商学部生と高校生が移植医療をテーマに研究会   ~官・高大連携、小学生に伝える新しい取り組みも~

同志社大学

同志社大学(京都市上京区/学長:松岡敬)商学部の瓜生原葉子ゼミで設立した非営利組織 Share Your Value Project では、昨年に引き続き、富山国際大学付属高等学校(富山県富山市)の生徒と合同で、「移植医療」をテーマにした研究会を開催します。

2016年6月10日

『未来の主役が伝える!』

同志社大学商学部生と高校生が移植医療をテーマに研究会

~官・高大連携で、小学生に伝える新しい取り組みも~

同志社大学(京都市上京区/学長 松岡敬)商学部の瓜生原葉子ゼミで設立した非営利組織 Share Your Value Project では、昨年に引き続き、富山国際大学付属高等学校(富山県富山市)の生徒と合同で、「移植医療」をテーマにした研究会を6月16日(木)に開催します。

【本件のポイント】

●厚生労働省移植医療対策推進室の鈴木章記室長をゲストに、高校生と大学生が一緒に、小学生の移植医療に関する理解促進につながる教材をつくる合同ワークを開催

●高校生からは移植医療の報道、SNS等の分析、大学生からは市民イベントなどの一般啓発におけるメッセージの伝え方、その効果測定ツールの開発について研究発表

●未来の主役を担う世代が、さらに次の世代のために共に創造する新しい取り組み

【本研究会開催の経緯】

日本の移植医療技術は世界最高水準ですが、脳死・心停止下臓器提供者数は世界最低レベルにあり、治療機会の逸失という深刻な社会問題に直面しています。その解決策の一つが、国民一人一人が、移植医療について関心を持ち、正しい知識を得て意思決定し、意思表示を行い、大切な人と共有することです 文献1)。日本では、マイナンバーカード、健康保険証、運転免許証、意思表示カード、インターネット登録など、意思を表示する手段は世界で最も多いにもかかわらず、国民の意思表示率は12.6%にすぎません(2013年度内閣府調査)。

意思表示可能年齢に達した高校生、および保険証、運転免許証など、意思表示媒体を新しく入手する機会が最も多い大学生が、「いのちについて考え、意思表示を行い、家族と共有する」ことの大切さを発信することは、同年代への普及を促進します。さらに、小学生が家族と話す機会を生みだすことで、さらに多くの年代への普及が促進されることを目指しています。

【研究会の概要】

■日 時:2016年6月16日(木)15:00~18:30

■会 場:同志社大学 今出川キャンパス 明徳館1階 M1教室

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プログラム

15:00-15:05  開催の挨拶、趣旨説明

15:05-15:35  研究発表『善意は、どのように論じられ、どう広がったか』

         富山国際大学付属高校メディア・テクノロジー部

15:35-16:20  研究発表『市民イベントでどのように伝え、把握するのか』

         Petitワークショップ『世界一の授業を通して人々の行動を促す』

         Share Your Value Project(同志社大学商学部瓜生原ゼミ)

16:35-17:05  特別講演『移植医療の戦略的推進』

          厚生労働省 健康局 難病対策課 移植医療対策推進室 室長  鈴木 章記氏

17:05-18:25  合同ワークショップ『小学生に伝える!』

18:25-18:30  閉会の挨拶

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■主 催:Share Your Value Project (同志社大学商学部 瓜生原ゼミ)

■後 援:京都府、日本移植学会、富山県移植推進財団(予定)

     ※事前に参加申込みをいただければ幸いです。当日参加も大歓迎です。

【Share Your Value Project(シェア・ユア・バリュー・プロジェクト)とは】

臓器提供の意思表示について「考え、意思決定し、意思表示し、大切な人と共有する」行動を促進することを目的に、同志社大学商学部・瓜生原ゼミの教員と学生らが2015年4月に設立した非営利組織。マーケティングを用いて人々の意識と行動を変える、日本初の大学ゼミ発NPOです。

特徴は、社会活動と研究の一体化。「1万人の分析結果から得た知見をもとに活動し、その効果を測定し、その結果から標準的手法を開発し、社会に還元する」という独自の取り組みで、着実に意思表示を促進しています。メンバーの思い、活動内容をFacebookで発信しています。

□1万人の分析結果に基づく活動□

日本人1万人を対象とした調査の分析結果、臓器提供意思表示に関心のある4,326人のうち44.7%しか実際に意思表示をしていないということが明らかになりました 文献2)。その理由として「臓器提供は必要なこと、良いこと、でも不安」と考えていることが示されました。

また、行動ステージ別に行うべき活動が異なることも明らかになりました(画像参照)。例えば、関心を持たせるためには、教育、イベントなどで共感、援助規範を刺激することが有効です。しかし、それだけでは意思表示行動まで至りません。行動へと促すためには、正しい知識を提供して不安を払拭し、家族や既に意思表示した人と話し合う機会を持ち、肯定感を得ることが必要であることが示されました。

私たちはこのエビデンスに基づいた活動を行っています。昨年11月、サイエンスアゴラ(科学技術振興機構主催)のブースにおいては、120名を対象に、親子で対話をする場を設け、大切な人に意思を伝え合う重要性の認知を促すことで、意思表示者(成人)を23%から52%へと増加させることができました。本年度も、科学に基づく一般啓発活動を行い、社会に貢献したいと考えています。

文献

1)瓜生原葉子(2012) 『医療の組織イノベーション -プロフェッショナリズムが移植医療を動かす-』中央経済社.

2)瓜生原葉子(2016) 『同志社商学』第67巻第5・6号、45-85頁.

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