法を共同開発。

・木とコンクリートの圧縮強度が近い特性を活かし両者を強固に接合しロングスパンを実現する構法。

・梁せい(梁の高さ)を抑えられるため建物の階数増加にもつながり、オフィスや学校、病院などの中大規模木造建築の普及を推進する。

<合成梁構法の特長>

・従来の約2倍、最大12mの梁長を実現。ロングスパンに対応し、広い空間設計が可能。

・梁せい(梁の高さ)が通常120cm程度となるのを約90cmに抑え、階高を低くできるため階数増加や建築費削減に貢献。

・RC床版が木質梁の剛性を高め、鉄骨造とRC床版の床と比べて遜色のない揺れにくい床構造を実現。

・梁は集成材やLVLなど多様な木材に対応。

・「木ぐるみFR®」※ ² 「木ぐるみCT®」※ ³ などの耐火木質梁にも適用可能。

※1 シアキ―(shear key)とは建築や土木分野で使われる構造部材におけるせんだん力(ずれるように働く力)の伝達要素。 今回の合成梁は、梁に曲げがかかった時に起こる水平方向のせんだん力を木質梁だけでなくRC床版にもシアキ―を介して伝達することで木質梁とRC床版が一体的に挙動する合成構造となる。

※2 難燃処理した木材で荷重支持部を被覆して耐火性能を確保した純木質構造部材。木を現しにした耐火木造建築が可能。1時間耐火構造の大臣認定を取得。

※3 「みどりのの庭」 内  注釈参照

 

■イソバンドBL-木造仕様/住友林業ホームエンジニアリング株式会社・日鉄鋼板株式会社

・イソバンドBL(金属断熱サンドイッチパネル)は2枚の鋼板を成形・加工しその間に心材となる断熱材を挟み混んだパネル型の建材。意匠性と機能性を併せもつ次世代型の高機能パネル。

・イソバンドBLは従来鉄骨造建築物への対応のみであったが、木造仕様を開発。

・イソバンドBL木下地専用ビスを開発し、イソバンドBL本体のめり込み耐力を検証の上、ビス留め付けの耐力を決定。

・イソバンドBLの木造躯体への施工性、手順を検証。大工職と板金業者の混成チームで土台水切りから約半日で施工が完了。工期短縮を実現。

・木造仕様の開発で、非住宅物件の木造化に寄与。内部空間の木の現しが可能となり、災害復興住宅等の短工期・省人化が求められる建物への応用も想定可能となる。

 

<コミュニケーション分野>

■自然共生のインターフェイス(巣箱編)/住友林業クレスト株式会社

・住友林業クレストが内装建材を製造する過程で発生する不適格品等をアップサイクルした。

・巣箱へと再生させることで、伐採木材製品 (Harvested Wood Products、HWP)の炭素固定の考え方から廃棄ではなく更なる活用を目指した。

・制作には伝統的な接合方法を使い、釘やビスを使わないため、生分解性にも配慮している。

・巣箱へと変化させることで自然共生への橋渡しとなり、生物多様性へ寄与する事を期待している。

・森林文化を紹介する住友林業の施設「フォレスターハウス」と住友林業紋別森林事業所内に設置した。

<巣箱の制作>

・材料:北海道産ニレ床材(製造行程や品質管理時の不適格品を使用)

・接合方法:環境に配慮し伝統的なあられ組 ※ ¹ +木ダボ ※ ² +本実 ※ ³ などの接合方法を使い、ビスや釘を使わず制作。

※1 あられ組(あられぐみ)ー木材同士を強固に接合するための伝統的な組手の一種。

※2 木ダボ(もくだぼ)ー加工精度が求められ、接合部をみせたくない場合に使用。

※3 本実(ほんざね)ー部材を凸部と凹部の形状に削り、お互いをはめ込む接合方法。

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