慢性リンパ性白血病の治療薬として、ベネトクラクス併用療法を評価する第III相試験CLL14の良好な結果を発表

アッヴィ

2018年11月16日

アッヴィ合同会社

アッヴィ、慢性リンパ性白血病の治療薬として一定投与期間のファーストライン治療となる、ベネトクラクス併用療法を評価する第III相試験CLL14の良好な結果を発表

●無作為化第III相試験において、ベネトクラクスとオビヌツズマブ併用投与群は、標準治療群のオビヌツズマブとクロラムブシル併用療法と比較して無増悪生存期間を延長

●本試験の結果は今後、医学学会で発表予定

イリノイ州ノースシカゴ、2018年10月31日(米国時間)-グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業であるアッヴィ(NYSE: ABBV)は、併存疾患があり、治療歴のない慢性リンパ性白血病(CLL)の治療薬として、ベネトクラクスとオビヌツズマブ併用療法と標準治療のオビヌツズマブとクロラムブシル併用療法を比較する第III相無作為化試験CLL14の良好な結果を発表しました。本試験では12カ月の一定投与期間で、主要評価項目である、治験担当医師の評価による無増悪生存期間(病勢進行および死亡のみられない投与期間1)を達成しました。予備解析では、ベネトクラクスとオビヌツズマブ併用投与時の安全性プロファイルは、各薬剤を単剤療法とする投与時の安全性プロファイルと一致することが示唆されています。

CLL14試験の結果は今後、医学学会で発表する予定です。

アッヴィの研究開発担当エグゼクティブ・バイスプレジデント兼最高科学責任者のマイケル・セヴェリーノ医師(M.D.)は、次のように述べています。「CLL患者さんは、通常、自身の疾患の再発や再燃を避けるために、生涯にわたって継続的な治療を余儀なくされています。今回のCLL14試験の良好な結果は、CLL患者さんの一定投与期間の治療薬として、ベネトクラクスの可能性を提示するものであり、ファーストライン治療へと拡大する根拠を示すものとなるでしょう。今後、CLL14試験のすべての結果を発表できることを心待ちにしています。また、アッヴィは、血液がんの標準治療を変革し続ける可能性を秘めたパイプラインを評価する他の臨床開発プログラムも進めて参ります」

ベネトクラクスはアッヴィとロシュ社が開発を行っています。米国ではアッヴィとロシュグループの一員であるジェネンテック社が共同販売しており、米国以外ではアッヴィが販売しています。

第III相CLL14試験について

前向き多施設共同非盲検無作為化第III相CLL14試験は、German CLL Study Group との(DCLLSG)綿密な共同の下で進行中で、併存疾患があり、治療歴のないCLL患者さんを対象にベネトクラクスとオビヌツズマブ併用レジメンの有効性および安全性を、オビヌツズマブとクロラムブシル併用レジメンと比較するためにデザインされました。ベネトクラクスとオビヌツズマブ併用療法では、ベネトクラクスの12カ月一定期間の投与とオビヌツズマブの6サイクルの投与を併用しています。本試験では445例の患者さんが登録され、これらの患者さんはいずれも、International Workshop on Chronic Lymphocytic Leukemia(iwCLL)の規準に従った、治療歴のない患者さんでした。主要評価項目は、iwCLLの規準2を適用し、治験担当医師の評価に基づく無増悪生存期間としました。

ベネトクラクスについて

ベネトクラクスは、BCL-2タンパク質に対し、選択的に結合および阻害するファーストインクラスの薬剤です。いくつかの血液がんおよび他のがん腫瘍ではBCL-2が過剰発現し、アポトーシスと呼ばれる、がん細胞の自然死または自己破壊の過程を阻止します。ベネトクラクスは、BCL-2タンパク質を標的としており、アポトーシスの過程を回復させる作用があります。

ベネトクラクスはアッヴィとロシュ社が開発を行っています。米国ではアッヴィとロシュグループの一員であるジェネンテック社が共同販売しており、米国以外ではアッヴィが販売しています。これら数社共同でBCL-2研究に取り組んでおり、ベネトクラクスは種々の血液がんおよび他のがんを対象とした複数の臨床試験において現在評価されています。

ベネトクラクスは、米国を含め50を超える国で承認されています。アッヴィとロシュ社は現在、治療を必要とする、さらに多くの適格な患者さんにベネトクラクスを提供するため世界中の規制当局と協力しています。

ベネトクラクスの重要な情報

ベネトクラクスの米国における重要な安全性情報3

ベネトクラクスについて認識しておくべき最も重要な情報とはどのようなものでしょうか。

ベネトクラクスは重篤な副作用を引き起こす可能性があります。以下に例を示します。

腫瘍崩壊症候群(TLS):TLSはがん細胞が短時間に崩壊することにより起こります。TLSは腎不全を引き起こし、透析治療が必要となる可能性があるほか、死に至ることもあります。担当の医療従事者は、TLSのリスクを低減させるため、ベネトクラクスの投与開始前と投与中に検査を行い、TLSになるリスクがあるかを調べます。補液の静脈内投与が必要になることもあります。ベネトクラクス投与中にTLSについて調べるため、投与開始から5週後に血液検査を行います。予約したとおりに血液検査を受けることが重要です。ベネトクラクス投与中に、発熱、悪寒、悪心、嘔吐、錯乱、息切れ、痙攣発作、不整脈、暗色尿、混濁尿、異常な疲労、筋肉痛、関節痛など、TLSの症状があらわれた場合は、すぐに担当の医療従事者に伝えてください。

TLSになるリスクを低減させるため、ベネトクラクスを服用するときは水分を多くとること。ベネトクラクス初回投与の2日前から毎日コップ6〜8杯(合計で約56オンス)の水を飲み始め、初回投与当日や用量が増量されたときも毎回飲んでください。

ベネトクラクスを服用すべきでないのは、どのような患者さんですか。

ベネトクラクスの服用を開始し、徐々に増量している間はTLSが増えるリスクがあるため、特定の薬剤を服用しないでください

• 処方薬、市販薬、ビタミン剤、ハーブサプリメントなど、服用している薬剤をすべて担当の医療従事者に伝えてください。ベネトクラクスと他剤が互いに影響し合い、重篤な副作用を引き起こすおそれがあります。

• 担当の医療従事者に相談せず、ベネトクラクス投与中に新たな薬剤の服用を開始しないでください。

ベネトクラクスを服用する前に、あなたの医学的情報をすべて担当の医療従事者に伝えてください。例えば、次のような場合です。

• 腎障害または肝障害がある。

• 塩分または電解質(カリウム、リン、カルシウムなど)に問題がある。

• 血中の尿酸値が高い、または痛風の既往歴がある。

• ワクチン接種を予定している。ベネトクラクスの投与前、投与中または投与後は担当の医療従事者が接種を認めるまで「生ワクチン」は接種しないでください。予防接種またはワクチンの種類について不確かな場合は、担当の医療従事者にお尋ねください。ベネトクラクス投与中は、このようなワクチンを安全に接種できない、または接種しても効果が得られないことがあります。

• 妊娠している、または妊娠を計画している場合、ベネトクラクスは胎児に害を及ぼすおそれがあります。妊娠可能な場合、担当の医療従事者はベネトクラクス投与開始前に妊娠検査を行います。ベネトクラクス投与期間中と最終投与後30日間は効果的な避妊を行ってください。妊娠した、または妊娠したと思われる場合は、すぐに担当の医療従事者に伝えてください。

• 授乳中または授乳を計画している場合、ベネトクラクスが母乳に移行するかどうかは不明です。ベネトクラクス投与期間中は授乳しないでください。

ベネトクラクス服用中は、どのようなことを避けるべきですか。

ベネトクラクスを服用している間は、グレープフルーツジュースを飲まないこと。また、グレープフルーツ、セビリヤオレンジ(マーマレードに使用されることが多い)またはスターフルーツを食べないこと。これらの製品や産物は血中のベネトクラクスの量を増加させる可能性があります。

ベネトクラクスの副作用は、どのようなものですか。

ベネトクラクスは重篤な副作用を引き起こすおそれがあります。例えば、次のような副作用です。

• 白血球数低値(好中球減少症):白血球数低値はベネトクラクスでよくみられますが、重度になることもあります。担当の医療従事者は、血球数を調べるためベネトクラクス投与期間中に血液検査を行います。ベネトクラクスを服用している間に発熱や感染の徴候がみられる場合は、すぐに担当の医療従事者に伝えてください。

ベネトクラクスとリツキシマブ(遺伝⼦組換え)を併用したときの主な副作用は、白血球数低値、下痢、上気道感染、咳嗽、疲労、悪心などです。

ベネトクラクスを単剤で投与したときの主な副作用は、白血球数低値、下痢、悪心、上気道感染、赤血球数低値、疲労、血小板数低値、筋肉痛、関節痛、腕、脚、手および足の腫脹、咳嗽などです。

ベネトクラクスにより、男性の受精能に問題が生じることがあります。子どもをもうける能力に影響を及ぼす可能性があります。受精能について心配な場合は、担当の医療従事者にご相談ください。

これらは必ずしもベネトクラクスの副作用とは限りません。心配な副作用または治らない副作用がある場合は、担当の医療従事者に伝えてください。

処方薬の副作用をFDAに報告することが推奨されています。ウェブサイトwww.fda.gov/medwatchhttp://www.fda.gov/medwatch) から、または1-800-FDA-1088に電話してください。

米国でのベネトクラクスの処⽅情報(投薬ガイドを含む)の全⽂は以下(http://www.rxabbvie.com/pdf/venclexta.pdf?_ga=2.72541136.2129525565.1507581927-627258394.1505229110)を参照してください。世界各国で処方情報はさまざまです。完全な情報は各国の添付文書を参照してください。

ベネトクラクスの欧州における重要な安全性情報4

禁忌

有効成分またはいずれかの添加物に対する過敏症は禁忌となります。TLSのリスクが高まるため、投与開始時および用量漸増期間中の強力なCYP3A阻害剤との併用も禁忌となります。ベネトクラクスの効果が弱まる可能性があるため、セントジョーンズワート含有製品との併用も禁忌となります。

重要な基本的注意と使用上の注意

治療歴があり腫瘍量の多いCLL患者さんにおいて、ベネトクラクス投与によりTLSが認められ、致死的事象も含まれています。ベネトクラクス投与により、最初の5週間の用量漸増期間にTLSが発生するリスクがあります。迅速な管理を必要とするTLSと一致した電解質の変化が、早ければベネトクラクス初回投与後6~8時間、あるいは各増量時に認められることがあります。リスクの有無を評価し、TLSに対する適切な予防措置、モニタリングおよび管理上の措置を講じる必要があります。

好中球減少症(グレード3または4)が報告されているため、投与期間を通じて全血球数をモニタリングしてください。死亡に至った敗血症を含む重篤な感染症が報告されています。感染症の徴候が現れた場合には、対症療法または抗菌剤を考慮してください。

投与期間中、または投与期間終了後はB細胞が回復するまで、生ワクチンは接種しないでください。

薬物相互作用

CYP3A阻害剤は、ベネトクラクスの血漿中濃度を増加させる可能性があります。投与開始時および用量漸増期:TLSのリスクを増大させるため、強力なCYP3A阻害剤は禁忌とし、中程度のCYP3A阻害剤の投与も避けてください。中程度のCYP3A阻害剤を使用しなければならない場合、医師は製品情報概要を参照し、用量調節に関する推奨事項を確認してください。1日量が安定した時点:中程度または強力なCYP3A阻害剤を使用しなければならない場合、医師は製品情報概要を参照し、用量調節に関する推奨事項を確認してください。

投与開始時および用量漸増期間中のP-gpおよびBCRP阻害剤との併用は避けてください。

CYP3A4誘導剤は、ベネトクラクスの血漿中濃度を減少させる可能性があります。強力または中程度のCYP3A誘導剤との併用は避けてください。これらの薬剤は、ベネトクラクスの血漿中濃度を減少させる可能性があります。

胆汁酸捕捉剤とベネトクラクスの併用投与によりベネトクラクスの吸収が低下する可能性があるため、この併用投与は推奨されません。

副作用

リツキシマブ(遺伝子組換え)との併用療法の試験でベネトクラクスの投与を受けた患者さんにおいて、グレードを問わず最も多く発現した副作用(20%以上)は、好中球減少症、下痢および上気道感染でした。単剤療法の試験で、最も多く発現した副作用は、好中球減少症/好中球数減少、下痢、悪心、貧血、疲労および上気道感染でした。

ベネトクラクスとリツキシマブ(遺伝子組換え)併用療法またはベネトクラクスの単剤療法で最もよくみられた重篤な副作用(2%以上)は肺炎、発熱性好中球減少症およびTLSでした。

ベネトクラクスとリツキシマブ(遺伝子組換え)併用療法を受けた患者さんのうち副作用により投与を中止した患者さんは16%、ベネトクラクスの単剤療法を受けた患者さんでは9%でした。ベネトクラクスとリツキシマブ(遺伝子組換え)併用療法を受けた患者さんのうち副作用により用量調節が行われた患者さんは15%、ベネトクラクスの単剤療法を受けた患者さんでは2%でした。ベネトクラクスとリツキシマブ(遺伝子組換え)併用療法を受けた患者さんのうち、投与を中断した患者さんは71%でした。

特殊な集団

腎機能が低下している患者さん(CrCl <80 mL/min)には、TLSのリスクを軽減するために予防とモニタリングを強化する必要があります。重度の腎機能障害がある患者さん(CrCl <30 mL/min)、または透析中の患者さんの安全性は確立されていません。また、このような患者さんに推奨される用量も特定されていません。重度の腎機能障害がある患者さんには、有益性がリスクを上回る場合にのみ、ベネトクラクスを投与してください。TLSのリスクが増大するため、毒性の徴候がないか注意深くモニタリングしてください。

ベネトクラクスを妊娠中の女性に投与すると、胚・胎児に害を及ぼすおそれがあります。また、授乳中の女性には、投与期間中は授乳を中止するよう指導してください。

上記は、すべての安全性情報を完全に要約したものではありません。ベネトクラクスの製品情報概要(SmPC)の全文については、www.ema.europa.euhttp://www.ema.europa.eu/)をご覧ください。世界各国で処方情報は異なります。詳細な情報は各国の製品表示をご参照ください。

オビヌツズマブについて

オビヌツズマブは、ある種のB細胞に発現するものの血液幹細胞や形質細胞には発現せず、CD20に結合するよう抗体工学的にデザインされたモノクローナル抗体です。オビヌツズマブは、標的となるB細胞に対して、直接的かつ体内の免疫系と協働で攻撃および破壊するようデザインされています。

オビヌツズマブは現在、治療歴のないCLL患者さんを対象にクロラムブシルとの併用療法として90を超える国で、治療歴のある濾胞性リンパ腫の一部の病型を有する患者さんを対象にベンダムスチン塩酸塩との併用療法として80を超える国で、また治療歴のない濾胞性リンパ腫患者さんを対象に化学療法との併用療法として60を超える国で承認されています。

その他、がん免疫療法や低分子阻害薬など他の承認済みの治療薬および治験薬とオビヌツズマブの併用を研究する試験が、広範囲の血液がんを対象に進行中です。

German CLL Study Group(DCLLSG)について

DCLLSGは1996年に設立され、マイケル・ハレック医師の主導により、CLLに苦しむ患者さんに最適な治療を提供することを最終目的とし、CLLを対象に様々な第III相、第II相および第I相の試験を行ってきました。このような試験の中には、CLLに対する現在の標準治療につながったCLL8試験やCLL11試験などの画期的な試験が含まれます。長年にわたり、DCLLSGは、若年で健康状態の良い患者さんだけではなく、高齢で健康状態の良好でない患者さんのための治療の改善も目指してきました。このような患者さんは、日常の診療において医師が治療するCLL患者さんの大半を占めていますが、通常、臨床試験では十分な例数の患者さんとして評価されていません。DCLLSG は、独立・非営利の研究機関であり、Cancer Aid(Deutsche Krebshilfe)の支援を受けています。詳細についてはwww.dcllsg.deをご覧ください。

がん分野におけるアッヴィについて

アッヴィでは、当社が持つ生物学の中心分野における深い知識を、最先端の技術と独自に組み合わせ、科学者、臨床専門家、同業企業、支援団体、患者さんなどのパートナーと協力して、がん治療に変革をもたらす医薬品の発見と開発に努めています。当社は、⼀部の非常に消耗性の高い広範囲ながんの治療法において、革新的な進歩を実現することに重点を置いています。また、患者さんが当社のがん治療薬を使用できるようソリューションの探求にも取り組んでいます。2015年にPharmacyclics社を、2016年にはStemcentrx社を買収し、現在アッヴィのがん分野のポートフォリオは研究開発と共同研究により、市販されている医薬品と複数の新規分子を含むパイプラインで構成されています。それらは20種類を超える、異なる型の腫瘍について、200件以上の臨床試験において世界中で評価されています。詳細については、http://www.abbvie.com/oncologyをご覧ください。

 

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