急性骨髄性白血病(AML)患者対象、ベネトクラクス併用療法を評価する第III相試験の結果を発表

アッヴィ

2020年3月31日

アッヴィ合同会社

アッヴィ、急性骨髄性白血病(AML)患者さんを対象に、ベネトクラクス/アザシチジン併用療法を評価する第III相試験の良好な結果を発表

●VIALE-A試験において、主要評価項目の全生存期間(OS)および複合完全寛解率(CR+CRi)が統計的に有意な改善

●AMLは最も悪性度が高く、治療困難な血液がんの1つで、生存率は極めて低く、僅かな治療選択肢1 2

●詳細は、医学会または学術誌で発表予定

イリノイ州ノースシカゴ、2020年3月23日(米国時間)―グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業であるアッヴィ(NYSE: ABBV)は、強力な化学療法が適応とならない、未治療の急性骨髄性白血病(AML)患者さんを対象に、ベネトクラクス/アザシチジン併用療法とプラセボ/アザシチジンを比較するVIALE-A(M15-656)試験において、主要評価項目の全生存期間(OS)および複合完全寛解率(CR+CRi)が統計的に有意な改善を達成したことを発表しました。OSに関する初回の中間解析で良好な有効性の結果が得られたことから、独立データモニタリング委員会(IDMC)の勧告および事前に作成した中間解析計画に従い、本試験の結果を早期に報告し、試験データを米国食品医薬品局(FDA)およびその他各国の規制当局に提出する予定です。また、今回の結果は医学会または学術誌で発表する予定です。

アッヴィの最高医学責任者兼研究開発担当バイスプレジデントのニール・ギャラガー医学博士(M.D.、Ph.D.)は次のように述べています。「過去30年間、強力な化学療法や骨髄移植を受けられない、または忍容できないAML患者さんに対する治療選択肢は僅かでした。VIALE-A試験での良好な結果により、強力な化学療法が適応とならないAML患者さんに対するベネトクラクス/アザシチジン併用療法の臨床的ベネフィットが裏付けられるとともに、血液がん患者さんの標準治療の変革に取り組む、我々の継続的な努力の成果が示されました」

AMLは最も悪性度が高く、治療困難な血液がんの1つで、生存率が極めて低い疾患です1 2

治療法やケアの進歩にもかかわらず、AMLと診断された患者さんの5年生存率は約28%にとどまっています3。AMLは急速に悪化することが多く、年齢や併存疾患により強力な化学療法が適応とならない患者さんもいます4。AMLは世界で最も多い急性白血病です5。現在、全世界で16万人がAMLを有し、10万人当たりの新規発症数は103人と推定されています5

第III相VIALE-A試験は、ベネトクラクス/アザシチジン併用療法の有効性と安全性をプラセボ/アザシチジンと比較評価した試験です。本試験において、主要評価項目[OSおよび複合完全寛解率(CR+CRi)]が達成されました。OSに関する初回の中間解析で良好な有効性の結果が得られたことから、IDMCの勧告および事前に作成した中間解析計画に従い、本試験の結果を早期に報告し、試験データを米国FDAおよびその他各国の規制当局に提出する予定です。本試験で認められた安全性プロファイルは、第I/II相試験で認められたベネトクラクス/アザシチジン併用療法の既知の安全性プロファイルおよび両薬剤それぞれの既知の安全性プロファイルと概ね一致していました。

2018年11月、アッヴィは米国において、第I/II相の試験結果に基づき、75歳以上または強力な導入化学療法を選択できない併存疾患を有する初発のAML患者さんに対するアザシチジン、デシタビンまたは低用量シタラビン(LDAC)との併用療法として、ベネトクラクスの迅速承認を取得しました。ベネトクラクスは、メキシコ、イスラエル、プエルトリコ、ペルー、ブラジル、ロシア、アルゼンチン、グアテマラ、ウルグアイ、レバノン、バーレーン、カザフスタン、パナマ、サウジアラビア、台湾、オーストラリア、カタールおよびアラブ首長国連邦でも承認されています。

第III相VIALE-A試験およびVIALE-C(M16-043)試験は、2018年にベネトクラクスがAML治療薬として米国FDAに承認された後、検証的試験として実施されました。2020年2月、アッヴィは、ベネトクラクス/LDAC併用療法とLDAC/プラセボを比較した第III相VIALE-C試験の最新結果を発表しました。

ベネトクラクスは、アッヴィとロシュ社が開発を行っています。米国ではアッヴィとロシュグループの一員であるジェネンテック社が共同販売しており、米国以外ではアッヴィが販売しています。

VIALE-A(M15-656)第III相試験について

二重盲検、プラセボ対照第III相VIALE-A試験には、計443名の未治療のAML患者さんが組み入れられ、そのうち433名が無作為に割付けられました。本試験では、ベネトクラクス/アザシチジン併用療法群(n=287)の有効性と安全性をプラセボ/アザシチジン群(n=146)と比較評価しました6。

ベネトクラクスについて

ベネトクラクスはB細胞リンパ腫2(BCL-2)タンパク質に対し、選択的に結合および阻害するファーストインクラスの薬剤です。いくつかの血液がんでは、BCL-2がアポトーシスと呼ばれるがん細胞の自然死または自己破壊の過程を阻止します。ベネトクラクスは、BCL-2タンパク質を標的とし、がん細胞で失われたアポトーシスの過程を回復させる作用があります。

ベネトクラクスは、アッヴィとロシュ社が開発を行っています。米国ではアッヴィとロシュグループの一員であるジェネンテック社が共同販売しており、米国以外ではアッヴィが販売しています。これら数社の共同でBCL-2研究に取り組んでおり、種々の血液がんおよび他のがんを対象に、複数の臨床試験でベネトクラクスを評価しています。ベネトクラクスは、米国を含め50を超える国で承認されています。

ベネトクラクスの使用および米国における重要な安全性情報7

使用

ベネトクラクスは、以下を適応として使用する処方薬です。

• 成人の慢性リンパ性白血病(CLL)患者さんまたは小リンパ球性リンパ腫(SLL)患者さん

• 以下に該当する初発の急性骨髄性白血病(AML)成人患者さんに対するアザシチジン、デシタビンまたは低用量シタラビンとの併用療法

○ 75歳以上、または

○ AML以外に、標準的な化学療法を使用できないような医学的状態にあること

ベネトクラクスは奏効率に基づき承認されました。本適応症の承認が継続されるかどうかは、ベネトクラクスの長期投与時の有効性と安全性を検討する現在実施中の試験結果により決まる可能性があります。

ベネトクラクスの小児に対する安全性および有効性は明らかになっていません。

重要な安全性情報

ベネトクラクスについて認識しておくべき最も重要な情報とはどのようなものでしょうか。

ベネトクラクスは重篤な副作用を引き起こす可能性があります。以下に例を示します。

腫瘍崩壊症候群(TLS):TLSはがん細胞が短時間に崩壊することにより起こります。TLSは腎不全を引き起こし、透析治療が必要となる可能性があるほか、死に至ることもあります。担当の医療従事者は、ベネトクラクスの投与開始前に検査を行い、TLSになるリスクがあるかを調べます。TLSになるリスクを低減させるため、ベネトクラクスの投与開始前と投与中に他の薬剤が投与されます。補液の静脈内(IV)投与が必要になることもあります。TLSの有無を調べるため、担当の医療従事者はベネトクラクスの投与開始時と投与中に血液検査を行います。

予約したとおりに血液検査を受けることが重要です。ベネトクラクス投与中に、発熱、悪寒、悪心、嘔吐、錯乱、息切れ、痙攣発作、不整脈、暗色尿、混濁尿、異常な疲労、筋肉痛、関節痛など、TLSの症状が現れた場合は、すぐに担当の医療従事者に伝えてください。

TLSになるリスクを低減させるため、ベネトクラクスの投与時は水分を多くとってください。ベネトクラクス初回投与の2日前から毎日コップ6~8杯(合計で約56オンス)の水を飲み始め、ベネトクラクス初回投与当日や用量が増量されたときも毎回飲んでください。

副作用が認められた場合、担当の医療従事者はベネトクラクスの投与を延期したり、用量を減らしたり、投与を中止したりすることがあります。

ベネトクラクスを服用すべきでないのは、どのような患者さんですか。

ベネトクラクスの服用を開始し、徐々に増量している間はTLSが増えるリスクがあるため、特定の薬剤を服用しないでください。

• 処方薬、市販薬、ビタミン剤、ハーブサプリメントなど、服用している薬剤をすべて担当の医療従事者に伝えてください。ベネトクラクスと他剤が互いに影響し合い、重篤な副作用を引き起こすおそれがあります。

• 担当の医療従事者に相談することなく、ベネトクラクス投与中に新たな薬剤の服用を開始しないでください。

ベネトクラクスを服用する前に、あなたの医学的情報をすべて担当の医療従事者に伝えてください。例えば、次のような場合です。

• 腎障害がある。

• 塩分または電解質(カリウム、リン、カルシウムなど)に問題がある。

• 血中の尿酸値が高かったことがある、または痛風の既往歴がある。

• ワクチン接種を予定している。ベネトクラクスの投与前、投与中または投与後は担当の医療従事者が接種を認めるまで「生ワクチン」は接種しないでください。予防接種またはワクチンの種類について不確かな場合は、担当の医療従事者にお尋ねください。ベネトクラクス投与中は、このようなワクチンを安全に接種できない、または接種しても効果が得られないことがあります。

• 妊娠している、または妊娠を計画している。ベネトクラクスは胎児に害を及ぼすおそれがあります。妊娠可能な場合、担当の医療従事者はベネトクラクス投与開始前に妊娠検査を行います。ベネトクラクス投与期間中と最終投与後30日間、効果的な避妊を行ってください。妊娠した、または妊娠したと思われる場合は、すぐに担当の医療従事者に伝えてください。

• 授乳中または授乳を計画している。ベネトクラクスが母乳に移行するかどうかは不明です。ベネトクラクス投与期間中は授乳しないでください。

ベネトクラクス服用中は、どのようなことを避けるべきですか。

ベネトクラクスを服用している間は、グレープフルーツジュースを飲まないでください。また、グレープフルーツ、セビリヤオレンジ(マーマレードに使用されることが多い)またはスターフルーツを食べないでください。これらの製品や産物は血中のベネトクラクスの量を増加させる可能性があります。

ベネトクラクスの副作用は、どのようなものですか。

ベネトクラクスは重篤な副作用を引き起こすおそれがあります。例えば、次のような副作用です。

• 白血球数低値(好中球減少症):白血球数低値はベネトクラクスでよくみられますが、重度になることもあります。担当の医療従事者は、血球数を調べるためベネトクラクス投与期間中に血液検査を行います。

• 感染症:ベネトクラクス投与期間中に死亡に至った例や肺炎や血液感染(敗血症)などの重篤な感染症が報告されています。担当の医療従事者が綿密な観察を行い、ベネトクラクス投与期間中に発熱などの感染の徴候が認められた場合は直ちに治療を行います。

ベネトクラクスを服用している間に発熱や感染症の徴候がみられる場合は、すぐに担当の医療従事者に伝えてください。

CLL患者さんまたはSLL患者さんにベネトクラクスをオビヌツズマブまたはリツキシマブ(遺伝子組換え)と併用したとき、もしくは単剤で投与したときの主な副作用は、白血球数低値、血小板数低値、赤血球数低値、下痢、悪心、上気道感染、咳嗽、筋肉痛、関節痛、疲労、腕、脚、手および足の腫脹などです。

AML患者さんにベネトクラクスとアザシチジン、デシタビンまたは低用量シタラビンをそれぞれ併用したときの主な副作用は、白血球数低値、悪心、下痢、血小板数低値、便秘、白血球数低値を伴う発熱、赤血球数低値、血液の感染、発疹、浮動性めまい、低血圧、発熱、腕、脚、手および足の腫脹、嘔吐、疲労、息切れ、出血、肺の感染、胃(腹部)の痛み、筋肉または背部の痛み、咳嗽、ならびに咽喉痛などです。

ベネトクラクスにより、男性の受精能に問題が生じることがあります。子どもをもうける能力に影響を及ぼす可能性があります。受精能について心配な場合は、担当の医療従事者にご相談ください。

上記は、ベネトクラクスによって生じる可能性がある副作用をすべて示したものではありません。詳細については、担当の医療従事者か薬剤師にお尋ねください。

処方薬の副作用をFDAに報告することが推奨されています。ウェブサイトhttp://www.fda.gov/medwatch にアクセスするか、1-800-FDA-1088に電話してください。

薬剤の購入が経済的に難しい場合は、www.medicineassistancetool.orgに問い合わせて支援を受けてください。

米国でのベネトクラクスの処方情報(投薬ガイドを含む)の全文はこちら here でご確認いただけます。

世界各国で処方情報はさまざまです。完全な情報は各国の添付文書を参照してください。

がん分野におけるアッヴィについて

アッヴィでは、当社が持つ生物学の中心分野における深い知識を、最先端の技術と独自に組み合わせ、科学者、臨床専門家、同業企業、支援団体、患者さんなどのパートナーと協力して、がん治療に変革をもたらす医薬品の発見と開発に努めています。当社は、一部の非常に消耗性の高い広範囲ながんの治療法において、革新的な進歩を実現することに重点を置いています。また、患者さんが当社のがん治療薬を使用できるようソリューションの探求にも取り組んでいます。現在、アッヴィのがん分野のポートフォリオは、市販されている医薬品と複数の新規分子を含むパイプラインで構成されています。それらは20種類を超える、異なる型の腫瘍について、300件以上の臨床試験において世界中で評価されています。詳細についてはhttp://www.abbvie.com/oncologyをご覧ください。

アッヴィについて

アッヴィは、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業です。世界で最も複雑かつ深刻な疾患に対する、革新的な先進治療薬の開発を行っています。その専門知識、献身的な社員、イノベーション実現に向けた独自の手法を通じて、免疫疾患、がん、ウイルスおよび神経疾患の4つの主要治療領域での治療を大きく向上させることをミッションに掲げています。世界中の人々が持つ健康上の課題への解決策を進歩させるため、75カ国以上の国でアッヴィ社員が日々取り組んでいます。アッヴィの詳細については、www.abbvie.com をご覧ください。Twitterアカウント@abbvieFacebookLinkedInInstagramでも情報を公開しています。

アッヴィ 今後の見通しに関する記述

本リリースにおける記載には、1995年米国私募証券訴訟改革法に示される「今後の見通しに関する記述」が含まれています。「確信」「期待」「予測」「計画」という言葉およびそれに類する表現は、一般に将来予想に関する記述となります。当社からの注意喚起として、このような将来予想に関する記述はリスクおよび不確実性による影響を受け、実際の結果と将来予想に関する記述での予測との間に大幅な相違が生じる可能性があります。このようなリスクおよび不確実性には、知的財産に対する脅威、他社製品との競合、研究および開発プロセスに特有の困難、敵対的訴訟または政府による介入、業界に関連する法律および規制の変更などがあります。

アッヴィの経営に影響を及ぼす可能性のある経済、競合状況、政府、科学技術およびその他の要因については、Securities and Exchange Commission(米国証券取引委員会)に提出済みのアッヴィの2018年度アニュアルレポート(10-K書式)の1A項「リスク要因」に記載しています。アッヴィは、法律で要求される場合を除き、本リリースの発表後に発生した出来事または変化によって、今後の見通しに関する記述を更新する義務を負わないものとします。

1. Döhner H, et al. Acute myeloid leukemia. N Engl J Med. 2015;373(12):1136-1152.

2. American Cancer Society (2018). Typical Treatment of Most Types of Acute Myeloid Leukemia (Except Acute Promyelocytic M3). https://www.cancer.org/cancer/acute-myeloid-leukemia/treating/typical-treatment-of-aml.html.

3. National Cancer Institute (2018). Acute Myeloid Leukemia - SEER Stat Fact Sheets. https://seer.cancer.gov/statfacts/html/amyl.html.

4. Pettit, K and Odenike, O. Defining and Treating Older Adults with Acute Myeloid Leukemia Who Are Ineligible for Intensive Therapies. Front Oncol. 2015; 5:250.

5. Puty, T.C., Sarraf, J.S., Do Carmo Almeida, T.C. et al. Evaluation of the impact of single-nucleotide polymorphisms on treatment response, survival and toxicity with cytarabine and anthracyclines in patients with acute myeloid leukaemia: a systematic review protocol. Syst Rev 8, 109 (2019).

6. ClinicalTrials.gov (2019). NCT02993523: A Study of Venetoclax in Combination With Azacitidine Versus Azacitidine in Treatment Naïve Subjects With Acute Myeloid Leukemia Who Are Ineligible for Standard Induction Therapy. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02993523.

7. VENCLEXTA (venetoclax) [Package Insert]. North Chicago, IL.: AbbVie Inc.

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