デジタル通貨を用いたセキュリティトークンのDVP決済に関する分科会報告

フューチャー

2022年5月27日

 

デジタル通貨を用いたセキュリティトークンのDVP決済に関する分科会報告

野村ホールディングス株式会社(代表執行役社長 グループCEO:奥田健太郎)とフューチャーアーキテクト 株式会社(代表取締役社長:神宮由紀)は、デジタル通貨フォーラムにおいて、セキュリティトークン決済実務/制度検討分科会(以下「本分科会」)を主催し、セキュリティトークン※1(以下「ST」)とデジタル通貨のDVP※2決済に向けた検証の結果を取りまとめましたのでお知らせします。

 

デジタル通貨フォーラムは日本におけるデジタル通貨の実現性を検討する取組みで、株式会社ディーカレットDCP(代表取締役会長兼社長:村林聡)が事務局を務め、金融、小売、運輸、情報通信など広範な分野にわたる80社以上の企業・自治体・団体などが参加しています。

 

1.検証の目的と背景

本分科会は、STとデジタル通貨間の効率的で安全な決済の実現性について検討することを目的として発足し、参加企業により検証を進めてきました。

新たな仕組みであるSTの発行事例が増えているものの、その資金決済手段は、既存の枠組みを用いた法定通貨による決済にとどまっています。分散型金融における決済手法の発展により、決済期間の短縮化やポストトレード業務の効率化等が実現される場合には、金融業界のみならず、全てのステイクホルダーの利益に帰するものと考えられています。

STの決済に係るデジタル通貨の活用や、本邦におけるDVP決済の実現方式の検討は、金融業界における共通課題です。本分科会ではデジタル通貨を利用したDVP決済の机上検証を実施し、実現にあたっての論点を整理しました。

 

2.検証の内容

ディーカレットDCPが提唱するデジタル通貨「DCJPY(仮称)」※3を利用することを想定し、以下の論点に関する検証を実施しました。

主要論点

内容

(1) STおよびデジタル通貨を扱うブロックチェーンの運営体制の整理

ブロックチェーン基盤の運営体制として、中央集権的管理によるプライベート型、複数参加者による共同運営となるコンソーシアム型、明確な運営主体を置かないパブリック型を定義し、各々の長所及び課題について検証を実施した。

(2) STとデジタル通貨間のDVP決済における課題

株式などを円でDVP決済するケースとの比較を通して、STとデジタル通貨間の決済における課題や論点を整理した。

(3) DVP決済を実現するスキームの整理

ディーカレットDCPが提供するプラットフォームと、STのプラットフォームを組み合わせ、複数のスキームを定め、各々の特性や課題を検証した。

 

3.検証結果

STとDCJPYのDVP決済に関して、ビジネスユースケース、テクノロジー、課題の3つの観点で検証結果を取りまとめました。検証結果の要旨については以下のとおりです。

 

主要項目

内容

ビジネス

ユースケース

・STを発行し、流通させ、決済するというそれぞれのシーンにおいて、技術の発展が寄与すると考えられるポイントが多く存在すると考えられる。例えば、資金決済処理である利金処理には、業法、税法、AML/CFTといった多くの規制が関係しており、関係者間の負担も重くなっている。スマートコントラクト等により効率化されれば、デジタル通貨で取り扱う意義が生まれると考えられる。このような技術的発展による新たな価値の創出に向けたユースケースについての検討を実施した。

・本検証テーマの一つであるDVP決済の実現に加え、デジタル通貨を用いることでその特性である資金使途のトレーサビリティを活かしたESG債をST債として発行することに対するビジネスニーズを確認した。また、個人投資家を想定したユースケースについても併せて検討を実施し、一定のユースケース案を取りまとめた。

テクノロジー

・本検証では二層構造デジタル通貨プラットフォームを軸として、①デジタル通貨プラットフォームの二層目をSTの基盤としても活用する「二層型」のケース、②独立して存在する既存のST基盤と連携することで全体として「三層型」となるケースを検討した。一意的に最適と認められる構造は存在せず、用途や運用形態に合わせて適切な構造を選ぶ必要がある。

・STとDCJPYの双方のブロックチェーン基盤を連携する接続方式等については実機検証を通じた更なる追加検討が求められる。

課題

・デジタル通貨決済に関する主な課題は以下の3点。

(1) 実現に向けた業法・業行為の整理

規制法の適用関係を考えるにあたっては、技術的な構造形態よりも、取引プラットフォームの機能が重要となる。個別の機能や役割に沿った管理・運営方法と、必要となるライセンスや許認可に関して更なる整理が求められる。

(2) 決済の信頼性の構築

DCJPYは民間銀行の預金を裏付けとして発行されるスキームであり、その安全性は銀行間送金による決済と基本的には同様と考えられる。決済期間の短縮も含めて、決済規模に鑑み、求める信頼性に応じた実現方法と運用ルールを定める必要がある。

(3) コストメリットの整理

デジタル通貨を導入することによる新たな業務・運営方式の策定とあわせ、決済・運用コストについての検討を深掘りする必要がある。全てのステイクホルダーの利益に資する費用体系や利便性の検討が求められる。

 

<デジタル通貨フォーラム セキュリティトークン決済実務/制度検討分科会 参加企業 13社>

野村ホールディングス株式会社/野村證券株式会社(幹事)

フューチャーアーキテクト株式会社(幹事)

株式会社インターネットイニシアティブ

SBIホールディングス株式会社

Securitize Japan株式会社

大同生命保険株式会社

株式会社大和証券グループ本社

凸版印刷株式会社

株式会社BOOSTRY

株式会社三井住友銀行

三井住友信託銀行株式会社

株式会社ディーカレットDCP(事務局)

 

※1 セキュリティトークンとは、従来の株式や社債等の仕組みに代わり、ブロックチェーン等の電子的手段を用いて発行する有価証券です。本邦では2020年5月1日の金融商品取引法改正及び関連する政省令の改正施行により「電子記録移転有価証券表示権利等」として規定され、法令に準拠した取り扱いが可能となり、実際に発行がなされています。

※2 Delivery Versus Paymentの略で、証券の引渡し(delivery)と資金の支払い(payment)を同時に実行する仕組み。

※3 ディーカレットDCPが提供するデジタル通貨の発行・送金・償還のプラットフォームである「二層構造デジタル通貨プラットフォーム」にて管理されるデジタル通貨。

 

                                              以上

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