ウォーターズ、がんマーカーの特定およびがん生物学の研究における新戦略の開発でシンガポールのBTIと連携
2016/06/28
日本ウォーターズ株式会社
ウォーターズ、がん研究における新戦略の開発でシンガポールのバイオプロセス技術研究所と連携
スフィンゴ糖脂質に焦点を当てたがん糖鎖生物学のための分析法と糖鎖ライブラリーの開発を強化するための組織間提携
マサチューセッツ州ミルフォード--(ビジネスワイヤ)--2016/06/21
ウォーターズコーポレーション (NYSE:WAT) は本日、新しい治療戦略への道を開く可能性のあるがんマーカー発見と糖鎖付加経路解明の新しい方法の開発に、シンガポール科学技術研究庁 (A*STAR) の研究施設であるバイオプロセス技術研究所 (BTI) と共同で取り組むことを発表しました。
この共同研究の一環として、ウォーターズおよび BTI はスフィンゴ糖脂質 (GSL) ヘッドグループデータベースを開発する予定です。このデータベースは、疾患関連 GSL 糖鎖の実測ライブラリーを糖鎖/MS スペクトルライブラリーと併せて収集することを目的としたもので、グルコースユニット (GU) 保持時間1 および衝突断面積 (CCS) 値が含まれます。
GSL は非常に複雑な構造をしており、糖鎖ヘッドグループが脂肪酸アシル部に結合しています。GSL の分子組成を解析するには、配列、アノマーの区別、分枝、およびオリゴ糖の結合位置、さらに脂肪酸アシルモチーフの詳細情報が必要です。GSL は細胞の増殖、相互作用およびシグナル伝達に不可欠であり、その構造が変化すると疾患が引き起こされたり、さまざまな種類のがんの発症が促進されたりする可能性があります。液体クロマトグラフィー (LC) テクノロジーまたは質量分析 (MS) テクノロジーを単独で使用する場合には異性体構造の区別が困難であるため、糖鎖ヘッドグループの解析には糖質科学に特有の分析上の問題が伴います。
「ウォーターズとの連携により、BTI はグライコミクスにおける専門知識を生かして、GSL に関する未知の分析法と情報ライブラリーを開発することができます。これにより、我々は臨床マーカー候補を探索し、疾患の進行や治療介入後の退行に関する洞察を得ることができるようになるでしょう。我々の科学技術をもって、人々の健康を促進し、同時にバイオ医薬品業界のニーズの一部に応えることができるのではないかと期待しています。」 こう語るのは BTI の Research Scientist である Susanto Woen 博士です。博士は次のように続けます。「また、この連携により、疾患や疾患状態における GSL の糖鎖付加とあらゆる表現型/遺伝型形質との間の潜在的な関連性を決定するのに必要な技術を開拓している国際的な糖鎖研究ネットワークの一端を我々も担うことができます。」
「この連携をさらなる高みに引き上げれば、BTI はより新しい分析法を開発し、スフィンゴ糖脂質に焦点を当てたがん糖鎖生物学のための包括的な実測糖鎖スペクトルライブラリーを確立することができるようになるでしょう。この連携を通じて、がん分類における GSL の糖鎖付加を調べ、バイオマーカーを発見する方法を開発していきたいと考えています。」 ウォーターズの Health Sciences Marketing 担当 Director である Jose Castro-Perez 博士はこのように述べています。
この研究の一環として、ウォーターズは科学的専門知識に加えて Waters HDMSシステムを提供する予定です。この装置は、分子イオンをサイズや質量電荷比だけでなく形状によっても迅速に分離することのできるイオンモビリティー質量分析テクノロジーを備えています。衝突断面積 (CCS) 値は、イオンのサイズ、形状、気相での電荷に関する物理化学的特性を正確に示すものです。各糖鎖ヘッドグループの CCS 値に基づいて分子の分離を判断することができるため、その独自の化学構造に関する情報が明らかになり、さらにこの化学構造を研究対象の GSL に関する追加情報として使用できるようになります。結果として、質量電荷比のみを使用した場合よりもより高い特異性を得ることができます。
2014 年に初めて確立されたウォーターズと BTI との協力関係では、当初はバイオ医薬品アプリケーションを目的とした新しい N型糖鎖標識である GlycoWorks RapiFluor-MS Glycan キット およびこのキットの糖鎖付加プロファイリングのための全ワークフロー (サンプル前処理から分析まで) の性能を評価することに焦点が当てられていました。
ウォーターズコーポレーションについて(www.waters.com)
ウォーターズコーポレーション(NYSE:WAT)は高度な分析や材料科学技術を開発し、製造ラボ向けソリューションを提供しています。50 年以上にわたり、同社は分離分析科学、ラボ情報管理、質量分析、および熱分析製品と関係のあるポートフォリオを開拓してきました。
1.Albrecht, S.; Vainauskas, S.; Stockmann, H.; McManus, C.; Taron, C. H.; Pauline M. Rudd, Anal.Chem.DOI:10.1021/acs.analchem.6b00259.
Waters、SYNAPT、High-Definition Mass Spectrometry、GlycoWorks、RapiFluor-MS および The Science of What's Possible はウォーターズコーポレーションの商標または登録商標です。
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このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 日本ウォーターズ株式会社
- 所在地 東京都
- 業種 精密機器
- URL http://www.waters.com
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