ゼロクリック検索
ぜろくりっくけんさく
ゼロクリック検索とは、検索した人がリンクをクリックせず、画面に表示された回答だけで知りたいことを済ませ、どのサイトにも遷移しない行動を指します。
GoogleのAI OverviewsやChatGPTなどの対話型AIが質問に直接答えるようになり、こうした行動はAI検索の普及とともに広がっています。自社サイトへのアクセスは減る一方で、AIの回答のなかでは自社の情報が使われています。この「見えない接点」をどう測り、どう設計するかが、ゼロクリック時代の広報・マーケティングの論点になります。
ゼロクリック検索とは
従来の検索では、ユーザーは検索結果の一覧からリンクをクリックし、各サイトで情報を確認していました。これがSEOの前提です。ゼロクリック検索は、その前提が崩れる現象を指します。AIが回答を生成し、ユーザーはページに遷移せずに知りたいことを得るため、クリック流入が発生しません。
この変化が広報・マーケティングで問題になるのは、AIが自社の情報を回答に使っていても、それが自社サイトへのアクセスとして計測されないためです。サイバーエージェントGEOラボの調査では、AI Overviews上のリンクをクリックすることが「時々ある/よくある」と答えた人は54.2%でした(汐留PR塾「AIによる『引用』とは」が紹介)。裏を返せば、残りの半数近くはほとんどクリックしておらず、検索結果が表示されても自社サイトに遷移しない行動は、もはや珍しいものではありません。
つまりゼロクリック検索とは、PVには現れない認知が、AIの回答のなかで動いている現象です。この見えない成果を把握しないまま発信戦略を組むと、実態と乖離した評価が続きます。
クリックされなくても、認知は獲得できる
クリック流入という従来の成果指標が機能しにくくなる一方で、AIの回答内で自社名やサービス名が言及(メンション)されれば、クリックがなくても認知は積み上がります。「AIにおすすめされた企業」として第一想起の候補に入り、出典付きで引用されれば態度変容のきっかけにもなります。
【課題】
- PV・セッション数だけでは、AIでの認知獲得を捕捉できない
- AIがどの情報を回答に使うかは、外部から直接制御できない
- 引用・言及されているかを把握する仕組みがないと、実態が見えないまま施策が続く
【解決策】
- AIに引用・メンションされる状態をつくれば、クリックがなくても認知・第一想起を獲得できる
- 成果指標を指名検索数・AIメンション数・AI経由流入まで広げ、実態に即して評価する
効果測定の見直しが、対応の起点になる
ゼロクリック検索への対応は、「何を成果と数えるか」を再定義するところから始まります。PVが横ばいでも、指名検索やAIメンションが増えていれば、認知は動いています。
施策の優先順位は、自社業界でのAI露出頻度を把握してから決めます。AIの回答に登場する頻度は業界によって最大10倍規模の差があるとされ(汐留PR塾「AIに引用されるチャンスは業界で10倍違う」が解説)、ここを見ずに動くと投資対効果の見立てがずれます。把握した変化は、AIメンションや指名検索とあわせて継続的に測ります。
発信の質と継続が、AIメンションを増やす
まず、発信の中身を整えると、AIメンションは目に見えて増えます。共同通信PRワイヤー自身の事例では、企業情報ページで自社の強みを「数より質」と打ち出し直したところ、AIの回答での自社へのメンションが、施策前の0件/日から約8か月で約208件/日まで増えました(共同通信PRワイヤー調べ、2025年3〜11月)。しかも、ChatGPT経由のアクセスは通常の流入に比べて問い合わせ率が約3倍で、AIに名前を挙げられる状態は購入や問い合わせに近い来訪につながっていました(共同通信PRワイヤー調べ)。詳しくはAIの「メンション」とは?で解説しています。
次に、発信を続けることも効きます。ある小売業の企業では、AI Overviewsでの自社への言及が増え続け、プレスリリースの毎週配信を始めた12月以降には、メンションが月あたり約1,000件、引用が約2,000件の規模に達しました(PRwire調べ)。クリックされなくても、AIメンションやAI経由流入は実数で測れ、整え方と継続で動かせます。

AIが参照するのは、信頼できる第三者の言及
こうしてメンションが増える背景には、AIが何を信頼するかという仕組みがあります。生成AIは報道機関やニュースサイトなど信頼できる第三者メディアを参照する傾向があり、自社サイト内の発信よりも、報道機関ドメインで繰り返し言及された情報を重く扱います。では、その報道機関ドメインにどう自社の情報を載せるか。
その手段の一つがプレスリリースです。配信した内容が報道機関ドメインに転載・掲載されると、「第三者からの言及」として積み上がります。
共同通信PRワイヤーは、提携69サイト中51サイトで全件転載を行い、うち約半数が報道機関です。記事化率は約7割(転載除く)で、配信が大手競合サービスの約2倍の媒体に届いた事例もあります(PRwire調べ)。クリック数では測れない認知は、信頼できる場所での言及を積み上げることで築けます。
