ウパダシチニブ、乾癬性関節炎に対する第III相試験において、主要評価項目および重要な副次評価項目を達成

アッヴィ

2020年2月20日

アッヴィ合同会社

ウパダシチニブ、乾癬性関節炎に対する第III相試験において、主要評価項目および重要な副次評価項目を達成

●活動性乾癬性関節炎の成人患者さんを対象とした大規模第III相試験における、プラセボとの比較で、ウパダシチニブ(15 mgおよび30 mg、1日1回投与)は、主要評価項目である投与12週時のACR 20を達成1

●12週時のACR 20について、ウパダシチニブ 30 mg群はアダリムマブ群に対して優越性を示し、両用量群でアダリムマブに対する非劣性を達成1

●ウパダシチニブ両用量群は、プラセボ群と比較して24週時のエックス線画像上の進行を抑制1

●ウパダシチニブ両用量群において、プラセボ群と比較して、より多くの患者さんが16週時にPASI 75を達成1

●ウパダシチニブの安全性プロファイルは、さまざまな適応症について報告された過去の結果と一致、新たな安全性リスクは検出されず1,2

イリノイ州ノースシカゴ、2020年2月5日(米国時間)-グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業であるアッヴィ(NYSE: ABBV)は、SELECT-PsA 1第III相臨床試験の良好なトップライン結果を発表しました。本試験は、1種類以上の非生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)で効果不十分、または不耐容を示す活動性乾癬性関節炎の成人患者さんを対象とした臨床試験で、ウパダシチニブ(15 mgおよび30 mg、1日1回投与)は両用量群で、プラセボ群と比較し、主要評価項目である12週時のACR 20を達成しました1。また、ウパダシチニブは、プラセボと比較し、様々な評価項目において疾患の徴候および症状の改善を示しました1。ウパダシチニブは、アッヴィが発見し開発した治療薬で、JAKを選択的かつ可逆的に阻害する1日1回投与の治療法として、乾癬性関節炎およびその他の免疫関連疾患を対象に試験が行われています1,3-10

アッヴィのバイスチェアマン兼プレジデントのマイケル・セヴェリーノ医学博士(M.D.)は次のように述べています。「乾癬性関節炎を抱えながら生活している患者さんは、関節痛やこわばり、疲労に苦しんでいることが多く、これらの症状は患者さんの作業能力や活動的な生活に影響を及ぼします。今回の大規模第III相試験の結果は、ウパダシチニブがこのような患者さんへの一助となる可能性をさらに支持するものです。私たちはこれらのデータを、活動性乾癬性関節炎の成人患者さんに対するウパダシチニブの適応追加申請をサポートするものとして、世界各地の規制当局と共有していくことを心待ちにしております」

本試験において12週時にACR 20を達成した患者さんの割合は、プラセボ群の36%に対し、ウパダシチニブ15 mg群で71%、30 mg群では79%でした(p<0.0001)1。アダリムマブと比較した12週時のACR 20に関しては、ウパダシチニブ両用量群で非劣性が示され、30 mg群で優越性が確認されました1。12週時にACR 50を達成した患者さんの割合は、プラセボ群の13%に対し、ウパダシチニブ15 mg群で38%、30 mg群で52%でした(名目上のp<0.0001)1。さらに、12週時にACR 70を達成した患者さんの割合は、プラセボ群の2%に対し、ウパダシチニブ15 mg群で16%、30 mg群では25%でした(名目上のp<0.0001)1

ウパダシチニブを投与された患者さんにおいて、健康評価質問票機能障害指数(HAQ-DI)を用いて評価した12週時の身体機能に改善が認められました1。HAQ-DIスコアのベースラインからの変化量は、プラセボ群の-0.14に対して、ウパダシチニブ15 mg群および30 mg群では、それぞれ-0.42および-0.47でした(p<0.0001)1。ウパダシチニブ群では、さらに16 週時の皮膚症状の改善がみられ、乾癬面積および重症度指数で75%の改善(PASI 75)を達成した患者さんの割合は、プラセボ群の21%に対し、ウパダシチニブ15 mg群で63%、30 mg群では62%でした(p<0.0001)1。24週時の最小疾患活動性(MDA)達成率は、プラセボ群の12%に対し、ウパダシチニブ15 mg群で37%、30 mg群では45%でした(p<0.0001)1

グラスゴー大学感染・免疫・炎症研究所の教授であるIain McInnes博士(英国王立内科医協会会員、Ph.D.)は次のように述べています。「SELECT-PsA 1試験の結果から、プラセボと比較して、ウパダシチニブの両用量における、関節および皮膚症状に対する有効性が示されたとともに、エックス線画像上の進行を抑制することが確認されました。ウパダシチニブが、乾癬性関節炎と共に生きる患者さんの治療成績を改善する可能性を裏付けるこれらのデータを、一連のエビデンスに加えることができることをうれしく思います」

† 主要評価項目は、プラセボと比較した投与12週時のACR 20。副次評価項目は、プラセボと比較した12週時までのHAQ-DIのベースラインから変化量、16週時にPASI  75を達成した患者さんの割合および24週時にMDAを達成した患者さんの割合など。前述したすべての比較で、p値<0.0001を達成。すべての副次評価項目は示されていません。

a  ACR 20/50/70は、圧痛関節数および腫脹関節数のベースラインからの20%/50%/70%以上の減少、かつ米国リウマチ学会コアセットの残り5項目(患者さんによる疼痛度の評価、疾患活動性の全般的評価、身体機能の評価、医師による疾患活動性の全般的評価および急性期反応物質)のうち3項目以上におけるベースラインからの20%/50%/70%以上の改善と定義。

b  HAQ-DIは、衣服の着脱と身支度、起立、食事、歩行、衛生、リーチ範囲、握力および日常生活の動作などを患者が報告する健康評価質問票を用いた機能障害指数におけるベースラインからの変化量と定義。健康評価質問票は、これらの活動で経験する困難の程度と手助けおよび器具の使用について患者自身が評価。

c  PASI 75は、乾癬面積および重症度指数(PASI)で75%の改善と定義。ベースライン時の乾癬が体表面積(BSA)の3%以上である患者を対象に評価を実施。

d  MDAは、7項目のアウトカム指標(圧痛関節数(TJC)1以下、腫脹関節数(SJC)1以下、PASI 1以下または体表面積-乾癬(BSA-Ps)3%以下、患者評価による疼痛の数値評価スケール(NRS)1.5以下、患者による全般的評価(PtGA)-疾患活動性のNRS 2.0以下、HAQ-DIスコア0.5以下およびリーズ付着炎指数(LEI)1以下)のうち5項目を達成していることと定義。

投与24週後、乾癬性関節炎 modified Sharp-van der Heijdeスコアを用いて測定したベースラインからの変化量から、ウパダシチニブ15 mgおよび30 mg群は、プラセボ群と比較して、エックス線画像上の進行を抑制しました(p<0.01)1。関節損傷の抑制は、身体機能および身体障害に影響を及ぼし得ることから、乾癬性関節炎患者さんにとって重要です11

ウパダシチニブの安全性プロファイルは、過去に報告された試験で認められたものと一致し、新たな安全性リスクは検出されませんでした1。24週までに重篤な感染症が発現した患者さんの割合は、プラセボ群の0.9%およびアダリムマブ群の0.7%に対して、ウパダシチニブ 15 mg群では1.2%、30 mg群では2.6%でした1。静脈血栓塞栓症(VTE)と判定された症例が、ウパダシチニブ 30 mg群で1件(0.2%)、15 mg群では0件、アダリムマブ群で2件(0.5%)およびプラセボ群で1件(0.2%)認められました1。主要な心血管系イベント(MACE)は、ウパダシチニブの両用量群ともに報告されませんでした1。MACEはプラセボ群で1件、アダリムマブ群で2件報告されました1。死亡例はウパダシチニブの両用量群ともに報告されず、プラセボ群で1例(0.2%)が認められ、アダリムマブ群では認められませんでした1

乾癬性関節炎は多様な病態を持つ全身性炎症性疾患で、関節および皮膚に顕著な症状が現れ、全世界で5,000万人を超える人々が罹患しています12,13。乾癬性関節炎では、免疫系によって炎症が生じ、疼痛、疲労および関節のこわばりに至ることがあります12

SELECT-PsA 1試験で得られた結果は、今後開催される医学学会および査読論文で発表予定です。

SELECT-PsA 1試験について1,14

SELECT-PsA 1試験は、1種類以上の非生物学的DMARD で効果不十分であった活動性乾癬性関節炎の成人患者さんを対象に、プラセボおよびアダリムマブと比較し、ウパダシチニブの安全性および有効性を評価するためにデザインされた第III相、多施設共同、無作為化、二重盲検、並行群間比較、実薬・プラセボ対照試験です。患者さんはウパダシチニブ 15 mg群、ウパダシチニブ 30 mg群、アダリムマブ群(40 mg隔週)またはプラセボ群に無作為に割り付けられ、24週時にウパダシチニブ 15 mgまたはウパダシチニブ 30 mgの投与を受けました。

主要評価項目は、投与12週時にACR 20を達成したウパダシチニブ 15 mgまたは30 mg投与患者さんの割合とし、プラセボ投与患者さんと比較しました。副次評価項目は、投与12週時までのHAQ-DIベースラインからの変化量、16週時にPASI 75を達成した患者さんの割合および24週時にMDAを達成した患者さんの割合などとしました。本試験は進行中で、長期継続投与期間では盲検を維持したまま、プラセボ対照期間を完了した患者さんを対象に、ウパダシチニブ 2用量(15 mgおよび30 mg)、1日1回投与の長期安全性、忍容性および有効性を評価します。この試験に関する詳しい情報はwww.clinicaltrials.gov(NCT03104400)で閲覧可能です。

ウパダシチニブについて

アッヴィが発見し開発したウパダシチニブは、選択的かつ可逆的なJAK阻害薬で、複数の免疫関連炎症性疾患を対象に試験が行われています1-10。2019年8月に、ウパダシチニブはMTXで効果不十分または不耐容であった中等度から重度の活動性関節リウマチを有する成人患者さんの治療薬として米国食品医薬品局(FDA)から承認されました。また2019年12月に、1種類以上の疾患修飾性抗リウマチ薬で効果不十分または不耐容であった中等度から重度の活動性関節リウマチを有する成人患者さんの治療薬として、欧州委員会より承認されました。関節リウマチ、乾癬性関節炎、軸性脊椎関節炎、クローン病、アトピー性皮膚炎、潰瘍性大腸炎および巨細胞性動脈炎を対象とするウパダシチニブの第III 相試験が進行中です1,6-10

ウパダシチニブに関する重要な安全性情報

ウパダシチニブの米国における使用および重要な安全性情報

ウパダシチニブは、中等度から重度の関節リウマチを有し、MTXにより効果不十分または不耐容であった成人患者さんを適応とする処方薬です。ウパダシチニブの18歳以下の小児に対する安全性および有効性は確立されていません。

ウパダシチニブについて認識しておくべき最も重要な情報はどのようなものでしょうか

ウパダシチニブは免疫系が感染と戦う能力を弱める薬剤です。何らかの感染が認められる場合は、担当の医療従事者が認めない限り、ウパダシチニブの服用を開始しないでください。

• ウパダシチニブを服用している患者さんの一部で、重篤な感染症が発生しています。重篤な感染症には、結核および細菌、真菌、またはウイルスが原因で起こる全身に広がる感染症があります。これらの感染症による死亡例もあります。担当の医療従事者は、ウパダシチニブの投与開始前にあなたが結核に感染しているかを検査し、ウパダシチニブ投与中に結核の徴候や症状があるかを慎重に確認しなければなりません。帯状疱疹を発現するリスクが増加する可能性があります。

• ウパダシチニブを服用している患者さんで、リンパ腫や皮膚がんを含むその他のがんが発生することがあります。

• ウパダシチニブを服用している患者さんの一部で、脚または肺の静脈や動脈に血栓が生じる可能性があります。これらは、生命を脅かすまたは死に至る可能性があります。

• 胃または腸に裂傷が生じることがあります。また、一部の臨床検査に変化が生じることがあります。担当の医療従事者は、ウパダシチニブの投与前および投与中に、血液検査を行わなければいけません。その血液検査結果に変化が認められた場合、必要に応じて一定期間ウパダシチニブの投与を中断する可能性があります。

ウパダシチニブの服用開始前にどのようなことを担当の医療従事者に伝えるべきですか

次のような場合、担当の医療従事者に伝えてください。

• 感染症の治療を受けている、治らない感染症がある、再発する感染症がある、または次のような感染症の症状がある場合。

 o 熱、発汗、または悪寒

 o 息切れ

 o 皮膚の熱感、発赤および疼痛、または体部の疼痛

 o 筋肉痛

 o 疲労感

 o 血液の混じった痰

 o 下痢または腹痛

 o 咳嗽

 o 体重減少

 o 排尿時の灼熱感または通常より頻回の排尿

• 結核に感染している、または結核患者との密な接触がある場合。

• 何らかのがん、B型またはC型肝炎、帯状疱疹、脚や肺の静脈血栓、憩室炎(大腸の一部の炎症)、もしくは胃潰瘍または腸の潰瘍の既往歴がある場合。

• 肝疾患、血球数低値、糖尿病、慢性肺疾患、HIV、免疫系が弱いなどの他の医学的病態がある場合。

• 特定の真菌感染リスクを増加させる地域、例えばオハイオ川流域、ミシシッピ川流域、南西部に在住、在住していた、または旅行したことがある場合。これらの地域への訪問が不確かな場合は、担当の医療従事者にお尋ねください。

• 最近ワクチンを接種した、またはワクチン接種を予定している場合。ウパダシチニブを服用する患者さんは、生ワクチンを接種してはいけません。

• 妊娠している、または妊娠を計画している場合。動物を用いた試験に基づくと、ウパダシチニブは胎児に害を及ぼすおそれがあります。担当の医療従事者は、ウパダシチニブの投与開始前にあなたが妊娠しているかどうか検査します。ウパダシチニブ投与中と最終投与後少なくとも4週間は、妊娠を避けるため効果的な避妊を行ってください。

• 授乳中または授乳を計画している場合、ウパダシチニブは母乳に移行する可能性があります。ウパダシチニブ投与期間中と最終投与後、少なくとも6日間は授乳しないでください。

処方薬、市販薬、ビタミン剤、ハーブサプリメントなど、服用している薬剤をすべて担当の医療従事者に伝えてください。ウパダシチニブと他剤が互いに影響し合い、副作用を引き起こすおそれがあります。

特に、次の薬剤を服用している場合は、担当の医療従事者に伝えてください。

• 真菌感染または細菌感染に対する薬剤

• リファンピシンまたはフェニトイン

• 免疫系に影響を及ぼす薬剤

これらの薬剤を服用しているか不確かな場合は、担当の医療従事者または薬剤師にお尋ねください。

ウパダシチニブの服用開始後にどのようなことを担当の医療従事者に伝えるべきですか

次のような場合は、直ちに担当の医療従事者に伝えてください。

• 何らかの感染症の症状が認められた場合、ウパダシチニブにより感染症にかかりやすくなることがあります。また感染症を悪化させることがあります。

• ウパダシチニブ投与期間中に次のような血栓の徴候または症状が認められた場合。

 o 腫脹

 o 脚の痛みまたは圧痛

 o 突然の原因不明の胸痛

 o 息切れ

• 引かない発熱または治らない腹部の痛みがあった場合、および排便習慣の変化があった場合。

ウパダシチニブの主な副作用は、どのようなものですか

主な副作用としては、上気道感染(感冒、副鼻腔感染)、悪心、咳嗽、発熱などがあります。この他にもウパダシチニブの副作用が発生する可能性があります。

ウパダシチニブは、1日1回の服用です。食前食後は問いません。錠剤を分割したり、潰したり、砕いたり、噛み砕いたりしないでください。担当の医療従事者の指示通りにウパダシチニブを服用してください。

完全な処方情報および投薬ガイドについては、こちらをクリックしてください。

以上がウパダシチニブについて認識しておくべき最も重要な情報です。詳しい情報については、担当の医療従事者にご相談ください。

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