日本生産性本部、「生産性年次報告2025」を公表
企業の生産性向上につながる「人への投資」のあり方についての議論を取りまとめ
企業の生産性向上につながる「人への投資」のあり方についての議論を取りまとめ ~日本生産性本部、「生産性年次報告2025」を公表~
調査研究や提言、実践活動により生産性向上を目指す(公財)日本生産性本部(東京都千代田区、理事長:前田和敬)は、11月18日、「生産性年次報告2025」を取りまとめ、公表しました。生産性年次報告の発行は2022年度、2023年度に続き3回目となります。
本年次報告は、日本の生産性向上に不可欠なイノベーションを起こす環境づくりに向けて調査・提言を行う「イノベーション会議」(座長:大田弘子 副会長/政策研究大学院大学学長)の活動をまとめ、当本部で実施した生産性に関連する調査や統計データとあわせて公表するものです。
イノベーション会議では、2024年から2025年にかけて「人的投資と企業の生産性」をテーマに、生産性向上につながる人的投資のあり方について議論を行ってきました。本年次報告では、働く人を対象としたアンケート調査の結果や、企業ヒアリングおよび座談会、識者による論考を掲載しています。
人的投資に関する働く人のアンケート調査(年次報告P.9~57)
働く人(20~69歳、男女2,000名)を対象に、勤め先の人的投資への評価と自身の能力開発に対する意識についてアンケート調査を実施した。主な結果は以下のとおり。
・2024年度に、勤め先からの案内で教育・研修(Off-JT)を受講したのは20.6%。上司、先輩、同僚から仕事を通じた訓練、指導、アドバイス、説明など(OJT)を受ける機会があったのは25.8%。仕事・キャリアに関わる能力やスキルを高めるための取り組み(自己啓発)を行ったのは17.5%。
・勤め先の人材に対する各取り組みについて、評価が低かったのは、「企業内にスキルアップについて相談できる人がいる」(「とてもそう思う」「どちらかと言えばそう思う」の合計が31.2%)、「従業員の能力への投資に熱心である」(同31.9%)であった。
・人的投資と現在の仕事に対する満足度との関係をみると、OJTを受ける機会や自己啓発の機会があった回答者は、他の回答者と比較して仕事に対する満足度が20ポイント以上高い。
・Off-JT、OJT、自己啓発のいずれの教育訓練においても、機会・経験があった被用者ほど、転職に対する意向が強く、実際の転職活動を行っている。
人的投資に関する企業ヒアリング調査(年次報告P.58~64)
座談会「人的投資と生産性」(同P.65~86)
人事制度改革・人的投資を積極的に行っている企業、人材派遣業としてキャリアサポートを行っている企業の協力のもと、3社へのヒアリングおよび2社の人事担当役員と学識者等の座談会を実施した。座談会の主なポイントは以下のとおり。
・人材戦略を経営戦略の柱とし、人をどう育成・配置していくかを経営戦略のなかで語っていくことが重要。働きやすい環境づくりと、人材の質の向上を生産性向上につなげることが大事である。
・人材投資は働く人のマインドを経由しないと生産性には結びつかない。「学習志向的モチベーション」を従業員に与えるためには、会社が求めていることを明確に示すこと、学習が処遇や評価にどうつながるかを示すことが必要。
・適材適所の人事異動を実現するには、個々の従業員のスキルや能力を把握することと併せて、異動の際にその意図を正しく伝えることが不可欠。会社は自分のことを見てくれている、自分は成長しているという実感を従業員が持てるようにすることが重要である。
・外部人材の活用は、新しい知見や異なる企業文化を通して気付きを得るためにも有用だが、その際に問題になるのは、報酬体系や処遇のあり方。柔軟かつ従業員の納得感を与えられるフェアな報酬体系の構築が必要である。
・人手不足の中で、当面の労働時間をどこまで削って人的投資に充てられるのか。経営判断と方針を明確にして、人的投資の戦略を決めねばならない。
「生産性年次報告2025」目次
第1部 人的投資と企業の生産性(イノベーション会議報告)
1.総括(大田弘子・日本生産性本部副会長、政策研究大学院大学学長)
2.人的投資に関するアンケート調査結果
3.人的投資に関する企業ヒアリング調査結果
・アクセンチュア株式会社
・KDDI株式会社
・株式会社パソナグループ
4.座談会「人的投資と生産性」
<参加者(50音順)>
内山 夕香 サッポロホールディングスグループ執行役員
九鬼 至留 りそなホールディングス執行役兼グループCHRO人財サービス部担当
前田 貴規 日本生産性本部コンサルティング部長
柳川 範之 東京大学大学院経済学研究科教授
(司会)大田 弘子 イノベーション会議座長・政策研究大学院大学学長
5.人的投資と企業の生産性の論点
(1)日本の人的資本投資の現状と課題
茨木秀行・亜細亜大学経済学部教授
(2)生産性向上における無形資産の役割 ―日本における課題は何か―
宮川努・学習院大学経済学部教授
(3)人的資本と生産性の実証的・政策的検討
滝澤美帆・学習院大学経済学部教授
(4)変革迫られる人材マネジメント:マインドへの投資がカギ
守島基博・学習院大学経済学部教授
(5)人的投資を生産性上昇に結び付けるために ~無形資産投資を促す労働市場改革
山田久・法政大学教授
第2部 生産性に関する調査、研究レポート
1.生産性レポートVol.20「産業別労働生産性水準の国際比較2024」
2.レジャー白書「レジャー白書2024」
3.顧客満足度調査(JCSI)「2024年度JCSI調査年間発表」
4.働く人の意識調査「第17回働く人の意識調査」
5.人的資本開示「2025年3月末決算企業の有価証券報告書『人的資本開示』状況」
第3部 生産性に関する基礎データ
1.労働生産性の国際比較2024
2.日本の労働生産性の動向2024
3.労働生産性統計(2025年7月実績)

「生産性年次報告2025」本文は、日本生産性本部の調査研究・提言活動サイトにてご覧いただけます。
本プレスリリースは発表元が入力した原稿をそのまま掲載しております。また、プレスリリースへのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。
このプレスリリースには、報道機関向けの情報があります。
プレス会員登録を行うと、広報担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など、報道機関だけに公開する情報が閲覧できるようになります。
このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 公益財団法人日本生産性本部
- 所在地 東京都
- 業種 各種団体
- URL https://www.jpc-net.jp/
過去に配信したプレスリリース
日本生産性本部、「生産性年次報告2025」を公表
本日 14:00
「心の病」増加傾向が約4割、前回調査に続き20代が最多
11/10 14:00
2024年度の時間当たり名目労働生産性は5,543円、1994年度以降で最も高い水準に
11/10 14:00
ANA 国内長距離交通業種で初の顧客満足1位/有料特急では小田急電鉄が1位
10/28 11:30
民間主導で人口減少問題に取り組む「未来を選択する会議」が発足
10/27 15:00
2週間ポジティブに振り返るだけで働く意欲がアップ
10/16 11:30
「未来を選択する会議(仮称)」発足記念シンポジウムを10/27(月)に開催
10/15 10:30





