スーパー耐性菌:薬剤耐性菌への製薬各社の取り組みを比較した初の独立調査

Access to Medicine Foundation(医薬品アクセス財団)

2018/1/23 14:23

スーパー耐性菌:薬剤耐性菌への製薬各社の取り組みを比較した初の独立調査

AsiaNet 71980

・日本の製薬会社で比較対象基準を満たしたのはシオノギ製薬のみ

・日本は最も多くの薬剤耐性(AMR)サーベイランスプログラムが進められている

・報告書は、薬剤耐性の拡大を抑制する上でジェネリック医薬品企業の重要性を強調している

【オランダ・アムステルダム】本日、薬剤耐性菌に対する製薬各社の取り組みに関して、初の独立した分析結果が発表されました。調査では製薬会社が新薬の開発に加え、抗生物質の過剰な売込みを奨励する営業担当者へのインセンティブ廃止、工場廃液中の抗生物質濃度の上限設定、スーパー耐性菌拡散状況の追跡などに取り組んでいることがわかりました。

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Antimicrobial Resistance Benchmark(薬剤耐性ベンチマーク)報告書によれば、率先した取り組みを行っているのは、研究開発型の大型製薬会社ではGSKやジョンソン・エンド・ジョンソン、ジェネリック医薬品メーカーではマイラン、バイオテクノロジー企業ではエンタシスとなっています。報告書では、全ての企業に改善の余地が指摘されたのと同時に、優れた事例も紹介されました。

Access to Medicine Foundation(医薬品アクセス財団)でエグゼクティブ・ディレクターを務めるジェイアスリー・K・アイヤーは次のように述べています。「抗生物質は適切量、適切な細菌に使用すべきです。でなければ細菌は抗生物質に適応して耐性を高め、その細菌を死滅させることが難しくなります。かつて致死的だった感染症が再び致死性を持つ可能性が高まっています。スーパー耐性菌の脅威に立ち向かう取組みにおいて製薬会社が果たす役割は重要になっています。」

抗生物質の有効性は急速に低下しており、主に人、動物、農作物への使用がこれを加速しています。細菌が耐性を獲得する危険性を最小限に抑えるためには、抗菌性物質の使用は慎重に行わなければなりません。現在、抗菌薬耐性(AMR)の進行ペースを鈍化させる取り組みを早急に強化する必要性が、政治の最も高いレベルにおいて広く認識され、国連、G7、G20によるAMRへの取り組みが開始されています。薬剤耐性を抑制するためには、各国政府、政策当局、公共保健機関、医師、農家、製薬会社、患者間の連携した取り組みが必要です。薬剤耐性ベンチマークに参加した企業の大半は、2016年1月のダボス会議での薬剤耐性との闘いに関する業界全体の共同宣言に合意しています。

薬剤耐性ベンチマークは、医薬品業界の代表的企業が薬剤耐性菌の脅威にどのように対応しているか比較したもので、シオノギ製薬を含むグローバル製薬企業、バイオテクノロジー企業、ジェネリック医薬品企業など、抗菌性物質の開発と製造を積極的に行っている30社を対象としています。主な調査分野は、新しい抗菌性物質の研究・開発、抗生物質の製造に関する責任方針、抗菌性物質のアクセスと適正使用に関するアプローチです。複数の情報源から情報を収集し比較分析しました。

医薬品アクセス財団のエグゼクティブ・ディレクター、ジェイアスリー・K・アイヤーは次のように述べています。「製薬会社はAMR問題に取り組んでいますが、大半の企業にとってこれはスタートにすぎません。各社のパイプラインでは重要な新薬が開発段階にあるものの、有効性を失った全ての薬剤の代替品が開発されているわけではないことは広く認識されています。薬剤耐性ベンチマークは、一部の企業が導入している、個別の製品に対するアクセスとスチュワードシップに関する優れた事例も紹介しています。」

トップ企業

薬剤耐性ベンチマークに含まれるグローバル製薬企業8社の中では、GSKとジョンソン・エンド・ジョンソンがトップにランクインしました。GSKは専門家がAMRの最優先課題であるとする病原体向けも含め、パイプライン上に最も多くの抗菌薬を持っています。ジョンソン・エンド・ジョンソンは結核に特化しており、多剤耐性結核を適応症とする画期的新薬へのアクセスを、国家結核プログラムを通じて厳重に管理しています。これらの企業に続き、ノバルティス、ファイザー、サノフィが同点でランクされました。ファイザーは特に優れたスチュワードシップ対策を導入しており、サノフィは研究開発で最も高く評価されました。ノバルティスはほとんどの分野で一貫して安定した評価を受けました。

バイオテクノロジー企業は、抗菌薬開発で極めて重要な役割を担っています。ベンチマークで評価された12社の中でトップはエンタシスで、特に候補薬剤へのアクセスと適正使用に関する事前計画が高く評価されました。続いて、ポリフォー、サミット、テトラフェーズの3社が同点で2位にランクされました。

ジェネリック医薬品企業は、現在販売されている抗生物質の大半を占めているため、薬剤耐性の拡大を抑制する上で重要な役割を担っています。他の企業群と比べ、ジェネリック医薬品企業は透明性が相対的に低くなっています。このグループのトップ企業の特徴として、低水準の価格設定または製品の合理的使用のいずれかを重視するというはっきりとした傾向が見られます。評価対象となった10社のうち、トップのマイランは、有効成分や他の製剤のサプライヤーに適用している公平な価格アプローチや環境リスク管理戦略など、複数の分野で高い成果を上げました。マイランに続き、シプラが2位、フレゼニウス・カービが3位でした。

ジェイアスリー・K・アイヤーは次のように述べています。「ベンチマークの結果から浮かび上がってきた強いメッセージの一つは、スーパー耐性菌に対抗する上で、ジェネリック医薬品企業が大きな力を持っているということです。ジェネリック医薬品企業は数十年間にわたって抗生物質を最も大量に製造してきましたが、AMRに取り組み始めたのはつい最近という企業もあります。各社が自ら本気で取り組むようになれば、そのインパクトは大きいでしょう。」

日本とAMR

シオノギ製薬は日本の製薬会社で唯一、薬剤耐性ベンチマークの対象基準を満たし、他の研究開発型大手製薬会社と並んで評価されました。ベンチマークの結果、シオノギ製薬を含む2社だけが、抗生物質の販売数量と賞与を完全に切り離し、営業担当者による抗生物質の過剰な売り込みを奨励するインセンティブを廃止していました。また、抗真菌薬の臨床開発を実施しているのはシオノギ製薬だけでした。真菌感染症による死亡者数は今や、マラリアや結核を上回り、抗真菌薬への耐性は、ほぼ全ての菌類病原体(カンジダを含む)で報告されています。シオノギ製薬は薬剤耐性の増加と拡大を積極的に監視し、日本内外で複数のサーベイランスプログラムを実施しています。ベンチマークでは6回のプログラムが確認され、日本は世界で最も多くのAMRサーベイランスプログラムが進められていることが明らかになりました。

薬剤耐性ベンチマークの主な結果

        ・世界保健機関(WHO)や米国疾病管理センター(CDC)によりAMRの優先度が高いとみな

        される重要病原体を標的とする抗生物質で、28件が開発の後期段階にある。しかし、そのう

        ち上市後のアクセスと適正使用に関する計画が整っている候補薬剤は2件のみ。

        ・評価対象企業の約半分が薬剤耐性のパターン追跡に取り組んでおり、147カ国でさまざまな

        規模のAMRサーベイランスプログラムが進められている。感染症の中で肺炎が最も多く監視

        されている。

        ファイザーが最も多くのプログラムを実行している。

        ・環境に放出される工場排水の抗生物質濃度の上限を定めているのは8社。そのうち、GSK、

        ジョンソン・エンド・ジョンソン、ファイザー、ロシュの4社は、サプライヤーにも同様の

        基準の順守を求めている。ただし、実際に放出されている工場排水について公表している

        企業は無く、今後濃度上限についてより多くの情報が必要である。

        ・営業担当者の賞与と抗生物質の販売数量を切り離しているのは4社。世界全体で両者を完全

        に切り離しているのはGSKとシオノギ製薬のみ。ファイザーは一部の地域で実験的に導入

        しており、ノバルティスは販売数量に連動した賞与の割合を徐々に引き下げている。

薬剤耐性ベンチマークの比較方法

薬剤耐性ベンチマークは、AMR抑制のために企業が貢献できるまたは貢献すべきというコンセンサス分野に対する、各社の取り組みを測定したものです。医薬品アクセス財団は、一流の専門家や、薬剤耐性およびグローバルヘルスにおけるさまざまなステークホルダーの協力により、これら分野を定義し、また厳格なプロセスを経て薬剤耐性ベンチマークの手法を策定しました。ベンチマークは、事業内容、製品ポートフォリオ、事業戦略における企業間の違いに対応して柔軟に設定されています。薬剤耐性ベンチマークは英国国際開発省ならびにオランダ健康・福祉・スポーツ省より資金を受けています。

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メディア資料

報告書に含まれる全ランキング、ランキングの元となったデータ、主要所見のグラフ、数値をご希望の方はご連絡ください。

Access to Medicine Foundation(医薬品アクセス財団)について

薬剤耐性ベンチマークを発表した医薬品アクセス財団は、オランダを拠点とする独立非営利研究財団です。低・中所得国の医薬品へのアクセス向上を目指し、医薬品を手にすることのできない人々のために行動を起こすよう、世界の製薬業界を促しガイダンスを提供しています。

当財団は過去10年にわたり、医薬品やワクチンへのアクセス向上において製薬業界が果たすべき役割に関するコンセンサスの形成に取り組んできました。2年ごとにAccess to Medicine Index(ATMインデックス)を発表しており、次回は2018年後半に発表される予定です。当財団は2017年に、第1回目となるAccess to Vaccines Index(ワクチンアクセスインデックス)を発表しました。今回の薬剤耐性ベンチマークも初の試みです。

(日本語リリース:クライアント提供)

Superbugs: First Independent Comparison of Pharma Companies' Efforts to Address Drug-resistant Infections

PR71980

AMSTERDAM and DAVOS, Switzerland, January 23, 2018 /PRNewswire=KYODO JBN/ --

    

    The first independent analysis of pharmaceutical industry efforts to tackle

drug resistance, published today, finds that as well as developing new drugs

companies are also dismantling the incentives that encourage sales staff to

oversell antibiotics, setting limits on the concentration of antibiotics in

factory wastewater released into the environment, and tracking the spread of

superbugs.  

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)

         (Photo:

https://mma.prnewswire.com/media/631862/Antimicrobial_Resistance_Benchmark.jpg )

    In the Antimicrobial Resistance Benchmark, GSK and Johnson & Johnson lead

among the large research-based pharmaceutical companies, while Mylan leads the

generic medicine manufacturers and Entasis leads in the biotechnology group.

The Benchmark finds room for all companies to improve, as well as evidence of

good practice.  

    "If we don't use antibiotics in the right doses or for the right bugs, we

risk giving bacteria a chance to adapt and strengthen their defences, which

will make it harder to kill them the next time. The threat that once-deadly

infections could again become life-threatening is intensifying," said Jayasree

K. Iyer, Executive Director of the Access to Medicine Foundation, which

publishes the Benchmark. "Pharmaceutical companies have a critical contribution

to make to the effort to tackle superbugs."

    Antibiotics are losing their effectiveness at an increasing rate,

accelerated mostly by their misuse in humans, animals and crops. The drugs must

be used sparingly, in order to minimise the chances for bacteria to outsmart

them. There is now wide recognition at the highest political levels that more

needs to be done urgently to slow the pace of antimicrobial resistance (AMR),

with AMR initiatives being launched by the United Nations, the G7 and G20.

Bringing drug resistance under control requires coordinated action from

governments, policy-makers and public health authorities, doctors, farmers and

pharmaceutical companies, as well as patients. Most companies in the Benchmark

have signed up to industry-wide commitments, as set out in the January 2016

Davos Declaration on Combating Antimicrobial Resistance.

    The Benchmark compares how a cross-section of the pharmaceutical industry is

responding to the threat from drug-resistant infections. It measures the 30

most active players in antimicrobial development and production and includes

multinational pharmaceutical companies, biotechnology firms and manufacturers

of generic medicines. The main areas tracked are: R&D for new antimicrobials,

policies for ensuring antibiotics are manufactured responsibly, and approaches

to ensure antimicrobials are accessible and used wisely. Information was

gathered and cross-checked from multiple sources.

    "While pharmaceutical companies are addressing AMR, for most of them, this

is only the start. Yes, there are important new medicines in the pipeline - but

it is widely accepted that there are not enough to replace the ones that no

longer work. The Benchmark uncovered a few very good examples of companies

addressing access and stewardship for individual products," Iyer said.

    The leaders

    GSK and Johnson & Johnson lead the eight large research-based

pharmaceutical companies included in the Benchmark. GSK has the most

antimicrobial medicines in its R&D pipeline, including for pathogens experts

view as the highest priority targets for AMR. GSK is one of only two companies

to fully separate bonuses from the volume of antibiotic sales, removing the

incentive for sales staff to oversell antibiotics. Johnson & Johnson focuses

its attention on tuberculosis (TB): access to its breakthrough medicine for

multidrug-resistant TB is being tightly controlled through national TB

programmes. These leaders are followed by Novartis, Pfizer and Sanofi together.

Pfizer performs particularly well in stewardship measures, while Sanofi is

stronger in R&D. Novartis' delivers a

consistently solid performance in most areas.

    Biotechnology firms have a critical role to play in developing new

antimicrobials. Among the 12 the Benchmark covers, Entasis leads, particularly

when it comes to planning ahead to help ensure successful candidates will be

made accessible but also used wisely. It is followed by Polyphor, Summit and

Tetraphase in joint second place.

    Generics manufacturers account for the majority of antibiotics sold today,

giving them significant power to slow the growth of antimicrobial resistance

(AMR). In comparison with the other companies analysed, the level of

transparency in this group is low. The leaders in this group show a more

defined response than that of their peers, addressing either affordability or

the rational use of their products. Of the 10 evaluated, Mylan leads,

with the strongest performance in several areas, including an equitable pricing

approach and environmental risk-management strategy. Mylan is followed by Cipla

then Fresenius Kabi.

    "One of the strongest messages to come out of the Benchmark is the huge

power of generics companies to stop the superbugs. These companies produce the

largest volumes of antibiotics, and have been doing this for decades. Some have

only recently started tackling AMR. If they can be encouraged to really step

up, we will see a big impact."

    The Benchmark's key findings include:  

    

    - There are 28 antibiotics in later stages of development that target the

pathogens deemed critical AMR priorities by the WHO and/or US Centers for

Disease Control and Prevention. However, only two of these 28 candidates are

supported by plans to ensure they can be both made accessible and used wisely

if they reach the market.

    - Nearly half of companies evaluated are involved in efforts to track

patterns in drug resistance, with AMR surveillance programmes of different

scales running in 147 countries. Pneumonia is the most widely tracked

infection. Pfizer is running the most programmes.

    - Eight companies are setting limits on the concentration of antibiotics

that manufacturing wastewaters can contain before they can be released into the

environment. Four companies require suppliers to also meet these standards:

GSK, Johnson & Johnson, Pfizer and Roche. More information is needed on what

these limits are and no company reveals what is released in practice.

    - Four companies are taking steps to separate sales agent's bonuses from

the volume of antibiotics they sell. GSK and Shionogi have fully separated the

two globally, Pfizer is piloting that approach in certain locations, and

Novartis is in the process of adjusting the incentives for its sales teams.

    How the Benchmark compares

    The Benchmark measures companies against the consensus view on areas where

they can and should be contributing to efforts to limit AMR. The Access to

Medicine Foundation defined these areas by engaging top experts and a broad

range of stakeholders in antimicrobial resistance and global health in a

rigorous process to develop the methodology for the Benchmark. The Benchmark

was designed to have the flexibility to be sensitive to differences between the

companies when it comes to the focus of their business, their portfolios and

strategies. The Antimicrobial Resistance Benchmark is made possible with

financial support from UK Department for International Development and the

Dutch Ministry of Health, Welfare and Sports.

    Note to editors:  

    Media materials:  

    The graphs & figures from the Key Findings and other figures in the report

are available upon request.  

    About the Access to Medicine Foundation:

    The Access to Medicine Foundation, which publishes the Benchmark, is an

independent non-profit organisation based in the Netherlands. It aims to

advance access to medicine in low- and middle-income countries by stimulating

and guiding the pharmaceutical industry to play a greater role in improving

access to medicine.

    For 10 years, the Foundation has been building consensus on the role of the

pharmaceutical industry in improving access to medicine and vaccines. It

publishes the Access to Medicine Index every two years, with the next Index due

in late 2018. In 2017, the Foundation published the first Access to Vaccines

Index. This is the first Antimicrobial Resistance Benchmark.

SOURCE: Access to Medicine Foundation

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