「糖鎖合成酵素の制御方法」の開発

新潟大学

【研究成果のポイント】 1.神経再生阻害因子とされるコンドロイチン硫酸の発現を制御する方法を開発 2.糖鎖合成酵素の発現制御システムを解明 3.脊髄損傷治療など今後の中枢神経再生治療へ向けた新しい方法を提唱

2013年11月13日

新潟大学

“中枢神経損傷からの再生治療”に大きな期待がかかる「糖鎖合成酵素の制御方法」の開発

【研究成果のポイント】

1.神経再生阻害因子とされるコンドロイチン硫酸の発現を制御する方法を開発

2.糖鎖合成酵素の発現制御システムを解明

3.脊髄損傷治療など今後の中枢神経再生治療へ向けた新しい方法を提唱

【研究成果の概要】

新潟大学医学部の五十嵐道弘教授および武内恒成准教授らと、同大学・脳研究所、慶応大・医学部、愛媛大・医学部、神戸薬科大、東京都医学研の共同研究チームは、コンドロイチン硫酸(CS)糖鎖合成酵素T1の遺伝子欠損マウスが、脊髄損傷の劇的な回復を引き起こすことを発見しました。このマウスでは、損傷部位の縮小や神経の突起である軸索の顕著な伸長再生が起こり、さらにはヘパラン硫酸(HS)という、CSと合成系を共有しかつCSとは逆の神経伸長活性を持つ分子の発現を高めていました。この研究から、このT1酵素は神経損傷や神経難病の改善に向けて絶妙な標的であることを解明しました。

さらに損傷脊髄に限定してこの遺伝子の抑制にも成功し、今後のiPS細胞移植などと併用することで、治療法の無かった脊髄損傷などの中枢神経の病態への再生医療につながる成果であると期待されます。本研究に関する論文は,オンライン限定の学際的ジャーナルとして国際的に高く評価されている『Nature Communications』に掲載されました。

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