EYストラテジー・アンド・コンサルティング、交通空白がもたらす経済・社会的影響を試算

~年間約10兆円規模の損失の可能性を提示~

EY Japan

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:近藤 聡、以下EYSC)は、「交通空白」が地域や個人にもたらす経済・社会的影響について、試算を実施しました。試算の結果、年間約10兆円規模の経済・社会的損失が生じている可能性があることを示しました。

本試算は、EYSCが独自に実施した分析であり、その結果については2026年7月9日に金子 恭之 国土交通大臣へ説明を行いました。

 

写真:金子 恭之 国土交通大臣への試算結果説明時の様子(EYSC撮影)

(左から、金子 恭之 国土交通大臣、EYSC クライアント・アンド・インダストリー・リーダー パートナー 菅田 充浩、自動車・モビリティ・運輸・航空宇宙・製造・化学セクター パートナー 小池 雄一)

 

今回の試算では、公的統計や既存研究との整合性を重視しながら、一定の前提のもとEYSCが独自に分析を実施しました。その結果、移動手段の不足が就労、消費、観光、健康など幅広い領域に影響を及ぼしている可能性を定量的に示しました。

 

「交通空白」とは、地域住民や来訪者が日常生活や社会活動に必要な移動手段を十分に確保できない状態を指します。国土交通省では、「交通空白」の解消に向けた取り組みを進めており、人口減少や高齢化の進展、公共交通を担う事業者の人手不足などを背景に、地域における移動環境の維持・確保は全国的な課題となっています。

 

図表:「交通空白」が地域にもたらす経済・社会的損失の試算の内訳 (EYSC作成)

※本試算は、Access Partnership等のデータも活用し、一定の前提に基づき、「交通空白」が家族送迎、消費機会、観光消費、医療・介護負担に与える影響を貨幣換算する等により試算したものです。子どもの学び・体験機会への影響、交通不便による不動産価格の影響、可処分時間減少による少子化への影響など「交通空白」による影響は他にも想定されますが、今回の試算(上記の約10兆円)には含めておりません。

 

特に大きな影響として、家族送迎による「可処分時間の喪失」(所得機会や労働力の喪失)が挙げられます。この影響が約5.8兆円と、全体の過半を占める結果となりました。高齢者や子どもの移動を家族が担うことで、働き盛り世代において就労や地域活動、学び直しなどに充てられる時間が減少している可能性が示唆されました。

 

また、移動手段の不足は、買い物や外食、文化活動などの機会減少による地域内消費への影響に加え、二次交通の不足による観光消費機会の逸失、高齢者の外出機会減少に伴う社会参加や健康維持への影響にもつながる可能性があります。

 

今回の試算結果を踏まえ、EYSCでは、地域交通を単なる「維持コスト」ではなく、「地域と個人の成長を支える投資」として捉える視点が重要であると考えています。移動手段の確保を通じて、失われていた可処分時間や消費機会、観光需要などを地域に取り戻すことができれば、地域の人的資本や経済活動の活性化にもつながる可能性があります。

 

EYSCは今後も、地域交通を地域社会・地域経済を支える重要な社会インフラとして捉え、経済的・社会的影響の可視化に引き続き取り組んでまいります。

 

本試算を担当した、

EYSC 自動車・モビリティ・運輸・航空宇宙・製造・化学セクター パートナー 小池 雄一のコメント:

「今回の試算では、『交通空白』が就労や消費、観光、健康など幅広い分野に影響を及ぼしている可能性を定量的に示しました。一方で、この結果は、移動環境を適切に充実させることにより、失われた時間や消費機会、人々の社会参加を地域に取り戻し、地域や個人の成長につなげられる可能性を示唆しています。地域交通は単なる維持コストではなく、持続可能な地域社会を支える社会インフラへの投資です。今後は、地域特性や施策ごとの効果をより詳細に把握するため、ミクロ視点での分析や試算を進め、データに基づく政策立案と地域づくり、産業づくりへの貢献を目指してまいります」

 

調査および試算結果の詳細につきましては、以下の記事をご覧ください。

「交通空白」解消はまさに成長投資: 年間約10兆円の経済・社会的損失

 

 

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