ビクタルビ(R)、既存耐性を有しウイルス量が抑制されたHIV陽性者への治療薬として、 米国FDAが適応拡大承認

広範の人々に対する耐性バリアの高い長期治療選択肢に

2024年3月12日

ギリアド・サイエンシズ株式会社

ギリアドのビクタルビ(R)について、既存の耐性を有し、ウイルス量が抑制されたHIV陽性者に対する治療薬として米国FDAが適応拡大を承認

ビクタルビは、M184V/I耐性を有し、ウイルス学的に抑制されている人々に対する最初で唯一のINSTIベース111錠の治療薬としてFDAが承認、 米国保健福祉省(DHHS)のガイドラインで推奨  ―M184V/Iは、HIV陽性者において最も多くみられる耐性の一つ ビクタルビは、広範の人々に対する耐性バリアの高い長期治療選択肢に

 

ギリアド・サイエンシズ(本社:米カリフォルニア州フォスターシティ、ナスダック:GILD、以下「ギリアド」)は2月26日、米国食品医薬品局(FDA)が、ビクタルビ(R)(ビクテグラビル50 mg/エムトリシタビン200 mg/テノホビルアラフェナミド25 mg錠(B/F/TAF))について、広く知られている薬剤耐性であるM184V/I耐性を有する、またはその疑いがある、ウイルス量が抑制されたHIV陽性者(PWH)に対する治療薬として、新たに適応拡大が承認されたことを発表しました。HIV治療薬に対する耐性は、永続的かつ不可逆的で、PWHの将来の治療選択肢を危機にさらす可能性があります。M184V/I耐性変異は、核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)に対する既存の耐性を有するさまざまなHIVサブタイプのPWHにおいて、22~63%の範囲で存在することが明らかになっています。今回の米国添付文書改訂は、M184V/I耐性をはじめ、既存のNRTI耐性の有無に関わらず、広範のHIV-1陽性者を対象に、ビクタルビの有効性、安全性および忍容性プロファイルを評価した、4030試験のデータに基づいています。ビクタルビは、M184V/I耐性を有し、ウイルス学的に抑制されたPWHに対する最初で唯一のインテグラーゼ阻害剤(INSTI)ベース1日1回1錠の治療薬としてFDAが承認し、DHHSのガイドラインで推奨されています。

 

ギリアドのHIV臨床開発部門バイスプレジデントのジャレッド・バーテン(Jared Baeten, MD, PhD)は次のように述べています。「ビクタルビは、臨床データにより、広範のPWHに対する長期のHIV治療選択肢として確立されています。今回の米国添付文書改訂により、十分な治療を受けられていないPWHのセグメントに対するビクタルビの有効性について、医療従事者の理解が深まるでしょう。数十年にわたる治療の改善により、PWHはより長く、健康的な人生が送れるようになりましたが、依然として治療へのニーズが存在します。治療薬に対する耐性はその一つです。私たちは、公衆衛生上のニーズに応えるために継続して科学的イノベーションを推進するだけでなく、PWHに対する長期アウトカムを最大化するために、患者さんを中心とするアプローチでHIV治療研究に取り組んでいます」

 

今回の適応拡大は、ベースラインレジメンがドルテグラビル(DTG)+エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド(F/TAF)またはエムトリシタビン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(F/TDF)のいずれかにより、ウイルス学的に抑制された成人HIV-1陽性者を対象とした第III相、無作為化、二重盲検試験である、4030試験の48週時のデータに基づいています。被験者は、ビクタルビへのスイッチ群(n=284)、またはDTG+F/TAF群(n=281)に、1:1の割合で無作為に割り付けられました。また、NRTI耐性が確認された、または疑われた場合は試験参加前に少なくとも6カ月、NRTI耐性が確認されていない、または疑われていない場合は少なくとも3カ月、現ベースラインレジメンで安定したウイルス学的抑制が得られている(HIV-1 RNA < 50 copies/mL)被験者を対象としています。ビクタルビ群では、47名が既存のM184V/I耐性変異を有するHIV-1陽性者でした。主要評価項目は、48週時にHIV RNA ≥ 50 copies/mLを示している被験者の割合でした。48週時において、M184V/I耐性を有する被験者の89%(42/47名)がウイルス学的抑制を維持し(HIV-1 RNA < 50 copies/mL)、11%(5/47名)はウイルス学的データを得られませんでした。ビクタルビ群では、M184V/I耐性を有し、ウイルス学的データが得られた被験者の中に、48週時にHIV RNA ≥ 50 copies/mLを示した被験者はいませんでした。さらに、48週時において、HIV RNA ≥ 50 copies/mLを示した被験者の割合は、ビクタルビ群で0.4%(1/284名)、DTG+F/TAF群で1.1%(3/281名)でした(差:-0.7%[95%信頼区間:-2.8%、1.0%])。また、最終耐性解析集団において、既存のM184V/I耐性、またはM184V/I耐性の疑いの有無に関わらず、治療中にビクタルビへの耐性は発現しませんでした。全体を通して、4030試験におけるウイルス学的に抑制された成人に対する安全性プロファイルは、抗レトロウイルスによる治療歴のない被験者を対象としたこれまでのビクタルビに関する試験の結果と同様でした。

 

HIV陽性者において治療に対する耐性が一度発現すると、それは一生継続します。薬剤耐性のリスクを下げることが、HIV治療では重要な目標です。HIV薬剤耐性は、生涯にわたり、HIV薬によるウイルス複製の抑制と阻害を妨げる恐れがあるため、臨床および公衆衛生上、引き続き注視されています。耐性は、治療の失敗だけでなく、コミュニティの中で治療抵抗性のHIVが伝播する可能性にもつながります。

 

Brigham and Women’s Hospitalの感染症部門臨床部長で、Harvard Medical Schoolの医学教授であるポール・E・サックス医師(Paul E. Sax, MD)は次のように述べています。「HIVにおける治療の失敗は、可能な限り常に避けなければなりません。そのため、持続的なウイルス抑制の可能性を最大限にするため、耐性へのバリアが高い標準治療を行う必要があります。今回の米国添付文書改訂は、特定の既存の耐性や治療失敗歴を有するPWHに対して効果を示したビクタルビの確立された高い耐性バリアに基づくものです」

 

ビクタルビの米国での適応および枠組み警告を含む重要な安全性情報については、以下をご参照ください。

 

HIVまたはAIDSを治癒する方法は現在のところ存在しません。

 

ビクタルビについて

ビクタルビは、3種類の強力な薬剤の組み合わせで、インテグラーゼ阻害剤(INSTI)をベースとした1日1回1錠レジメン(STR)においては3成分を含有する最小のHIV製剤です。また、食事の有無にかかわらず服薬でき、薬物相互作用の可能性が低く、耐性へのバリアが高い薬剤です。ビクタルビは、ブースターを必要としない新しいINSTIのビクテグラビルとデシコ

ビ®(エムトリシタビン200 mg/テノホビルアラフェナミド25 mg錠、F/TAF)をバックボーンとする配合剤です。ビクタルビは完全なSTRで、他のHIV治療薬と併用しないでください。

 

米国でのビクタルビの適応症

ビクタルビ(ビクテグラビル50 mg/エムトリシタビン200 mg/テノホビルアラフェナミド25 mg)の適応症は、抗レトロウイルス(ARV)未治療の成人および体重14 kg以上の小児患者さんに対するHIV-1感染治療、あるいは安定したARV療法によりウイルス学的に抑制され(HIV-1 RNAは1 mLあたり50 copies未満)、ビクテグラビルまたはテノホビルへの耐性に関する既知の変異あるいは変異の疑いを示さない人々に対する現在のARV療法に代わる治療となります。

 

米国におけるビクタルビに関する重要な安全性情報

枠組み警告:投与後のB型肝炎の急性増悪

・B型肝炎の重度の急性増悪は、HIV-1HBVに同時感染し、エムトリシタビン(FTC)および/またはフマル酸テノホビルジソプロキシル(TDF)を含む製品を中止した患者で報告されており、ビクタルビの投与中止に伴い生じる可能性があります。HIV-1HBVに同時感染し、ビクタルビの投与を中止した患者では、少なくとも数カ月間、臨床と検査の両面で経過観察し、肝機能を注意深くモニタリングしてください。該当する場合、B型肝炎治療が必要になる可能性があります。

 

禁忌

・併用投与:ビクタルビをドフェチリドまたはリファンピンと併用しないでください。

 

警告および注意

・薬物相互作用:「禁忌」および「薬物相互作用」の項をご参照ください。ビクタルビの投与前と投与中に薬物相互作用が生じる可能性を考慮し、副作用をモニタリングします。

・発現までの期間が変わりやすい自己免疫疾患の発現を含む免疫再構築症候群が報告されています。

・腎機能障害の新規発現または悪化:急性腎不全、近位腎尿細管症(PRT)、ファンコニ症候群などの腎機能障害に関する市販後症例が、テノホビルアラフェナミド(TAF)含有製品で報告されています。推定クレアチニンクリアランス(CrCl)30 mL/分未満の場合、ビクタルビの投与を開始しないでください。ただし、慢性血液透析を受けてウイルス学的に抑制された15 mL/分未満の成人を除きます。腎機能障害のある患者および/または腎毒性物質(NSAIDなど)を服用している患者においては、腎関連の副作用リスクが高まります。臨床的に重大な腎機能低下またはファンコニ症候群のエビデンスが認められた場合、ビクタルビの投与を中止します。

 

腎モニタリング:ビクタルビの投与開始前/投与開始時/投与中には、臨床的に適切となるよう、全ての患者で血清クレアチニン、CrCl、尿糖、および尿蛋白を評価します。慢性腎臓病の患者では、血清リンを評価します。

・乳酸アシドーシスおよび脂肪症を伴う重度の肝腫大:FTCとTDFなどのヌクレオシド類似体使用による死亡症例が報告されています。乳酸アシドーシスまたは顕著な肝毒性を示唆する臨床所見や検査所見が発生した場合には、ビクタルビの投与を中止します。この所見には、顕著なトランスアミナーゼ上昇がない中での肝腫大および脂肪症があります。

 

副作用

・144週までの臨床試験最もよくみられた副作用(全てのグレードで5%以上)は、下痢(6%)、悪心(6%)および頭痛(5%)でした。

 

薬物相互作用

・処方情報:禁忌、警告、および臨床コメントを含む潜在的に重要な薬物相互作用の詳細については、ビクタルビの全処方情報をご参照ください。

・酵素/トランスポーター:P-gpを誘導する、またはCYP3AとUGT1A1の両方を誘導する薬剤は、ビクタルビの成分濃度を大幅に低下させる可能性があります。P-gpとBCRPを阻害する薬剤、またはCYP3AとUGT1A1の両方を阻害する薬剤は、ビクタルビの成分濃度を大幅に上昇させる可能性があります。ビクタルビは、OCT2またはMATE1を基質とする薬剤の濃度を上昇させる可能性があります。

・腎機能に影響を与える薬剤:腎機能を低下させる薬剤または能動的尿細管分泌で競合する薬剤とビクタルビとの併用は、FTCとテノホビルの濃度および副作用リスクを高める可能性があります。

 

用法および用量

・投与量:成人および体重25 kg以上の小児の場合:50 mgのビクテグラビル(BIC)、200 mgのエムトリシタビン(FTC)および25 mgのテノホビルアラフェナミド(TAF)を含む1錠を食事の有無にかかわらず1日1回服用します。体重14 kg以上25 kg未満の小児の場合:30 mgのBIC、120 mgのFTCおよび15 mgのTAFを含む1錠を食事の有無にかかわらず1日1回服用します。錠剤を丸ごと飲み込めない小児については、錠剤の全ての部分が約10分以内に摂取される限り、錠剤を分割して各部分を別々に服用することができます。

・腎機能障害:体重25 kg以上の場合、CrClが15 mL/分以上30 mL/分未満の患者、15 mL/分未満で慢性血液透析を受けていない患者、または15 mL/分未満で慢性血液透析を受けており抗レトロウイルス治療歴のない患者には投与を推奨しません。体重14 kg以上25 kg未満の場合、CrClが30 mL/分未満の患者には投与を推奨しません。

・肝機能障害:重度の肝機能障害のある患者には投与を推奨しません。

・投与開始前/投与開始時:HBV感染の検査を行います。

・投与開始前/投与開始時/投与中:臨床的に適切となるよう、全ての患者で血清クレアチニン、CrCl、尿糖、尿蛋白を評価します。慢性腎臓病の患者では、血清リンを評価します。

 

妊婦および授乳婦への投与

・妊婦:妊娠中におけるビクタルビの使用に関するヒトを対象としたデータが不足しています。別のインテグラーゼ阻害剤であるドルテグラビルは、神経管欠損に関連しています。妊娠中および受胎中にビクタルビを使用することのベネフィットとリスクについて話し合いをしてください。抗レトロウイルス妊婦レジストリ(Antiretroviral Pregnancy Registry、APR)は確立されています。APRから入手できたFTCに関するデータが、先天性欠損症の割合について米国の準拠集団と差がないことを示しています。

・授乳婦:HIV-1に感染した女性はHIV-1を伝播する可能性があるため、授乳をしないように指示してください。

 

ギリアド・サイエンシズについて

ギリアド・サイエンシズは、全ての人々にとって、より健康な世界の実現を目指し、30年以上にわたり医療の革新を追求し、飛躍的な進歩を遂げてきたバイオ医薬品企業です。当社は生命を脅かす疾患の予防と治療のため、革新的な医薬品の開発とともに、ウイルス領域、オンコロジー領域および炎症領域のアンメットニーズ解消に取り組んでいます。当社は、カリフォルニア州フォスターシティに本社を置き、世界35カ国以上で事業を行っています。

 

ギリアドは35年以上にわたり、HIV分野におけるリーダーであり、革新者として治療、予防および治癒に関する研究の進歩を推進してきました。HIV感染症治療を目的とした初めての1日1回1錠レジメンや、HIVの新規感染を減少させるための曝露前予防(PrEP)を目的とした初めての抗レトロウイルス薬、初めての年2回投与の長期作用型HIV治療注射剤など、ギリアドの研究者らはこれまでHIV治療薬を12種類開発してきました。こうした医学研究の進歩により、何百万人もの人々にとってHIVは治療および予防が可能な慢性疾患となりました。

 

ギリアドは、世界中のHIV感染者の進化するニーズに対する解決策を提供するため、継続的な科学的イノベーションに取り組んでいます。パートナーシップと協力を通じて、当社は教育を発展させ、アクセスを拡大し、ケアに対する障壁に対処することも目指しながら、世界におけるHIVの流行を終結させることを目標としています。またギリアドは、Funders Concerned About AIDSが発表した報告書において、HIV関連プログラムの慈善資金提供者として第1位に認定されました。

 

ギリアドが世界各地で実施している独自のプロジェクト、および世界で全ての人々のためにHIV流行を終結させるための取り組みについては、こちらをご参照ください。

 

将来予測に関する記述

本プレスリリースは、1995 年米国民事証券訴訟改革法(Private Securities Litigation Reform Act of 1995)で定義される「将来予測に関する記述」に該当し、いくつかのリスクや不確定要素などの要因を含む場合があり、具体的には以下がそれに当たります:
ギリアドが現在見込まれる日程内に臨床試験を開始、進行、完了する能力、またはそれらが全くできない可能性、ビクタルビに関するものを含む現在進行中および追加の臨床試験において好ましくない結果が認められる可能性、医師がウイルス学的に抑制されたHIV陽性者の治療に対するビクタルビ処方に利点を感じないリスク、および上述のいずれかの背景となる前提。これらのリスクやその他のリスク、不確定要素や要因については、米国証券取引委員会に提出している、2023年9月30日を期末とするギリアド社四半期報告書(フォーム10-Q)において詳細に説明しています。これらのリスク、不確定要素、その他の要因により、実際の結果が「将来予測に関する記述」と著しく異なったものとなる可能性があります。歴史的事実以外の全ての記述は、「将来予測に関する記述」とみなされます。このような「将来予測に関する記述」は将来の業績を保証するものではなく、リスクや不確実性を伴いますので、これに過度に依拠しないようご注意ください。「将来予測に関する記述」は全て、ギリアドが現在入手できる情報に基づいており、ギリアドでは「将来予測に関する記述」を更新する義務を負うことはなく、更新する意向もありません。

 

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