新型スキルミオン結晶が示す特異なスピン・電荷励起の性質を発見

未知のデバイス機能の開拓や技術応用に期待

早稲田大学

 

新型スキルミオン結晶が示す特異なスピン・電荷励起の性質を発見 ~未知のデバイス機能の開拓や技術応用に期待~

詳細は 早稲田大学Webサイト をご覧ください。

 

発表のポイント

◆ 空間反転対称性のある系で発現する新しいタイプのスキルミオン結晶の低エネルギー励起の性質を調べるために、スーパーコンピュータを用いた大規模数値シミュレーションを行った。

◆ スキルミオン結晶は、2種類の低エネルギー励起のモードを持つことが明らかとなり、これらの励起はそれぞれ、物質の「磁気的な性質」と「電気的な性質」を担う電子の「スピン」と「電荷」の自由度に由来する励起で、両者が完全に分離・独立していることを発見した。

◆ この現象は、空間反転対称な磁性体において伝導電子の働きにより発現するスキルミオン結晶では「スピンと電荷のダイナミクスを個別かつ選択的に励起できる可能性」を示唆している。

早稲田大学理工学術院の望月 維人(もちづき まさひと)教授、同大学院先進理工学研究科修士課程2年の衛藤 倫太郎(えとう りんたろう)、東京大学大学院工学系研究科のポーレ・リコ特任研究員らの研究グループは、磁性体中の磁気モーメントが作る磁気渦(スキルミオン)の周期配列「スキルミオン結晶※1」において、電子が持つ「スピン」と「電荷」の低エネルギー励起が完全に分離・独立した「スピン-電荷デカップリング」が実現しており、それぞれを個別かつ選択的に励起できる可能性を理論的に発見しました。

本研究成果は、アメリカ物理学会発行の『Physical Review Letters』にて、2022年6月28日(火)にオンラインで掲載されました。

 

 

図1:磁性体中で磁気モーメントにより形成される磁気渦「スキルミオン」と、スキルミオンが周期的に配列した「スキルミオン結晶」。結晶構造が空間反転対称性を持つ磁性体中では、伝導電子が媒介する磁気モーメント間の有効相互作用がスキルミオン結晶形成のメカニズムになっている。

 

■研究者のコメント

本研究の発見により、近年相次いで発見されている「空間反転対称な磁性体中に現れる新しいタイプのスキルミオン結晶」の基礎研究や、デバイス機能の開拓、技術応用に向けた開発が加速されることを期待しています。

 

■用語解説

※1 スキルミオン結晶

 磁性体中の磁気モーメントが集団で形成する「スキルミオン」と呼ばれる磁気渦が、三角格子状や正方格子状など空間周期的に配列した磁気秩序状態。様々な物性現象や物質機能の宝庫になっていることが、近年の研究で明らかになってきている。

 

■論文情報

雑誌名:Physical Review Letters

論文名:Low-energy excitations of skyrmion crystals in a centrosymmetric Kondo-lattice magnet: Decoupled spin-charge excitations and nonreciprocity(空間反転対称な近藤格子磁性体中のスキルミオン結晶における低エネルギー励起: スピン-電荷励起の分離と非相反性)

執筆者名(所属機関名):衛藤 倫太郎(早稲田大学大学院先進理工学研究科修士課程2年)

ポーレ・リコ(東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻特任研究員)

望月 維人(早稲田大学理工学術院先進理工学部応用物理学科教授)

掲載日:2022年6月28日(火)

掲載URL:https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.129.017201

DOI:https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.129.017201

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