製造現場での安定した無線通信の利活用を強力にサポート
2019年10月10日
製造現場での安定した無線通信の利活用を強力にサポート
~無線通信トラブル対策事例集の発行と無線リソース協調制御機能の効果実証~
【ポイント】
■ NICTは無線化が進む製造現場でのトラブル対策事例集を8社共同で作成し、配布を開始
■ FFPAが策定したSRF無線プラットフォームに対応した試作機を開発
■ SRF無線プラットフォームの主要技術の開発と基本評価を実施、効果を実証
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、理事長: 徳田 英幸)は、製造現場でIoT化を推進するため、業界の垣根を越えて、無線通信技術の基礎評価及び検証を行うための共同実験プロジェクトであるFlexible Factory Projectを2015年6月に立ち上げ、検証を続けています。本プロジェクトの検証を通して、無線通信技術が適切に活用されずトラブルの原因となってしまう実態が分かってきたため、Flexible Factory Project参加企業のうちの8社共同で、IoTの導入に際するトラブルについて課題と対策をまとめた事例集を発行します。
さらに、NICTは、製造現場での無線通信の適切な活用を可能とする技術として、SRF無線プラットフォームの無線リソース協調制御機能を搭載した試作機を開発しました。本試作機によって、多数の無線機が同時に通信する環境において、製造現場で使用される多くのアプリケーションが必要とする100msec以下の通信遅延を達成できることを確認しました。
本成果は、10月15日(火)から幕張メッセで開催されるCEATEC 2019にて発表いたします。また、事例集はWebにて配布を予定しています。
事例集ダウンロードURL(ダウンロード開始は2019年10月30日(水)から):
https://www2.nict.go.jp/wireless/ffpj.html
※SRF無線プラットフォームの研究開発は、NICTが総務省から受託した「狭空間における周波数稠密利用のための周波数有効利用技術の研究開発」により、実施しています。
【背景】
製造現場では、IoTやロボットの活用による生産工程の合理化や自動化が進んでおり、機器状態監視、工程管理、機器制御など多様なアプリケーションで無線システムが導入されつつあります。NICTがFlexible Factory Project参加企業と共に工場での無線環境評価やヒアリングを行った結果、無線通信技術が適切に活用されずトラブルの原因となってしまう実態が分かってきました。しかし、それらの実例や対策方法を、業界の垣根を越えて共有し、同様のトラブルを軽減させるような試みは、これまで行われていませんでした。
また、工場などの同一の空間内で異なる無線規格を用いた様々なアプリケーションが独立に運用されると、無線区間での干渉によって遅延が増大し、アプリケーションが要求する時間内にデータが到着しないという問題が起こっています。この問題を解消するため、NICTは、製造現場全体の無線の利用状況を俯瞰して各無線システムの通信制御を実施するSRF無線プラットフォームを提案しました。そして、NICTは、SRF無線プラットフォームに高い関心を持つ企業と共にフレキシブルファクトリパートナーアライアンス(FFPA)を設立し、SRF無線プラットフォームを具体化し、社会実装していくために無線通信規格の技術仕様を策定しました。
【成果】
(1)このたび、NICTはFlexible Factory Project参加企業と共に、製造現場の方々の無線機器導入の参考になるように、無線通信に関するトラブル事例とその対策をまとめた「製造現場における無線通信トラブル対策事例集」を発行します。製造現場に設置される無線システムの動作シミュレーション、設計、不安定化のリスク評価、ガイドライン作成などの参考となるようにポイントをわかりやすくまとめました。
本事例集は、総務省地方総合通信局等が主催する工場向けワイヤレスIoT講習会においても参考資料として配布を行う予定です。ぜひ、ご活用いただければと思います。
事例集ダウンロードURL(ダウンロード開始は2019年10月30日(水)から):
https://www2.nict.go.jp/wireless/ffpj.html
(2)SRF無線プラットフォームの無線リソース協調制御機能を搭載した試作機を開発し、コア技術の基本性能評価を完了しました。
今回、試作及び評価を実施した無線リソース協調制御機能は、同一空間内に共存する他のアプリケーションの通信状況を監視して通信に使用するチャネルや通信速度を適応的に制御することで、無線区間での干渉を回避して通信遅延を抑制する機能です。
製造現場で使用されるアプリケーションは100msec以内のデータ到着を必要とするものが多く、そのためFFPAでは100msec以下の通信遅延を実現することを目標に掲げています。多数の無線機が同時に通信する環境では、無線区間での干渉に伴う遅延増大の影響で、目標とする通信遅延を達成できなかったところ、本機能を用いて干渉を適切に回避することによって、通信遅延を平均100msec以下に低減できることを実環境上で確認しました。
【今後の展望】
NICTは、10月15日(火)~18日(金)に幕張メッセで開催されるCEATEC Japan 2019(ホール6 小間番号B030 情報通信研究機構(NICT)) にて、ローカル制御機能を搭載した試作機及びSRFセンサを用いた無線環境のリアルタイム可視化の展示を行います。また、そこで、「製造現場における無線通信トラブル対策事例集」を発表後、Webにて配布を予定しています。
FFPAは10月31日(木)に開催するセミナー「SRF無線プラットフォームで創る未来の製造現場~FFPAの技術仕様Ver.1を解説~」において技術仕様を紹介します。
・セミナー「SRF無線プラットフォームで創る未来の製造現場 ~FFPAの技術仕様Ver.1を解説~」
FFPAの技術仕様策定を記念し、10月31日(木)にフクラシア品川クリスタルスクエア(東京都・港区)にて開催。
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このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 国立研究開発法人情報通信研究機構 広報部
- 所在地 東京都
- 業種 その他情報・通信業
- URL https://www.nict.go.jp/
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