千年の歴史と情緒「観音の里・長浜」を行く。

長浜市役所

千年の歴史と情緒「観音の里・長浜」を行く。

琵琶湖の北に位置する長浜市は、国宝・重要文化財を含む130を超える観音様が伝わり、「観音の里」として知られる。2014年10月6日に、奥琵琶湖の隠れ里と称される「菅浦の湖岸集落景観」が国の重要文化的景観に選定されるなど、今注目のスポットを巡った。

黒田安念寺「いも観音」

最初に訪れたのは、長浜市木之本町の賤ケ岳の麓に建つ黒田安念寺。奈良時代の726年に、時の右大臣藤原不比等の庶腹・詳厳法師が開いた。以来、藤原家一族がこの地に永住し、現在も末裔の10戸の住民たちが観音様をお守りしているのだという。1571年の織田信長による比叡山焼き討ちの際には、村人が仏像をいち早く運び出し、門前の田の中に埋めて隠したことで焼失を免れたという。「村人が仏像を川で洗った」、「夏には子どもたちが余呉川での水遊びに持ち出していた」などの伝承があり、「いも観音」の名で親しまれてきたというだけあって、何とも親しみの持てる観音様だった。

“観音の里グルメ”が誕生

黒田安念寺のほど近くにひっそりと建つ老舗の料理旅館「想古亭源内」。琵琶湖の幸や地元の新鮮素材を個室でゆっくり味わえると評判の店舗は、近江の郷土料理を中心に、近江牛をはじめ、ビワマスや新鮮な魚介類など旬のものを幅広く楽しめるメニューが人気だという。長浜市の特産品のしじみ、エビ豆、ビワマス、鮒南蛮漬けや、鯉の唐揚げなど、地元食材をふんだんに盛り込んだ新メニュー「観音の里御膳(7,720円・貸切露天風呂付き、要予約)」に舌鼓を打った。

国の重要文化的景観に選定『菅浦の湖岸集落景観』

 2014年10月、琵琶湖の最北に位置する葛籠尾(つづらお)崎の西側に広がる、長浜市西浅井町菅浦の湖岸集落景観が、国の重要文化的景観に選ばれた。14世紀半ばには住民の自治組織「惣(そう)」が全国的にもいち早く作り上げられ、中世以来の強固な共同体によって維持されてきた歴史的景観が評価されたという。かつて、随筆家の白洲正子さんが自らの著書で「かくれ里」と呼んだ地を、集落に住む島田均さんの案内で歩いてみた。湖岸まで山がせり出している独特の地形は、北欧のフィヨルドのような美しさで、かつての監視門であった茅葺の「四足門(しそくもん)」をくぐると漁村の風景が広がる。石積みの施された細い道や、伝統的な建築様式や家屋・土蔵が立ち並ぶ街並みを歩き、一遍上人の流れを組む阿弥陀寺にも立ち寄った。古き良き時代を感じさせる風景がそこかしこに見られた。

街歩き後には、奥琵琶湖パークウェイ菅浦口の「かぐや餅」で人気の、つきたて・無添加のよもぎ餅だ。よもぎの鮮やかな緑色に驚いたが、素朴な美味しさに癒された。

子宝・安産祈願が絶えない「腹帯観音」

菅浦からほど近い西浅井町大浦には、全国から子宝・安全祈願で人気の「大浦十一面腹帯観音堂」がある。比叡山延暦寺を開いた最澄が榧(かや)の一刀彫で完成させたと伝わる本尊の十一面腹帯観音菩薩像は、肉付きのいい腰と少しふくらんだお腹を包み込むようにさらしの腹帯が巻かれている。この観音様の腹帯をいただいて祈願すれば安産すると伝えられ、美智子皇后様御懐妊の際にも献上されたという。腹帯観音の由来は、織田信長が北近江に攻め入った際、境内の蓮池に観音様を埋めて、池から泥まみれで掘り出された時、多くの「さらし」で像が清められ、その布を腹帯として妊婦に分けたところ皆が五体満足で安産だったそうだ。観音様の腹部に約一週間さらしを巻いてご利益をいただき、安産祈願に訪れた妊婦に配るようになったという。

絶品・郷土スイーツ

JR木ノ本駅近くの木之本地蔵院前で、創業85年を迎える老舗和洋菓子店「菓子乃蔵 角屋」でひと休み。北国街道沿いにあり、2階には古民家を改装したカフェを併設していて、商品はすべて手作りで販売しているそうだ。木之本名物 「でっちようかん」と、醸造の街・木之本ならではの「しょうゆプリン」を蔵出しコーヒーでいただき、心も体も元気になった。

<黒田安念寺>

所在地:長浜市木之本町黒田2044

アクセス:JR木ノ本駅より徒歩20分

拝観時間:終日 ※拝観は事前に電話予約が必要。奥びわ湖観光協会にて電話番号を案内

定休日 :不定休

拝観料 :300円

問合せ:0749-82-5909(奥びわ湖観光協会)

<想古亭源内>

所在地 :長浜市木之本町大音1529-1

アクセス:JR木ノ本駅から車で5分

料金  :昼食6,700円~、夕食7,720円~(要予約)

問合せ:0749-82-4127

<大浦十一面腹帯観音堂>

所在地  :長浜市西浅井町大浦634

アクセス :JR永原駅より徒歩約10分

定休日  :不定休 ※拝観は電話予約が必要。奥びわ湖観光協会にて電話番号を案内

問合せ:0749-82-5909(奥びわ湖観光協会)

<菓子乃蔵 角屋>

所在地  :長浜市木之本町木之本1072

アクセス :JR木ノ本駅から徒歩5分

営業時間 :8:00~18:00

定休日  :不定休

問合せ:0749-82-2031

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プレスリリース添付画像

黒田安念寺「いも観音」、地元の住民たちが大切に守り続ける

地元食材だけで作った「観音の里御膳」デビュー

国の重要文化的景観に選定された「菅浦の湖岸集落景観」

菅浦の湖岸まで山がせり出している独特の地形は、北欧のフィヨルドのような美しさ

かつて監視門であった茅葺の四足門(しそくもん)

全国から子宝・安産祈願が絶えない十一面腹帯観音菩薩像

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