ライフサイエンス業界は、消費者需要の変化に対する競争で、テクノロジー企業に遅れを取るリスクがある
2018/03/23
EY Japan
ライフサイエンス業界は、消費者需要の変化に対する競争で、テクノロジー企業に遅れを取るリスクがある
・EYの最新レポートではライフサイエンス業界における消費者重視の動きと低価格化の影響について考察
・競争激化と異業界からの参入により、Fortune 500にランクインするライフサイエンス企業の75%超が2023年までにランキングから姿を消す可能性
・今後価値を創出していくには、データをネットワークにつなぎ、組み合わせ、共有することによってその力を活かす能力が不可欠
EYのProgressions 2018レポート『Life Sciences 4.0: Securing value through data-driven platforms
(以下、Life Sciences 4.0)』は、ライフサイエンス企業はテクノロジー企業や新規企業の参入によって、遅れを取るリスクがあると警告しています。本レポートは、現在Fortune 500に名を連ねるライフサイエンス企業が、今後新薬や新型医療機器の開発以外にも目を向け、データに主導された、より便利で消費者を重視したサービスの提供に向けて新たなビジネスモデルを構築していかなければ、その75%以上が2023年までにFortune 500から姿を消している恐れがあると指摘しています。
本レポートでは、ライフサイエンス業界の直接の競争相手として、テクノロジー企業が台頭してきていることについて考察しています。分析の一環として、EYは、グローバル展開するライフサイエンス企業の25人以上のトップへのインタビュー、テクノロジー企業による特許出願の分析、2014年以降ライフサイエンス企業と他業界のステークホルダーとの間で締結した150件以上のデジタル分野での提携の評価を行いました。
レポートは、世界的に医療費のコストが抑制される中、ライフサイエンス企業はもはや利益の減少に直面している商品中心のイノベーションだけに頼ることはできないと述べています。また、アナリストによるピーク時売上予測の少なくとも50%を達成した薬の数は、償還価格の低下の影響で減ってきていると指摘しています。
加えて、テクノロジー企業は、独自のサービス提供によって、消費者、医師、支払者のニーズの進化に対応するために投資を増加させており、従来のクラウドベースのデータストレージやフィットネスと睡眠のトラッキングといったサービスから、ライフサイエンス企業が従来から提供している中核サービスである疾病管理へとシフトしています。レポートによると、2013年以降、大手テクノロジー企業が出願した米国のヘルスケア関連の特許のうち300以上がテクノロジー最大手3社によるもので、それらの企業の健康関連の特許出願数は2年毎に38%増加しています。
EY Global のライフサイエンスのセクター・リーダーPamela Spenceは、次のように述べています。
「ライフサイエンス業界ではテクノロジー企業が急速に台頭しており、消費者の期待の変化と相まって、ヘルスケアの仕組みがより参加型なものへとシフトするという、ディスラプティブな動きが生れています。そこでは、生涯の健康目標を高めるような低価格で個別化されたヘルスアウトカムを提供する能力という点で、消費者が価値を決定します。この変革の時代において、ディスラプションがもたらす機会を捉えるために、ライフサイエンス企業は新薬や新型医療機器以外にも目を向け、治療のプラットフォームに投資や参加、あるいは構築をしなくてはなりません。治療のプラットフォームの活用により、ライフサイエンス企業は、リアルワールドデータを収集・構築し、新しい商品やサービスを創出する手助けをします。」
治療のプラットフォーム:
本レポートでは、治療のプラットフォームについて、ヘルスアウトカムを向上させるという共通目標を持つ多様なステークホルダーの協働により、さまざまな健康データをリアルタイムでシームレスに集め、結合し、共有するインターフェイスであると説明しています。
ライフサイエンス企業は、プラットフォームへの投資またはディールを増やしています。例えば、ライフサイエンス企業は2014年以降、90件近くのデジタル分野に焦点を置いたディールを締結しています。治療分野に特化していることが明確なディールのうち、がん患者をサポートする製品は、サービスに対するものは14%にとどまる一方で、50%が糖尿病または呼吸器系分野におけるプラットフォーム関連を含んだものでした。
Pamela Spenceは次のように述べています。
「こうした投資は重要ではあるが、まだリスクを消し去るほどではありません。提供するサービスの中心に接続技術を据えるための投資がさらに必要となります。この新しいマーケットのパラダイムで成功するためには、柔軟性に富んだプラットフォームビジネスモデルが必要です。このビジネスモデルによって、ライフサイエンス企業は、低価格でヘルスアウトカムを実現し、従来のエコシステムの中にはなかった多様なデータの威力を活用できるようになります。」
イノベーションのさらなる推進:
本レポートでは、ライフサイエンス企業には、特に患者の行動とアウトカムの関係、個別化医療、データリテラシー、非効率性や予算上の制約といった点で、さらなるイノベーションが必要であると説明しています。
Pamela Spenceは、「この新しいマーケットのパラダイムの中心にいるのが消費者であり、彼らがライフサイエンス企業に求めるのは、より良いデータ体験です。ライフサイエンス企業がプラットフォームを使って、独自に集積している科学的、臨床的データを、環境、行動、財務における洞察と結びつけることができれば、この市場で将来的に最大限の価値をとらえるポジションにつくことができます。」と述べています。
『Life Sciences 4.0』の詳細は以下URLよりご覧ください。
※本プレスリリースは、2018年3月13日(現地時間)にEYが発表したプレスリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。
〈EYについて〉
EYは、アシュアランス、税務、トランザクションおよびアドバイザリーなどの分野における世界的なリーダーです。私たちの深い洞察と高品質なサービスは、世界中の資本市場や経済活動に信頼をもたらします。私たちはさまざまなステークホルダーの期待に応えるチームを率いるリーダーを生み出していきます。そうすることで、構成員、クライアント、そして地域社会のために、より良い社会の構築に貢献します。
EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバル・ネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。詳しくは、ey.com をご覧ください。
本ニュースリリースは、EYのグローバル組織のメンバーファームであるアーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッド(EYGM)によって発行されています。EYGMは顧客サービスを提供していません。
〈EYのグローバル・ライフサイエンス・セクターが提供するサービスについて〉
人口の高齢化や慢性疾患がますます身近になるにつれ、GDPに占めるヘルスケアの割合はさらに増えていくでしょう。科学の進歩、AI(拡張知能)、患者の持つ力が医療提供にますます変化をもたらし、健康上の成果が重要な測定基準だとする、パーソナライズされた経験へと変わりつつあります。これは、従来のステークホルダーの間にパワーシフトを引き起こし、新規参入者(利益追求だけを目的としていない場合が多い)が、多くの業界の既存企業に混乱をもたらしています。 イノベーション、生産性、患者へのアクセスは依然として業界最大の課題となっています。こうしたトレンドは、R&Dや製品供給から、製品発売や患者中心のビジネスモデルに至る、ライフサイエンスのバリューチェーンのあらゆる段階で、資本戦略に大きな影響を与えています。
私たちのグローバル・ライフサイエンス・セクターは、セクターに特化した15,000人のプロフェッショナルによる世界規模のネットワークを結集し、トレンド予測や影響の特定、クライアントの競争力創造をサポートしています。私たちは、健康上の成果をベースにした新しい生態系の中で、皆さまがビジネスを舵取りし、持続的成功を達成するようサポートいたします。
詳しくは以下URLよりご覧ください。
www.ey.com/gl/en/industries/life-sciences
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このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 EY Japan株式会社
- 所在地 東京都
- 業種 企業向けサービス
- URL https://www.eyjapan.jp/index.html
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