抗悪性腫瘍剤TAS-102 (日本での製品名:「ロンサーフ®」) カナダで優先審査品目に指定

大鵬薬品

大鵬薬品工業株式会社は、経口ヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤TAS-102について、進行・再発の結腸・直腸がん治療薬として優先審査品目に指定され、新薬承認申請をカナダ保健省が受理したことをお知らせいたします。審査は2018年初めに完了する見込みです。

2017年10月20日

大鵬薬品工業株式会社

抗悪性腫瘍剤TAS-102 (日本での製品名:「ロンサーフ®」)

カナダで優先審査品目に指定

進行・再発の結腸・直腸がん治療薬として

大鵬薬品工業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小林将之)は、経口ヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤TAS-102*(以下「本剤」)について、進行・再発の結腸・直腸がん治療薬として優先審査品目に指定され、新薬承認申請をカナダ保健省が受理したことをお知らせいたします。審査は2018年初めに完了する見込みです。

優先審査は、重篤で生命をおびやかす、または身体を衰弱させる疾患に対して臨床的有用性が認められている薬剤の、新薬承認申請または医薬品承認事項変更申請(S/NDS:Supplemental New Drug Submission)に適用されるものです。

本剤が承認された場合、子会社の大鵬ファーマカナダが販売する予定です。本剤を通じ、カナダにおいてフルオロピリミジン療法、オキサリプラチン療法、イリノテカン療法や抗VEGF抗体療法、および抗EGFR抗体療法を含む既存治療の施行後、またはこれらの治療法が適応とならない、遠隔転移を有する成人の結腸・直腸癌に対して、新たな治療選択肢を提供できることになります。

本申請は、国際共同第Ⅲ相臨床試験(試験名:RECOURSE)の結果に基づいています。本試験は、標準化学療法に不応・不耐となった治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん患者800名を対象に、日本を含む13カ国で実施したもので、試験結果は米国の医学誌The New England Journal of Medicineに掲載されています。本試験において、本剤投与群はプラセボ投与群に比較して、主要評価項目である全生存期間(Overall Survival:OS)を有意に延長しました。また、安全性において特に問題となるような事象は観察されませんでした[1]。

大鵬薬品は、本剤が結腸・直腸がん治療の新たな選択肢として、カナダの患者さんに貢献する薬剤になることを期待しています。

*TAS-102

日本での製品名 : 「ロンサーフⓇ配合錠T15・T20」

一般名     : トリフルリジン・チピラシル塩酸塩

【進行・再発の結腸・直腸がんについて[2]】

結腸・直腸がんは、カナダにおいて2番目に罹患率が高いがんです(非メラノーマ皮膚がんを除く)。また、男性では2番目、女性では3番目に死亡数の多いがんです。2017年にはカナダで2万6,800人が新たに結腸・直腸がんと診断され(2017年に新たにがんと診断されると推定される人の13%)、9,400人が結腸・直腸がんにより亡くなると推定されています(2017年にがんで亡くなると推定される人の12%)。これは、平均すると毎日73人が新たに結腸・直腸がんと診断され、26人が結腸・直腸がんで亡くなることを意味します。標準化学療法不応の患者数に関するデータはありません。

【TAS-102(ロンサーフ)について】

本剤は、トリフルリジン(FTD)とチピラシル塩酸塩(TPI)を配合することにより薬剤の効果を維持できるよう設計した経口のヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤で、従来のフルオロピリミジンとは異なる作用機序を有しています。

FTDはDNAの複製時にチミジンの代わりにDNA鎖に取り込まれ、DNAの機能障害を引き起こして抗腫瘍効果を発揮すると推測されています。TPI はFTDの分解に関与するチミジンホスホリラーゼ(TP)を阻害し、FTDの血中濃度を維持します。

本剤は、日本では「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の適応症で大鵬薬品が販売、米国では「フルオロピリミジン療法、オキサリプラチン療法、イリノテカン療法や抗VEGF抗体療法、およびRAS野生型の場合は抗EGFR抗体療法の治療歴があり、遠隔転移を有する結腸・直腸癌」の適応症で、大鵬薬品の米国子会社である大鵬オンコロジー社が販売しています。

2015年6月、大鵬薬品とセルヴィエ社は本剤の共同開発および商業化に関するライセンス契約を締結しました。本契約に基づき、セルヴィエ社は欧州・その他地域(北米・日本/アジアを除く)において、本剤の共同開発と商業化を進めています。日本以外のアジアでは、韓国、台湾において、それぞれ提携先である第一薬品株式会社、台湾東洋薬品工業株式会社が、本剤の商業化に向けて準備を進めています。

本剤は2017年10月現在、進行・再発の結腸・直腸がん治療薬として世界39カ国・地域で承認されています。

[1] Robert J. Mayer, M.D., et al for the RECOURSE Study Group. Randomized Trial of TAS-102 for Refractory Metastatic Colorectal Cancer. N Engl J Med 2015;372:1909-19. Accessed on July 25, 2017 at http://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa1414325.

[2] Canadian Cancer Society. Colorectal cancer statistics. Accessed on July 20, 2017 at http://www.cancer.ca/en/cancer-information/cancer-type/colorectal/statistics/?region=on.

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