「2019年 中小企業の経営施策」発表

産業能率大学

2019年2月6日

学校法人産業能率大学

「2019年 中小企業の経営施策」(調査報告書)

 学校法人産業能率大学(東京都世田谷区)は、中小企業(※)の経営者を対象に経営環境認識や経営方針・施策などを尋ねる調査を実施しました。この調査は、2011年から毎年発表しており今回で9回目となります。調査はインターネット調査会社を通じて実施し、従業員数6人以上300人以下の企業経営者(経営トップ)588人から回答を得ました。

※中小企業基本法では業種によって「中小企業の範囲」が異なるが、この調査では業種にかかわらず従業員数300人以下の企業を中小企業とした。また、零細企業を除くために従業員数が6人以上の企業の経営者を対象としている。

注目データ

▼2019年の業績見通し 8割は昨年と“同様以上”で近年の好況感を継続

業績見通し(経年比較)

 2019年の業績見通しについて、昨年に比べて“上回る”(「大幅に上回る見込み」+「やや上回る見込み」)とする回答が3.4㌽減少しました。しかしながら、「大幅に上回る見込み」「やや上回る見込み」「同様となる見込み」とする回答をあわせると82.6%にのぼります。依然として8割以上の経営者は近年の好況感を継続し、昨年と“同様以上”の業績を維持できるという見通しを立てています。

― 業績“上回る”⇒「電気・ガス・熱供給・水道業」「情報通信業」「金融・保険業」「不動産業」

    “下回る”⇒「建設業」「卸売・小売業」「飲食店・宿泊業」

業種別クロス

 業績見通しを業種別にみると、業績が“上回る”(「大幅に上回る見込み」+「やや上回る見込み」)と回答した割合は<電気・ガス・熱供給・水道業>83.3%、<情報通信業>48.8%、<金融・保険業>75.0%、<不動産業>48.2%で他の業種と比べて高い数値となりました。一方、業績が“下回る”(「やや下回る見込み」+「大幅に下回る見込み」)と回答したのは、<建設業>22.9%、<卸売・小売業>23.8%、<飲食店・宿泊業>29.4%が他業種に比べ高い割合となりました。

▼2019年に経営者として最も取り組みたいこと

経営者として最も取り組みたいこと

 経営者として2019年に最も取り組みたいことは「従業員の新規採用」(13.4%)が最多でした。次いで「利益率の向上」(12.8%)、「国内の販路拡大」(12.6%)、「営業力の強化」(8.0%)、「新規事業への進出」(7.3%)と続きます。人材を確保し、販路拡大・営業力強化・新規事業進出によって利益を生み出そうとする積極的な姿勢が窺えます。

―上位5項目はすべて前回調査時より上昇

経営者として最も取り組みたいこと(昨年比)

 前回の調査結果と比較すると、今回の上位5項目はいずれも数値が上昇しています。

特に「従業員の新規採用」(13.4%)については、昨年調査時から2.7㌽増加し、過去最高となりました。ここ数年の好況感を受けて、採用や業績・事業拡大の面では昨年よりも“攻める”傾向にあると言えそうです。

▼副業制度 導入する理由「従業員の副収入獲得(給与の補填)のため」

      導入しない理由「本業に専念してほしいから」

副業制度を導入(導入を検討する)理由

副業制度を導入しない理由

 副業制度を導入している(導入を検討する)企業と、副業制度を導入していない企業にその理由を尋ねたところ、副業制度を導入している(導入を検討する)理由は「従業員の副収入獲得(給与の補填)のため」(56.5%)、副業制度を導入していない理由は「本業に専念してほしいから」(68.1%)がそれぞれ最多となりました。

▼有給休暇取得義務化へ 過半数が「まだ対応できていない」

有給休暇取得義務化への対応状況

 2018年に成立した「働き方改革関連法案」により、2019年4月から、10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者に対して毎年5日間の年次有給休暇の取得が義務付けられることになりました。そうした中で、経営者に有給休暇取得義務化への対応状況について尋ねたところ、過半数となる53.6%が「まだ対応できていない」と回答しました。

調査概要

1.調査対象:従業員数6人以上300人以下の企業の経営者(経営トップ)

2.調査方法:インターネット調査

3.調査期間:2018年11月20~29日(10日間)

4.有効回答:588

全体総括

 今回の調査では、依然として中小企業の「人材不足」が主要な課題として表れてきましたが、それも改善の兆しをみせています。人員の過不足状況については中小企業経営者の50.0%が「不足している」と回答しているものの「適正である」とするのは前回調査から4.0㌽増加しました。また、2019年の経営活動に影響を与えると想定される要因でも「人材の不足」が最も多くあげられましたが、前回調査と比較すると4.7㌽減少しています。

 2019年の業績については、昨年に比べて“上回る”(「大幅に上回る見込み」+「やや上回る見込み」)とする回答は3.4㌽減少したものの、依然8割以上の経営者は近年の好況感を継続し昨年と同様以上の業績を維持できるとの見通しを立てています(「大幅に上回る見込み」+「やや上回る見込み」+「同様となる見込み」)。そうした経営者が2019年に最も取り組みたいこととして、上位に「従業員の新規採用」「利益率の向上」「国内の販路拡大」「営業力の強化」「新規事業への進出」などがあがり、経営者の積極的な経営姿勢が窺える結果となりました。

 働き方改革への機運が高まる中、近年注目を集める副業制度について、中小企業においては約8割が導入していません。制度を導入していても利用率は“50%以下”が9割以上を占めるなど、現状では副業が浸透しているとは言い難い状況です。また、2019年4月から義務付けられる年5日の有給休暇取得についても過半数の53.6%が「まだ対応できていない」とし、対応に追われる中小企業は少なくありません。

※調査全文は添付のPDFでご覧いただけます。

本プレスリリースは発表元が入力した原稿をそのまま掲載しております。また、プレスリリースへのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。

プレスリリース添付ファイル

プレスリリース添付画像

業績見通し(経年比較)

業種別クロス

経営者として最も取り組みたいこと

経営者として最も取り組みたいこと(昨年比)

副業制度を導入(導入を検討する)理由

副業制度を導入しない理由

有給休暇取得義務化への対応状況

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