EYのメンバーファームであるEY新日本有限責任監査法人（東京都千代田区、理事長：片倉正美、以下EY新日本）は、建設業など請負業の監査におけるAI/機械学習を用いた工事契約の進捗度予測において、説明可能なAI（eXplainable AI、以下XAI）*を用いた分析機能を追加し、2023年3月より利用を開始しました。

【導入の目的】
EY新日本では、進捗度に基づき一定期間にわたり収益を認識する方法（従来の工事進行基準）を適用している工事契約に関する監査手続において、AI/機械学習を用いて進捗度の予測を行い、不自然な進捗度の推移を検知するツール(以下、進捗度異常検知ツール)を開発・導入しています。すでにEY新日本は、同社が監査を担当する建設業7社の2022年3月期の監査報告書の「監査上の主要な検討事項(KAM)」の中で、「進捗度異常検知ツール」の活用に触れています。AI/機械学習の監査実務への活用が年々拡大するなかで、監査先企業へのアカウンタビリティを向上させることを目的としてXAIを用いた分析機能を追加しました。

【期待される効果】
AI/機械学習が異常と判断した工事契約に対して、特徴量（工事種類、担当支店、工期等）をより深く分析できるだけでなく、工事契約の特徴量に関する監査人のインサイトを提供することで、監査先企業におけるガバナンス強化に貢献します。

「進捗度異常検知ツール」にXAIの技術を用いた分析機能を追加したことによりAIのブラックボックス問題への対応が可能になりました。具体的には、各工事契約において何の特徴量が、どの程度推定値の算定に影響しているかを把握することができます。また、重要な特徴量が類似する他の工事契約をXAIが提示するため、これにより、監査人は全体の傾向を理解した上でのリスクにフォーカスしたアプローチをとることができます。

請負業におけるAI/機械学習を活用した分析手法の さらなる より詳しい解説は以下のEY Japanのウェブサイトからご覧ください。

・請負業における機械学習を活用したデータ分析 |（情報センサー2023年3月号）

・建設業におけるデータビジュアル化による分析 |（情報センサー2023年4月号）

【今後の展開】
EY新日本では、「進捗度異常検知ツール」の異常検知機能の精度向上のため、衛星データなどオープンデータの活用を進めるほか、建設業以外の業種に属する監査先企業への「進捗度異常検知ツール」の展開に備え、新たな機能の開発を継続しています。また、財務諸表レベルの異常検知でリスクの高い会社や勘定科目を特定したうえで、取引レベルの異常検知をシームレスに連携させることで、効率的かつ効果的なデータ分析の実現を目指します。

【EY新日本が目指すリアルタイム監査（継続的監査手法）】

監査におけるAIの活用はこちらからご覧ください。

*説明可能なAI（XAI）とは
AIは、膨大なデータを学習して自律的に予測結果や推定結果を導き出しますが、根拠となった思考プロセスが人間にはわからないという問題（AIのブラックボックス問題）が生じます。説明可能なAIは、アルゴリズムが導き出した予測や推定結果について、そこに至る計算過程を人間のユーザーが理解して、中身を説明可能にするための技術、手法、またそれにかかる研究です。これにより、計算過程にはどういう特徴量（予測の手がかりとなる数値）があるか、AIが判断するために必要な基準となる重みづけがどこにあるか、などがわかり、AIが出した結果とその根拠を合わせて活用することで、AIとユーザーの間の信用・信頼が醸成できるようになります。

本ニュースリリースの詳細は、以下のEY Japanのウェブサイトからご覧ください。

EY新日本、工事契約の監査手続に説明可能なAIを利用開始 | EY Japan

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