直近の歯科治療に約8割が「満足」 定期チェックを行う「予防実践者」の満足度はさらに高い
2020年11月5日
公益社団法人日本歯科医師会
15歳〜79歳の男女10,000人に聞く、「歯科医療に関する生活者調査」Part2
直近の歯科治療に約8割が「満足」
定期チェックを行う「予防実践者」の満足度はさらに高い
歯科医院での定期チェック実施率が上昇。チェックを受ける理由として「歯周病やむし歯などの予防ができるから」が増加。一方で、自分で「歯や歯ぐきの間までしっかり磨いている」人は全体の約4割
公益社団法人日本歯科医師会(所在地:東京都千代田区九段北、会長:堀 憲郎)は、全国の15歳~79歳の男女を対象に、2020年7月30日(木)から8月1日(土)まで、「歯科医療に関する一般生活者意識調査」を実施しました。
本調査は、当会の広報活動の趣旨である「歯科医療に対する国民の認知度・理解度向上」および「歯科医師や診療に対する評価・イメージの向上」に向け、現状の歯科医療を取り巻く環境や生活者の意識を把握し、今後の広報展開に役立てることを目的として、2005年からほぼ隔年に実施しているもので、今回で8回目になります。同調査結果によって、以下のような実態が浮き彫りになりました。
①日本人の歯の健診意識(P.1~2)
ついつい先延ばしにしがちな歯科健診・治療 約8割が「もっと早くに…」と後悔
・歯や口の中の健康状態について、半数以上(56.1%)が「健康だと思わない」と回答。
・約8割(76.6%)が、「もっと早くから歯科健診や治療をしておけばよかった」と後悔。20代でも7割が後悔。
3人に1人が、歯の定期チェックを実施。むし歯や歯周病への予防意識が高まっている
・3人に1人(33.8%)が、定期的に歯のチェックを受ける「予防実践者」。前回調査に比べ60代を除く全ての年代で、「定期チェック」実施率が上昇。
・約76%が「半年に1回以上」チェックを実施。
・「歯周病やむし歯などの予防ができるから」定期チェックを受ける人が増加。
②「かかりつけ歯科医」の状況(P.3)
「かかりつけ歯科医」がいるのは全体の約7割
・かかりつけ歯科医が「いる」のは全体の約7割(68.3%)。歯の定期チェックを受けている人では86.0%、歯や口が健康だと思う人では75.4%。
③歯科医師・歯科医院への満足度と要望(P.4)
約8割が直近の治療に「満足」。歯科医師への要望は「自分の歯をできるだけ残す」こと
・直近の歯科医師・歯科医院の治療に対する満足度は77.9%。前回調査より約5ポイント上昇。定期チェックを受ける予防実践者の満足度は87.4%と高め。「治療が丁寧で上手」、「治療前に治療方法をわかりやすく説明してくれたから」が満足の二大理由。
・歯科医師への要望は、「自分の歯をできるだけ残す」、「高い治療技術」、「治療に対する自分の希望を聞いてくれる」こと。
④歯や口腔の健康のために実践していること(P.5)
歯や口腔の健康のためのケア実践率は低い。特に10代、20代に、毎日の歯や口の健康ケア習慣が望まれる
・「歯ぐきと歯の間までしっかり磨いている」人は全体の約4割。
・10代、20代で、「歯ぐきと歯の間までしっかり磨いている」、「食べた後必ず口をゆすぐ・または歯磨きする」人はいずれも2割台。
調査概要 ■実施時期 2020 年7月30日(木)~8月1日(土) ■調査手法 インターネット調査 ■調査対象 全国の15歳〜79歳の男女1万人
*本調査では、小数点第2位を四捨五入しています。そのため、数字の合計が100%とならない場合があります。
日本人の歯の健康意識
■歯や口の中の健康状態について、半数以上(56.1%)が「健康だと思わない」と回答
歯や口の中は健康かと聞いたところ、「そう思う(健康だと思う)」は9.0%、「ややそう思う」が34.9%で、両者を合わせて、「歯や口の中は健康だ」と思う人は全体の43.9%。半数以上(56.1%)が「健康だと思わない(あまりそう思わない、そう思わない)」と回答しています[図1]。
前回調査(2018年)で、「健康だと思わない」は57.2%だったので、前回調査時からほとんど減っておらず、相変わらず日本人は、歯の健康に自信を持てていないようです。
■歯の健診や治療を「もっと早くからしておけば…」と約8割が後悔。20代でも7割が後悔
歯科医院での健診・治療について、「もっと早くからしておけばよかったと思うか」と聞いたところ、約8割(76.6%)がそう思うと答えています(そう思う42.3%、ややそう思う34.3%の合計)。年代別で見ても、20代ですでに約7割(70.2%)が後悔し、30代以上では約8割が後悔をしています[図2]。
■日本人の半数が歯の問題で日常生活に支障をきたしている。「もっと早くからしておけば・・」と後悔している人が多い60代で、トラブルを抱えている人が最も多い
この1~2年に歯や口の問題(痛くなる、はれる、つめものが取れる、ものが挟まるなど)で日常生活に支障をきたしたことがあるかと聞いたところ、半数(51.4%)が「支障をきたした経験がある」と答えています。年代の上昇とともに歯や口のトラブルは増え、40代以降は半数を超えて、60代が58.4%と最も高くなっています[図3]。歯の健診や治療をもっと早くからしておけばよかったと後悔している人が最も多い60代で、日常生活に支障をきたす歯の問題を抱えている人が多いようです。
■3人に1人(33.8%)が、定期的に歯のチェックを受ける「予防実践者」。前回調査に比べ60代を除く
全ての年代で、「定期チェック」実施率が上昇
そこで、現在の歯の治療状況を聞くと、10.6%が「現在、治療中」、6.2%が「現在中断中」、40.5%が「治療を受けたことはあるが、現在は治療を受けていない、定期的にチェックも受けていない」と答えていますが、33.8%は「現在は治療を受けていないが、定期的にチェックを受けている」と答えています。3人に1人が歯の予防を実践していることが明らかになりました[図4]。
定期的に歯のチェックを受けている「予防実践者」の割合は、前回調査(2018年)からやや上昇し、年代別でも、60代を除く全ての年代で上昇しています。歯の健康への予防意識が高まってきました[図5]。
■歯の定期チェックを受ける「予防実践者」の約76%が「半年に1回以上」チェックを実施
定期チェックは、「3ヵ月に1回程度」(31.3%)、「半年に1回程度」(36.6%)受ける人が多く、4人に3人(75.5%)が半年に1回以上受けています[図6]。
■定期チェックを受ける理由として、「歯周病やむし歯などの予防ができるから」が増加
「予防実践者」に定期チェックを受ける理由を聞くと、「定期的にチェックを受けると安心できるから」(51.7%)が一番多く、「歯周病やむし歯などの予防ができるから」(39.2%)、「年をとっても自分の歯を残したいから」(33.0%)など、健康な歯を保つため、予防に積極的な姿勢が見られます。
前回調査と比べると、「定期的チェックを受けると安心できるから」はほとんど変化が見られませんが、「歯周病やむし歯などの予防ができるから」が5ポイント上昇しており、人々の「予防意識」が高まっていることがうかがえます[図7]。
「かかりつけ歯科医」の状況
■「かかりつけ歯科医」がいるのは全体の約7割。「歯や口が健康だと思う人」の75.4%に「かかりつけ歯科医」がいる
「かかりつけ歯科医」の存在は、口の中の健康を維持し、健康寿命を延伸することに役立ちます。
そこで、「かかりつけ歯科医」がいるかを聞いてみました。68.3%が「いる」と答え、前回調査(2018年)の63.0%に比べ、5.3ポイント上昇し、「かかりつけ歯科医」のいる人が増えています。
また、定期的に歯のチェックを受けている人や、自分の歯や口の中が健康だと思う人に「かかりつけ歯科医」がいるかを聞いたところ、定期的に歯のチェックを受けている人の86.0%が、また歯や口の中が健康だと思う人の75.4%が、「かかりつけ歯科医」が「いる」と答えています。口腔の健康意識が高い人や、実際に口腔を健康に維持している人で「かかりつけ歯科医」がいる割合が高くなっています[図8]。
かかりつけ歯科医が「いる」と答えた6212人に、かかりつけ歯科医を選んだ理由を聞くと「近所や通勤・通学の途中など、通院に便利な場所にあるから」(61.6%)が最も多く、「丁寧に診てくれるから」(44.6%)、「歯科医師の治療技術に満足しているから」(37.0%)、「歯科医師が信頼できるから」(31.6%)などが上位に挙がりました[図9]。
歯科医師・歯科医院への満足度と要望
■約8割が直近の歯科医師・歯科医院の治療に「満足」。治療が「丁寧で上手」「わかりやすく説明してくれる」ことが二大理由
これまでに歯科治療を受けたことがある9096人に、直近でかかった歯科医師・歯科医院の治療に対する「満足度」を聞いてみました。約8割(77.9%)が「満足」と回答しています。前回調査(2018年)では、満足度は73.1%でしたので、約5ポイント上昇しています
特に、定期チェックを受けている「予防実践者」では、87.4%が「満足」と答えています[図10]。
歯科医師・歯科医院に「満足している」と答えた7086人にその理由を聞いたところ、「治療が丁寧で上手」(61.1%)、「治療前に、治療方法をわかりやすく説明してくれた」(44.6%)が大きな満足要因になっています[図11]。
■歯科医師への要望は「自分の歯をできるだけ残す」こと。10代が求めるTOPは「治療技術が高い」こと
今後、歯科医師に求めることを聞くと、「自分の歯をできるだけ残すような処置」(79.1%)、「治療技術が高い」(78.0%)、「自分の治療に対する希望を聞いてくれる」(77.7%)などが上位に挙げられました[図12]。
年代別でみると、「自分の歯をできるだけ残すこと」は30代・40代、60代以上でトップですが、10代、50代は「治療技術が高いこと」、20代は「治療が痛くないこと」がトップとなっています。
歯や口腔の健康のために実践していること
■歯や口腔の健康のためのケア実践率は低い。特に10代、20代に、毎日の歯や口の健康ケア習慣が望まれる
歯科医院での定期チェックを受ける人が増えており、むし歯や歯周病への予防意識が高まっていますが、毎日の歯や口の健康のためのケアはできているのでしょうか。歯や口の健康のために実践していることを聞いてみました。
今回質問した項目の中では、「歯ぐきと歯の間までしっかり磨く」ことを実践している人が最も多かったのですが、それでも実施率は38.6%と4割を下回りました。また、「よくかんで食べる」(37.0%)、「歯を強く磨きすぎず適切な力で磨く」(36.5%)、「食べた後は必ず口をゆすぐ、または歯磨きをして口の中を清潔にする」(34.6%)も3割台にとどまっています。さらに、「自分の口に合った歯ブラシを使う」(27.1%)や「歯ブラシを少なくとも1ヵ月に1回は交換する」はいずれも2割台となりました。毎日の歯や口の健康ケアがおろそかになっているようです。
年代別で見ると、10代、20代での実践率が低く、「歯ぐきと歯の間までしっかり磨く」は10代で24.0%、20代で27.4%と、約4人に1人しか実施していません。また、「食べた後は必ず口をゆすぐ、または歯磨きをして口の中を清潔にする」ことも、10代で26.0%、20代で28.0%と2割台にとどまっています。10代、20代の、歯や口の健康ケアの習慣化が望まれます[図13] 。
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