ゼブラフィッシュを用いた脳損傷モデルにより神経幹細胞による組織再生機構の一端を解明
ゼブラフィッシュを用いた新たな脳損傷モデルを作製し、中枢神経系の組織再生の一端を明らかにした。損傷後、神経幹細胞でWntシグナルが活性化し、増殖および神経細胞への分化が誘導されることが明らかとなった。
2018-02-09
早稲田大学
ゼブラフィッシュを用いた脳損傷モデルにより
神経幹細胞による組織再生機構の一端を解明
事故や病気による中枢神経系損傷からの組織再生を促す仕組み発見に期待
早稲田大学理工学術院の清水勇気(しみずゆうき)助手(同大学院先進理工学研究科博士後期課程3年)、上田悠人(うえだゆうと)(同大学院先進理工学研究科修士課程2年)および、大島登志男(おおしまとしお)教授(先進理工学研究科生命医科学専攻)の研究グループは、このたび、視蓋損傷によりラジアルグリアの細胞増殖が活性化し、新たに神経細胞が生み出されることを解明しました。事故や病気による中枢神経系損傷の課題を、神経組織再生の仕組みを探索していくことで、再生能力が低い哺乳類での神経再生能力向上の仕組み解明とその制御方法の開発が期待されます。
通常、視蓋(※注1)にはラジアルグリア(※注2)と呼ばれる神経幹細胞が存在していますが、通常時は増殖・分化をほとんど行っておらず、成体視蓋での機能はこれまで解明されていませんでした。本研究では、中枢神経系の再生機構を明らかにするために、視蓋と呼ばれる視覚情報を処理する領域に着目し、視蓋損傷モデルを作製することでラジアルグリアがどのような応答を示すのか検証しました。その結果、視蓋のラジアルグリアは損傷に応答し、増殖を活性化させ神経細胞を生み出す機能が明らかになりました。
【発表のポイント】
■ 視蓋損傷によりラジアルグリアの細胞増殖が活性化し、新たに神経細胞が生み出されることを解明
■ 視蓋にはラジアルグリアが存在しているが、通常、増殖・分化をほぼ行わず、機能は不明だった
■ 再生能力が低い哺乳類での神経再生能力向上の仕組み解明とその制御方法の開発が期待
本研究成果は、米国Wiley Groupの科学誌『GLIA』に2018年2月7日付にてオンライン版で公開されました。
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/glia.23311/full
【研究内容に関するお問い合わせ先】
早稲田大学理工学術院 大島 登志男
TEL: 03-5369-7321 E-mail: ohshima@waseda.jp
本プレスリリースは発表元が入力した原稿をそのまま掲載しております。また、プレスリリースへのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。
このプレスリリースには、報道機関向けの情報があります。
プレス会員登録を行うと、広報担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など、報道機関だけに公開する情報が閲覧できるようになります。
このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 早稲田大学
- 所在地 東京都
- 業種 大学
- URL https://www.waseda.jp/top/
過去に配信したプレスリリース
異なるアモルファス材料系に意外な共通点
本日 14:00
正常な神経細胞分化、鍵はタンパク質凝集
本日 11:00
性格で高血圧リスクを予測
8/5 11:00
アルツハイマー病とレビー小体型認知症の複合病態で神経細胞死が進行する
8/1 15:00
AI・量子共通基盤の研究開発を開始
8/1 14:00
夏休み子ども向け科学実験教室「ユニラブ」開催のお知らせ
8/1 12:00
ロシア哲学の“死と復活”論争に新たな光
8/1 11:00
「想い」がつなぐ伝統 ―早大ラグビー蹴球部、公式戦用ジャージを紙袋に再生―
7/29 14:00
いつの間にか自己否定
7/29 13:00
運動学習の戦略にひそむ認知バイアス
7/24 12:00
液体ガリウムを使ってハイエントロピー酸化物超薄膜を作る
7/23 11:00
発酵ガスから化学原料へ
7/21 10:00