電通、新型コロナウイルス日米定点生活者意識調査第4回目を実施

外出自粛緩和するも日米共に第二波に対して高い懸念、日本の外出時の感染への危機意識は米国よりも30%高い

電通

2020年6月30日

株式会社 電 通

 株式会社電通(本社:東京都港区、社長:五十嵐 博)は、2020年6月上旬、全国20〜69歳の男女1,000名を対象に「COVID-19生活者意識ナビゲーター(第4回日米比較編)」を実施しました。

 本調査は、(株)電通グループの海外連結子会社で米国事業を統括するDentsu Aegis Network US Holdings, Inc.が米国において、新型コロナウイルスによる生活者意識の変化を今年3月下旬から5月にかけて7回にわたり調査したものと同じ内容を日本国内でも調査したものです。「生活者の心理ステージ」「生活者インサイト」「生活行動」および「企業・団体等への期待」の4つの視点で調査を行っています。前回の5月下旬実施に引き続き、日本での第4回目の調査を6月上旬に行いました。

 

 今後も、日本では隔週で6月末まで定期的に調査を実施し、その結果を随時お知らせしてまいります。(次回調査は6月末に実施し、7月上旬の発表を予定)

 

 第4回調査の主なファインディングスは以下の通りです。なお、一部の調査項目は、情勢を鑑みながら追加したり変更を行っているため、設問によっては最新調査週との比較ではなく、比較可能な項目がある週との比較を行っております。

 

<主なファインディングス>

1. 生活者の心理は、日米ともに前回調査から大きな変化はない。「順応・適応」以降の心理ステージの割合は変わらず。

2. 日本の生活者の感情は、前回ポジティブな感情に振れたものの小康状態に。「悲観的」が前回より6ポイント高まるなど再びネガティブに転じる感情も見られるが、米国よりも日本の方がポジティブな感情に振れている。

3. 生活者の懸念事項は日米ともに首位は「感染の第二波」。次いで「日本/米国の景気」が高い。日本ではウイルス感染への懸念が減少傾向。

4. 外出時の感染の危険性については、日本人の約8割が危険を感じると回答しているのに対し、米国では約5割が危険と回答。日本人の慎重さや危機意識の高さがうかがえる。

 

 

<詳細結果>

1. 生活者の心理は、日米ともに前回調査から大きな変化はない。「順応・適応」以降の心理
ステージの割合は変わらず。

・新型コロナウイルスの影響下における生活者の心理変容を5つのステージで捉えて傾向を把握。日米ともに前回から心理ステージに大きな変化はない。日本の場合は、緊急事態宣言解除から数日後に実施した前回調査時(5月下旬)に心理ステージが前進したものの、今回は大きな変化が見られなかった。

・第3ステージ「順応・適応」以降の割合は、日本が53%で米国の49%を上回っている。

 

(図表1)生活者の心理ステージ 

 


質問:新型コロナウイルスの感染拡大のような公衆衛生上の危機に面した時、人々の気持ちの変化にはいくつかの 「ステージ」があると言われています。今回の新型コロナウイルスの感染拡大があなたの日常生活にどのような影響を与えたかを考えていただき、現在のあなたの状況に最も当てはまるものを1つお選びください。

 

出典:社会心理学の「キューブラ=ロスモデル」から着想を得て、COVID-19での心理変容に置き換えて定義。ステージ文言などは電通オリジナルで作成。

 

 

2日本の生活者の感情は、前回ポジティブな感情に振れたものの小康状態に。「悲観的」が前回より6ポイント高まるなど再びネガティブに転じる感情も見られるが、米国よりも日本の方がポジティブな感情に振れている。

・「ストレスを感じる」が米国よりも高いものの、日本の生活者の心理状態は米国よりもポジティブな状態となっている。前回に比べてほぼ同水準な項目が多く、「悲観的」「無力感」はネガティブな感情が再び高まってきている。

・米国は「悲観的」「ストレスを感じる」がポジティブ移行しているものの全体的にネガティブな感情の方が多くみられる。

 

(図表2)生活者の感情

 

質問:新型コロナウイルスが拡がりを見せる中であなたが感じているものを、それぞれお選びください。

※「状況に圧倒されている/自分のペースを保てている」は第2回、「周囲への怒り/感謝の気持ち」は第3回から聴取

 

 

3. 生活者の懸念事項は日米ともに首位は「感染の第二波」。次いで「日本/米国の景気」が
高い。日本ではウイルス感染への懸念が減少傾向。

・日米ともに、首位は「感染の第二波」、第2位は「自国(日本/米国)の景気」が高く、日本は米国に比べてスコアが高め。また「社会全体の不安感」も米国に比べて高い。

・一方、米国では「長期的な休業もしくは廃業」「お住いの地域の経済」「今の家計でやっていけるか」といった項目が日本より高く、より切実な経済問題に直面している様子がうかがえる。

 

( 図表3)生活者の懸念事項

 

※グラフは添付PDFを参照ください

 

質問:現在、気になっていることは何ですか。該当するものをすべてお選びください。

 

 

4.外出時の感染の危険性については、日本人の約8割が危険を感じると回答しているのに
対し、米国では約5割が危険と回答。日本人の慎重さや危機意識の高さがうかがえる。

・日米ともに、外出自粛が緩和され経済・社会活動が徐々に再開している中、出勤や買い物などで外出する際に日本人の約8割が感染の危険性を感じている。米国においては危険を感じないと回答した人が半数を超える。

 

(図表4)外出時に感じる危険性

 

質問:現在、外出する際、新型コロナウイルスの感染についてどの程度危険を感じますか

 

 

<日本での調査概要>

タイトル: COVID-19生活者意識ナビゲーター

調査手法: インターネット調査

調査時期: 第1回:2020年4月23~24日、第2回:2020年5月11~13日、

第3回:2020年5月28~31日、第4回:2020年6月 9~11日

エリア : 全国

対象者 : 全国20~69歳の男女1,000名

調査内容: 新型コロナウイルス感染症に対する心理ステージ、生活行動、企業への期待など

調査実施: 株式会社電通

 

<米国での調査概要>

タイトル: COVID Crisis Navigator

調査手法: インターネット調査

調査時期: 第1回:2020年3月27~29日、第2回:2020年4月3~4日、

第3回:2020年4月9~12日、 第4回:2020年4月17~18日

第5回:2020年4月24日、  第6回:2020年5月8日

第7回:2020年5月22日

エリア : 全米

対象者 : 全米18~64歳の男女1,000名

調査内容: 新型コロナウイルス感染症に対する心理ステージ、生活行動、企業への期待など

調査実施: Dentsu Aegis Network US Holdings, Inc.

 

 

 

 

<参考:米国と日本における新型コロナウイルス関連トピックと調査実施タイミング>

【米国】

第1回:アメリカにおける感染者数が世界最多を記録した直後に実施

     →まだ生活者意識はそこまで深刻化していない

第2回:失業保険申請数が増加するなど景気経済への影響が顕在化してきた中での実施

     →特に生活者意識がネガティブに

第3回:新規感染者数や死者数が継続して高く推移している中での実施

第4回:事態が長期化している中での実施

     →経済、支出に関する項目がマイナスに触れるが、徐々に意識は回復

第5回:一部の州での経済活動の再開などが報じられ始めたタイミングで実施

    →経済活動再開に前向きな層と、懸念する層に二極化

第6回:多くの州で経済活動を部分的に再開した中での調査実施

第7回:50の州全てで経済が再開。一方、失業率が高い水準のタイミングでの調査実施

 

【日本】

第1回:緊急事態宣言が対象地域を全国に拡大(4/16)して1週間が経過した中での実施

第2回:ゴールデンウィーク / ステイホーム週間が明け、感染者数が3月末以降初めて

100人を下回ったタイミングで実施

第3回:全国で緊急事態宣言が解除された数日後の調査実施

第4回:全国で緊急事態宣言が解除されてから2週間後。東京アラートが解除されるまでのタイミング

 

<参考:その他の主なファインディングス>

(ア)新型コロナウイルスに対する心配レベル

日本の感染拡大に対する心配は前回までは減少傾向にあったものの、前回71%から今回70%と横ばいで推移。米国とともに感染の心配も下がりにくい状況になりつつある。

 

(図表5)新型コロナウイルスに対する心配レベル

 

質問:現在、あなたは 新型コロナウイルスの感染拡大に関してどの程度心配していますか?

 

 

(イ)新型コロナウイルスの将来的な影響

いずれの項目も日本のほうが悲観的で、日本で楽観視している層は1割前後に対し、米国では3~4割の層が将来的な影響を楽観的に見ている。日米ともに「家計状況」、ついで「プライベートの生活」に関して将来を悲観的にとらえている。

 

(図表6)新型コロナウイルスの将来的な影響

 

質問:新型コロナウイルスが与える将来的な影響について、あなたの考えにあてはまるものをそれぞれお選びください。

 

 

(ウ)自粛緩和後の行動変化

「ネットショッピング」「自炊」「自宅での時間を増やすこと」は7割前後が緩和後も継続すると回答。一方で、自粛中にしていなかったが緩和後に実施することで2割を超えるのは「公共交通機関の利用(27%)」のみ。

 

(図表7)自粛緩和後の行動変化

質問:以下の項目における、外出自粛要請中と緩和後の変化について、あてはまるものをそれぞれお選びください。

 

(エ)収束時期

日本では収束時期を「年末年始~来年以降」が50%で、その割合は前回より3ポイント低下。一方で、「もう元の生活に戻った」は7%にとどまる。

米国では前回よりも「年末年始~来年以降」の割合が5ポイント増加し、収束時期を遅くみる割合が増えてきている。

(図表8)通常の生活に戻れると思う時期

質問:新型コロナウイルスが落ち着き、通常の生活に戻るのはいつ頃だと思いますか。以下の選択肢からお選びください。

 

 

(オ)外出自粛時緩和ペース

日米ともに、外出自粛の緩和状況については「緩和の時期やペースが早すぎるのではないか」と心配する意見が7割と高く、「ゆっくりすぎることを懸念」は3割にとどまっており、第二波を懸念する中で慎重に緩和をすべきという層が多数派を占めている。

 

質問:緊急事態宣言の解除を受けて、各都道府県では外出自粛要請の緩和が続いていますが、あなたの考えにあてはまるものをお選びください。

 

                                         以上

 

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