【スマホ撮影の新トレンド】ミレニアル世代が注目する、スマホ動画の加工ワザとは?
生活者の意識・実態に関する調査を行うトレンド総研(東京都渋谷区)は、このたび、ミレニアル世代の「スマートフォン撮影事情」をテーマに、レポートいたします。
2018年4月27日
トレンド総研
~2018年・スマホトレンドレポート~
「フォトジェニック」は、もう古い?
スマホ撮影の新トレンド、キーワードは「ムービージェニック」
逆再生、スローモーション、タイムラプス…
ミレニアル世代が注目する、スマホ動画の加工ワザとは?
生活者の意識・実態に関する調査を行うトレンド総研(東京都渋谷区)は、このたび、ミレニアル世代の「スマートフォン撮影事情」をテーマに、レポートいたします。
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1:「ミレニアル世代」とは?
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ミレニアル世代とは、1980年以降に生まれ、2000年以降に成人・社会人になる世代のこと。日本では特に、現在20~28歳の世代をさすことが多く、新しい価値観を持ち社会に大きな影響を与えるジェネレーションとして、注目度が高まっています。
そして、このミレニアル世代の1つの特徴とされているのが、上の世代と比較して、スマートフォン(以下、「スマホ」)に慣れ親しんでいるという点です。彼らは、「セルフィー」(自撮り)などの新しい「スマホ撮影」スタイルを牽引している世代でもあります。
こうした背景をふまえ、今回、トレンド総研では、ミレニアル世代の「スマホ撮影」事情について調査を実施。さらに、若者の生活実態やインサイトについて詳しい、マーケティングアナリストの原田曜平氏に、ミレニアル世代の「スマホ撮影」の実態や最新トレンドについてのインタビューもおこないました。
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2:世代間で異なる「スマホ撮影」事情
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今回の調査では、よりミレニアル世代の特徴を浮き彫りにするため、20~50代の男女を、ミレニアル世代(20~28歳)、団塊ジュニア世代(44~47歳)、バブル世代(49~53歳)の3世代にわけ、それぞれの「スマホ撮影」事情を比較しました。
<調査概要>
・調査対象:20~50代 男女220名(3世代で割付)
・調査期間:2018年4月9日~4月11日
・調査方法:インターネット調査
◆スマホカメラ利用率を世代間で比較…最多はデジタルネイティブな「ミレニアル世代」
はじめに、「普段からスマホカメラを利用している」人の割合を調べたところ、最も多かったのは、ミレニアル世代で約9割(89%)に。団塊ジュニア世代(77%)、バブル世代(79%)と10ポイント以上もの差がついています。また、「日常的にスマホで撮影した写真をSNSに投稿している」人の割合も、デジタルネイティブなミレニアル世代が約6割(59%)で最多となり、以下、バブル世代(35%)、団塊ジュニア世代(26%)と続きました。
そこで、「具体的にどのようなSNSに投稿しているか」を聞くと、各世代のトップ3は下記のような結果に。団塊ジュニア以上の世代では「LINE」がトップであるのに対して、ミレニアル世代では「Instagram」が最多となっています。
●ミレニアル世代
1位:Instagram(66%) 2位:LINE(64%) 3位:Twitter(54%)
●団塊ジュニア世代
1位:LINE(60%) 2位:Facebook(40%) 3位:Instagram(30%)
●バブル世代
1位:LINE(65%) 2位:Facebook(47%)、Instagram(47%)
◆ミレニアル世代の4割超が、1年前と比べて「動画を撮影する回数」がアップ
「スマホカメラで動画を撮影する」人の割合については、ミレニアル世代が88%で、団塊ジュニア世代(82%)、バブル世代(67%)の順で多い結果に。さらに、「1年前と比べて、動画を撮影する回数が増えた」人も、ミレニアル世代では42%にのぼっており、団塊ジュニア世代(9%)、バブル世代(15%)とは大きな差がつきました。ここ1年間で、特にミレニアル世代については、「動画撮影」に対する興味関心が大きく高まっているようです。
◆日常的なシーン×加工機能で、「ムービージェニック」な動画を楽しむミレニアル世代
そこで、ミレニアル世代の男女に、具体的にどのような動画を撮影しているかを聞くと、「自然・風景の動画」(39%)、「ペットの動画」(30%)、「友人と会話しているときの動画」(29%)、「子ども・赤ちゃんの動画」(29%)などが上位になりました。
また、「自分が撮影した、または友人・知人が投稿していた動画で、印象に残っているもの」を聞くと、
●「友達と普通にしゃべっている様子を早送りした動画」(24歳)
●「イチゴに練乳をかけているところを逆再生にした動画」(28歳)
●「インコが走ってくる様子をスローモーションで撮影した動画」(23歳)
●「タイムラプス機能(コマ送り動画のように見える撮影機能)を使って撮影した動画」(25歳)
などの回答があがっています。撮影するシーン自体は日常的なものでありながらも、編集や加工で「ムービージェニック(動画映え)」を意識するという人が多いようです。
◆ミレニアル世代が注目する、「ムービージェニック」な動画のための撮影&加工テクニック TOP5
さらに、「ムービージェニック(動画映え)」な動画のためにやっていること、今後やりたいことを聞いた質問では、「動きのある被写体を選ぶ」(65%)、「あえて声や音が入るようにする」(39%)、「カメラにフィルターをかける」(39%)、「BGMや音楽にこだわる」(39%)、「スローモーション機能を利用する」(29%)の5項目が上位となりました。
最近は、動画用のフィルターを豊富にラインナップしたり、スーパースローモーションなどの機能が楽しめたりと、スマホカメラで出来ることも増えています。こうした最新の機能を活用して、動画の仕上がりにもこだわりたいというミレニアル世代が多いようです。
◆ミレニアル世代は、スマホ選びでも「ムービー機能」を重視する傾向に
そして、このように動画の撮影・加工にこだわるミレニアル世代は、スマホ選びにおいても、他の世代以上に、カメラの「ムービー機能」を重視する傾向があることが判明。スマホを選ぶときに「ムービーの機能・性能をチェックする」ミレニアル世代の割合は、実に43%にのぼりました。団塊ジュニア世代、バブル世代で同じ回答をした人はともに18%と1割台であったことをふまえると、ミレニアル世代の「ムービー機能」へのこだわりの強さがわかります。
なお、具体的に「スマホカメラのムービー機能に求めること」を聞くと、「写真だけでなく動画も高画質で撮れる」(57%)、「動画でも手ぶれしにくい」(57%)、「暗いところでも明るく撮れる」(52%)、「動画の撮影だけでなく編集がしやすい」(34%)、「動画のフィルターやエフェクトが充実している」(27%)などが上位となりました。
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3:専門家に聞く、ミレニアル世代の「スマホ撮影」最新トレンド
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さらに今回は、長年若者の生活実態やインサイトについて調査・研究している、マーケティングアナリストの原田曜平氏に、ミレニアル世代の「スマホ撮影」の実態や、最新トレンドについてお話を伺いました。
<専門家プロフィール>
原田曜平(はらだ・ようへい) / マーケティングアナリスト
1977年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業。専門は若者研究で、日本およびアジア各国で若者へのマーケティングや若者向け商品開発を行っている。「伊達マスク」「さとり世代」「マイルドヤンキー」「女子力男子」「ママっ子男子」などの流行語を広める。『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』 (幻冬舎新書)、『さとり世代 盗んだバイクで走り出さない若者たち』(角川oneテーマ21)など、著書も多数。
◆他の世代と比較して、ミレニアル世代は、センス・美的感覚が優れている
ミレニアル世代は、上の世代と比較して、圧倒的にスマホのカメラ・ムービー機能を使いこなしています。その理由は、単に彼らがスマホそのものに慣れ親しんでいる世代だからという点にとどまりません。
スマホが身近なものである彼らは、中学生くらいから、日常的に写真を撮ったり、SNSで友人が投稿した写真を見たり、クオリティーの高いインフルエンサーの写真を見たり、という日常を送ってきました。こうした写真との接し方は、月に1回、紙の雑誌を眺めていただけの団塊ジュニア世代、バブル世代とはまったく異なります。ミレニアル世代は、これまでの人生において写真に触れてきた数が、他と圧倒的に違うのです。そのため、上の世代と比べても、写真や動画に対する「センス」や「美的感覚」が非常に優れている傾向があります。
◆いま、ミレニアル世代が求めているのは、等身大でありながらセンスが伝わる「日常映え」
また最近では、2017年に「インスタ映え」が新語・流行語大賞になるなど、全世代的に写真や動画の見せ方に注目する人が増えつつありますが、ミレニアル世代の考え方は、すでにそこから一歩進んだものになってきています。
彼らがいま求めているのは、特別なシーンでの「インスタ映え」ではなく、もっと身近なシーンでの「インスタ映え」。これは、「日常映え」とも言い替えることができます。つまり、「特別」や「キメキメ」ではなく、あえて「普通」で「ゆるい」、けれども写真・動画に「映える」というバランスが求められるようになってきているのです。
この背景には、Instagramの「ストーリーズ機能」(以下、ストーリー)が大きく影響していると言えます。ストーリーとは、Instagram独自の機能で、通常のフィード(タイムライン)とは別に、より日常的な写真や動画の投稿、ライブ配信がおこなえるというものです。投稿はストックをしない限り、24時間以内に自動的に削除されます。
ミレニアル世代がストーリーを体験する中で実感したのは、その「ラクさ」。ストーリーは、基本的に24時間で消えるので投稿のハードルが低く、「キメキメ」の写真でなくても投稿しやすいのです。ただし、美的感覚を大切にしている彼らの根底には、「センスがいい」ものを投稿したいという気持ちもあります。「がんばりすぎず等身大だけれど、センスはいいものを投稿したいし、誰かに見てほしい」。ストーリーは、こうした「日常映え」を求めるミレニアル世代の意識に、ぴったりハマった機能であったと言えます。
◆「何気ない日常」を、編集・加工の工夫でムービージェニックに
そして、ストーリーの浸透によりもう1つ、ミレニアル世代の中で大きな変化がありました。それは、静止画だけではなく、動画を撮るという習慣の拡がりです。最近では、写真のSNS映えを指す「フォトジェニック」に続いて、動画映えをさす「ムービージェニック」という言葉も登場しています。
そして、動画は、写真以上に「臨場感」をあらわしやすいという特徴があります。そのため、友達とおしゃべりをしたり、ペットをかわいがったりという「何気ない日常」を、あえて写真ではなく、動画で撮影する人が増えています。
ただし、動画においても、ただ単に撮影するだけではないのがミレニアル世代の特徴です。今回の調査でも、「友達と普通にしゃべっている様子を早送りした動画」、「イチゴに練乳をかけているところを逆再生にした動画」、「インコが走ってくる様子をスローモーションで撮影した動画」など、撮影シーンは日常的なものでありながら、編集や加工により「ムービージェニック」な演出をしているという回答が多く見られました。これは、写真を「見る力」(審美眼)だけでなく、「撮影する力」や「編集・加工する力」も高い、デジタルネイティブな彼らならではのトレンドと言えます。
実際に、私のまわりの若者世代に、SNSへの動画投稿の際に意識していることや、ポイントだと思うことを聞くと、次のような声があがりました。いずれも、何気ない日常シーンを、より「映える」動画にするテクニックであると言えます。
●セルフィー(自撮り)は動画の場合も加工必須!
写真でなく動画であっても「加工」のひと手間を。目を大きくしたり、顔を小さくしたりなど、顔や色味を調整してから投稿する。
●エフェクトで何気ないシーンをおもしろ動画に!
Instagramの「スーパーズーム」機能でディスコ風・なごみ風といった効果をつけるなど、友達のふとした瞬間を撮影した動画に、あえてエフェクトをかけることで、シュールなウケ狙いの動画を作っている。
●音にこだわってアクセントを!
アプリを使って声を変えたりBGMをつけたりなど、「音」の演出を加えることでアクセントを追加している。
一方で、自然体でありながらもセンスのよさが伝わる「日常映え」は、本来、かなり高度で難しいもの。何気ない「日常」が「映える」動画は、ミレニアル世代のセンスやテクニックがあるからこそ、成り立っていると言えるでしょう。
また、私の周囲の若者の中には「Instagram、特にストーリーではなく永続的に残る本投稿には、なるべく鮮明な動画や画像を載せたい」という声もみられました。今後は「日常映え」を実現する上で重要な、カメラやムービーの撮影・加工機能などにも、より注目が集まっていくと考えられます。
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