マラリアの早期発見・早期治療を実現することでマラリア排除に貢献

シスメックス

2020年8月18日

シスメックス株式会社

 8月20日は世界蚊の日です。1897年8月20日に、イギリスの医学者ロナルド・ロス博士は、マラリアが雌のハマダラカに刺されることによって感染することを発見しました。日本ではマラリアは稀な輸入感染症ですが、世界では人口の約半数にあたる約40億人が感染リスクにさらされています。また、世界保健機構(WHO)によると、昨今の新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりマラリア患者の治療や蚊帳などの対策が中断された場合、2020年のマラリアによる死亡者数は、2018年と比較して倍増する可能性がある、と発表(※1)されております。

 

 シスメックスでは、自社の事業分野である検査・診断領域において、マラリアの早期発見・早期治療を実現することで、世界におけるマラリア排除(マラリアエリミネーション)へ貢献します。

 

 

マラリアについて

 マラリアはWHOが定める世界三大感染症の一つであり、蚊を媒介としてマラリア原虫によって引き起こされる原虫感染症です。WHOの「World malaria report 2019」によると、約40億人が感染リスクにさらされており、2018年の罹患者数は約2.3億人、死亡者数は約41万人と報告されています。また、同レポートによると、マラリア流行地域以外も含め、年間推定3万人以上の旅行者や出張者が移動先でマラリアに感染し、帰国後に発症した症例が報告されています。すでにマラリアが撲滅された日本も例外ではなく、海外からの帰国者がマラリアを発症した症例はこれまで年間約50例以上報告されています。

 国際社会共通の目標である「持続可能な開発目標(SDGs)」では、2030年までにHIV/AIDS、結核などと並びマラリアを根絶することが掲げられており、現在その目標達成に向けて世界中でさまざまな活動が行われています。

 

マラリアの検査

 現在のマラリア検査は、主に感染赤血球を目視する顕微鏡検査、もしくは抗原/抗体反応を用いた簡易キットによって行われていますが、いずれも前処理を含めて約15~30分の時間がかかる上、顕微鏡検査には熟練の技術を要するという課題があります。PCR検査は検出感度が高く、原虫種の鑑別も可能ですが、コストが高く、高度なインフラやトレーニングが必要なことから、主に研究目的で使用されております。

 日本国内ではマラリアは撲滅していることもあり、マラリアが疑われず別の疾患として見逃されたり、マラリア検査が迅速に行えないことで診断や治療が遅れたりするケースがあります。中でも熱帯熱マラリアは発症から24時間以内に治療しなければ重症化し、最悪の場合、死に至ります。

 診断や治療の遅れが重症化を引き起こすリスクとなることから、マラリアに対する早期診断および検査の効率化・標準化が重要となっています。

 

マラリア排除に対するシスメックスの取り組み

 シスメックスは、持続可能な社会の実現および当社の持続的な成長に向けて優先的に取り組むべき課題の一つに「製品・サービスを通じた医療課題解決」を掲げています。その一つとして、マラリアの早期発見・早期治療に貢献するマラリア検査の自動化を実現しました。 現在、マラリアが蔓延しているアフリカを中心に装置の導入を進めておりますが、並行して、海外で罹患したマラリア患者を治療する日本やフランス等の先進国の施設などでも新たな装置の導入に向けた評価を進めております。また、2020年11月に開催される日経FT感染症会議などの国際シンポジウムへの参画や、感染症対策のための産官学連携強化の取り組み等により、世界におけるマラリア排除へ貢献することを目指しています。

 今後もシスメックスは、事業活動を通じた医療課題解決や医療アクセス改善のための活動を推進し、開発途上国を含めた世界中の人々に安心をお届けしていきます。

 

 

 

【注釈】

 ※1 https://www.who.int/news-room/detail/23-04-2020-who-urges-countries-to-move-quickly-to-save-lives-from-malaria-in-sub-saharan-africa

 

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